日系文化センター・博物館で5月27日、グラッドストーン日本語学園の小学科・中学科・高等科の卒業式が行われた。第52回となる今年度は4年ぶりに人数制限が解禁され、卒業生やその家族が集まり、センター内のホールはほぼ満席となった。
会場には入口から向かって左手前方に小学科、右手に中学科、そしてステージ上に高等科の卒業生が着席。高等科の卒業生たちは色とりどりの袴や振袖を身にまとい、華やかな卒業式となった。
約1時間の式が終わると粛々としていた生徒たちの表情はホッとしたようにほぐれ、クラスメートと話したり、両親や先生とステージやセンター前の庭で写真を撮ったりと和やかな雰囲気に包まれた。
在バンクーバー日本国総領事館・丸山浩平総領事も参列。丸山総領事は「この学校で学ばれた皆さまはこれから日本とカナダ、カナダと世界、日本と世界、そのさまざまな領域での架け橋となる、そういう人材であると思います。架け橋となる皆さまのこれからの前途を心から祝して、そして皆さまの前途が明るいものであり、その活躍によって世界に平和が、協力関係が、友情が、さらに芽生えていくことをお祈りしております」とこれからの活躍を祈り、卒業生へお祝いの言葉を贈った。
卒業生の言葉
卒業生たちは小学科、中学科、高等科と順にステージに立ち、ことわざや四字熟語を交えながら1人ずつ学園生活での思い出を話した。
グラッドストーン日本語学園の生徒たちは平日に通っている学校に加え、毎週末の授業や宿題に励む。卒業生の多くが大変だったと口にする「言葉ノート」。毎日3つずつ漢字を練習し、毎週末のテストに向けて勉強した。読み書きだけでなく、練習した漢字を使って文を作る練習もするという。
学園は、「塵も積もれば山となる」を目標に、毎日続けることで生徒たちが語彙を増やせることを目指している。漢字の意味を理解して文を書く力を伸ばすためにこの言葉ノートを実施しているという。多くの生徒たちは言葉ノートについて、大変だったがそのおかげでたくさんの言葉を覚えることができたと話し、生徒たちが真剣に学習に取り組んできたことが垣間見えた。
保護者席からは「やっと肩の荷が下りたね」と卒業まで子どもたちを支えてきた親たちのほっとした声も聞かれた。
グラッドストーン日本語学園の創立者の村上陽子園長は、卒業生が両親に手を引かれて入園・入学してきたときのことを懐かしく思い出すと話す。
卒業生たちに向けては、本田宗一郎氏の「失敗を恐れるより、何もしないことを恐れなさい」という言葉を引用し、「失敗から学ぶことがたくさんあります。自分の可能性を信じて、やればできるんだと、熱い意欲を燃やして諦めずに何ごとも続けてください。自分で決めた道に向かって、希望を持って進んでもらいたいと思います」と笑顔でエールを送った。
現在学園には、これまで卒業した生徒の子どもが60人通学しており、そのうち3人が卒業を迎えた。村上園長の孫も高等科を卒業した生徒の1人。多くの卒業生がまた自身の子どもに日本語を学ばせようと学園に帰ってくることに村上園長は、「二世代にわたり日本の文化を継承させようということを大変うれしくありがたく思います。そうした先輩から学び、私たちは保護者の皆さまのご協力、生徒の努力、教員の励ましと三者一体となって日本語教育に精進してまいりたいと思います」と話した。
グラッドストーン日本語学園
1971年に園長の村上陽子氏によって創立され、今年で52年となる。2歳から高等科まで一貫した日本語クラスを展開し、高学年は漢字検定や日本語能力試験などの試験を実施。日本語教育に加え、日本の文化や習慣を身につけることにも力を入れている。そのほか学園外からも参加できる習字クラブも行っている。
Webサイト: https://www.gladstonejls.com/
(取材 池田茜音)
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