コロナ禍で大きく変わった生活様式。新型コロナウイルス感染拡大の影響でテレワークや在宅時間の増加とともに、住まいのニーズはどのように変わったのか。最近の不動産の現状、住宅事情について、オークウエスト不動産(株)セールスエージェントに話を聞いた。
– コロナ禍で、家探しにはどんな工夫や変化がありましたか?
感染拡大しておりました頃はオープンハウス自体が激減し、ビデオ撮影によるリモート・ショーイング、Matterport(ウェブで自己案内できる3Dツアー)等が多く見られましたが、最近では自己規制も弱まり、マスク、消毒の上でのオープンハウスが普通に行われています。
見学者が重ならないよう、15分置きのアポイントメントを実施しているケースも多々見受けられます。
– テレワークが増え、住まいのニーズも変わってきていますね。
デスクスペースの確保として、DEN(書斎や趣味を楽しむための部屋)の有無を条件に探されるケースも見受けられます。また日中の遮音状況も条件に加えられ、時差を設けたショーイングにより、騒音の有無をご確認される場合もございます。
– リモート勤務により、郊外への選択肢が広がりましたか?
一般的な例ですと、若い夫婦がダウンタウンのコンドミニアムからバーナビーのタウンハウスや一軒家に引っ越すなどがございます。
また、コロナ禍を機に仕事を変えてでも生活環境を重視したいと、フレーザーバレー、バンクーバー島、オカナガン等の市場が活発に動き、急激な価格増加が続きました。例として、昨年11月時点で、過去1年間一戸建てベンチマーク価格(その地区の代表的な平均物件価格)の増加は、バンクーバー・ウエストサイド9.3%、ノース・バンクーバーとバーナビーは約16~18%、サンシャインコーストとスクワミッシュは25~27%となっております。
一般的な価格変動の流れとして、一等地からまず値上がりし郊外へ渡るというのが、今回コロナ禍により逆転している状況の中、不動産投資を繰り返しているインベスターが、この際納まっているダウンタウンのコンドミニアムの購入に入る動きも見えております。
– どんなインテリアが人気ですか?
リビング空間をオープンにする傾向は、大分前から主流となっております。色調に関しましては、光沢を抑えたブラッシング仕上げのキッチンキャビネットが中心で、キッチンやバスルームのカウンタートップは、白を基調としたクオーツストーン(人造大理石)が新築等に多く見られ、高評価を得ているようです。
– 熱波の際にはクーラーの有無が話題に上りましたね。
クーラーの需要が認識されていますが、設備されている割合は未だ低いのが現状です。一戸建ての場合は後からクーラーを取り付けやすいよう配管等プリセットされている事が増え、コンドミニアムの場合は地域と開発の規模にもよりますが、温暖化対策も兼ねてローカルエナジーシステム、地熱を利用するヒートポンプシステム等も徐々と増えております。
– 目抜き通りでは集合住宅が建設ラッシュですね。
年間平均6万~8万人の人口増加が続くブリティッシュ・コロンビア(BC)州で、そのうち半分以上がローワーメインランドに住まれることを考えると、年々多数の開発が進まなければ需要についていけません。
バンクーバー市内では、今後大規模開発ですとバラード橋近くのファーストネーション・リースランドの開発、ウエストバンク社のオークリッジ・モール再開発等が目立ちます。
バンクーバーの最南東部リバー・ディストリクトでは、以前は商業土地として使用されていた地域を自然に近い、ヤングファミリーにも手が届く、魅力的なコンドミニアム・タウンハウス住宅街の環境に仕上げられています。
ブロードウェイ・ スカイトレイン延長により再開発が進む事が見込まれる中、手頃な価格帯の古めのコンドミニアムや賃貸可能な物件の減少につながらないよう、人口密度を増やすためにレンタル重視物件を優先する等対策が進められています。市役所、州政府も今後のバンクーバー、BC州の住宅、生活環境に則した指針の基に、開発を進めていくものと思われます。
(取材 ルイーズ阿久沢 / 取材協力 オークウエスト不動産 http://oakwest.net/)
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