バンクーバー日本語学校(VJLS)で5月24日、毎年恒例の学習発表会が行われた。キンダークラスからアダルトクラスまでの生徒たちが、歌やスピーチ、劇などを通して、1年間の学習成果を披露した。
発表から見える日本への関心
今年はキンダークラスの生徒による合奏で幕を開けた。アニメ「まんが日本昔ばなし」でおなじみの曲「にんげんっていいな」を、太鼓やトライアングルなどの楽器で演奏。続いて「にじのむこうに」を元気いっぱい歌った。
小学科1年クラスは子どもたちが大好きな絵本「おおきなかぶ」の劇を披露。おじいさんやおばあさん、動物、そしてかぶに扮した子どもたちが「うんとこしょ、どっこいしょ」の掛け声で一生懸命に綱を引く姿に歓声が上がった。
VJLSには外国語として日本語を学ぶ生徒向けの基礎科もある。基礎科Bの発表テーマは「大きくなったら」。医者、数学者、画家、シェフ、サッカー選手と、子どもたちは胸を張って自分の夢を披露した。

発表からは、カナダで暮らす生徒たちが、日本のどんなところに関心を持っているかが垣間見えて興味深い。基礎科EFの生徒による「日本のすきなところ」では、焼肉やすし、ラーメンなど食べ物が目立つなか、新幹線やキャラクターという声もあった。また、ユースCDによる「私の目標」では、それぞれの生徒が「『ワンピース』の漫画を(日本語で)読みたい」「日本の美容学校に行きたい」「子どもの頃は日本語の勉強が好きじゃなかったけれど今は楽しい。将来は日本中を旅行してたくさん友達を作りたい」など、日本語の勉強への目標や思いを語った。
ユニークだったのは中学科1年クラスによる「VJLSのオススメポイント」。畳の部屋、図書館、ホールなど、施設が充実している同校の魅力がいきいきと伝わってきた。「畳の部屋は広くてゲームをすると最高です。小学生の時は先生に畳の部屋に連れて行ってと頼んでいました」と、思い出を語る生徒もいた。
お店クイズから古典劇まで、テーマは幅広く

学年が上がるにつれて発表内容は高度になっていく。小学科4年クラスは「お話のさくしゃになりました」と題し、「いたずら好きの猿と帽子をかぶった女の子」や、「孫にセーターを編むおばあさん」のオリジナル・ストーリーを披露した。また基礎科Dでは「私を表す言葉」を各自が発表したが、「個性的」「勇敢」など、高度な単語も見られた。さらにユースAによる「ここはどこの店ですか?」クイズでは、ルルレモンやMUJIなどよく知られた店を取り上げつつ、それぞれの企業の概要についても解説した。
中学科2年のテーマは「平家物語」。バックグラウンドとなる源平合戦について簡潔に分かりやすく説明した。そして、源氏側の那須与一(なすのよいち)が平家側の扇を弓で射落とす、有名な「扇の的」の場面を劇で演じた。

同じ古典でも会場の爆笑を誘ったのが、高等科1年クラスによる現代版「百人一首」。清原元輔の「契りきな かたみに袖をしぼりつつ 末(すゑ)の松山 波越さじとは」を、「永遠の愛を語り合い、将来を誓いあった相手に振られて、いつまでも未練がましく思っている歌です」とユーモアたっぷりに解説。さらにボーイフレンドに振られた女の子がスマホに向かって怒りをぶつける寸劇に笑いと歓声が上がった。
藤井清子前校長によると、この学習発表会は例年、生徒会が主催しているという。中・高等科の生徒からなる生徒会役員たちは、当日、司会進行からドア係、大道具係までを務めた。冒頭では、オーディエンスの生徒たちに向けた笑いを交えた「正しい発表の聞き方」の説明も行われた。
発表を終えて「生徒たちには日頃の練習成果を発揮してほしいと願っていましたが、それがきちんとできて良かった。ステージに立つことに緊張していた生徒も克服することが出来ました」と笑顔で語った。

(取材 宗圓由佳)
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