シカからヒトへのコロナ感染初確認か

 カナダの研究者グループが、オンタリオ州でシカ(オジロジカ)からヒトへの新型コロナウイルス感染を確認したと2月25日、bioRxivに発表した。bioRxivはプレプリント用サーバーで、この研究結果の正式な査読はまだ終了していない。

 論文によると、研究者らは2021年秋にオンタリオ州南西部と東部でハンターが捕らえたシカ298頭を調べた。そのうち17頭が新型コロナに感染していたという。17頭は全てオンタリオ州南西部のシカだった。

 さらに同じ地域で同じ時期に、ヒトがこれらのシカと似通った系統のウイルスに感染していたことが確認されたという。研究者らはシカからヒトへのコロナ感染があった可能性が極めて高いとしている。このヒトはシカとの接触があったことも分かっている。

 野生のオジロジカの新型コロナウイルス感染については、これまでにアメリカ北東部とカナダ中央部で確認されている。ただし、シカとシカとの間での感染だった。

 カナダ保健省では、動物からヒトへの新型コロナ感染は極めて稀としながらも、狩猟をする人に対して、獲物の解体の際にはゴム手袋、フェイスシールドやゴーグルなどを着用すること、衛生に細心の注意を払うこと、ペットや狩猟犬を獲物には近づけないなどを勧めている。

 北米の野生動物では、オジロシカ以外にはミンクとクーガーがコロナに感染することが分かっている。

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