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Naomi Mishima

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日本人留学生・古川夏好さん裁判で、カナダ最高裁判所が被告の有罪判決を回復

古川夏好さんの友人や知人、そして多くのボランティアがチラシを配り、古川さんの行方を捜したが…
古川夏好さんの友人や知人、そして多くのボランティアがチラシを配り、古川さんの行方を捜したが…

 日本人留学生の古川夏好(こがわ・なつみ)さん(当時30歳)が遺体で発見された事件で、カナダ最高裁判所が10月7日、ウィリアム・シュナイダー被告に対する第二級殺人での有罪判決を回復したと、カナダの各報道機関が伝えた。

 古川さんが行方不明となったのは2016年9月8日。2週間後に、バンクーバーのウエストエンドにあるガブリオラ・ハウスで、遺体で見つかった。同日、ビデオ映像で古川さんと一緒にいるところを映し出されていたシュナイダー被告が逮捕された。

 2018年、シュナイダー被告には、14年間仮釈放なしの終身刑が言い渡された。しかし2021年、同被告は裁判には誤りがあったと控訴。主な論点は、同被告と妻との電話での会話を聞いたという供述を、証拠として認めるかどうかだった。被告の兄であるウォーレン・シュナイダーさんは、被告が電話で「俺がやった」「俺が彼女を殺した」と言っているのを聞いたと供述した。

 しかし、通常伝聞は証拠として認められないため、裁判官の間でも意見が分かれ、2021年2月、BC州上訴裁判所はシュナイダー被告の有罪判決を覆し、再審を命じた。これに対し検察側はカナダ最高裁判所に上告していた。

 最高裁判所は7対2で、ウォーレンさんの供述を例外的に採用可能と決定した。

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JAL、全日空、今秋から毎日運航、エアカナダはトロント羽田線再開へ

バンクーバー空港に駐機するエアカナダ機; file photo by Japan Canada Today
バンクーバー空港に駐機するエアカナダ機; file photo by Japan Canada Today

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で減便していたカナダ・日本を結ぶ路線の運航便数が新型コロナ前に回復しつつある。

 日本航空は2023年1月31日までの運航スケジュールを発表。バンクーバー・成田線は10月から毎日運航に戻った。

 全日空も2023年3月25日までのバンクーバー・東京線スケジュールを発表。10月30日から毎日運航となる。ただし、成田発着のままで、羽田発着は復活していない。

 エアカナダは、バンクーバー・成田線が1月31日まで毎日運航、トロント・成田線は10月28日まで毎日、10月29日から3月10日までは週4便、今夏運航を再開したモントリオール・成田線は10月28日まで週4便、10月29日から3月10日まで週3便で運航する。

 またエアカナダは現在運休しているトロント・羽田線を2023年1月16日から再開すると発表した。運航は週7便の予定。バンクーバー・関西空港線については2023年6月2日から週4便で再開する計画と一部メディアが伝えている。

燃料サーチャージ10月1日から片道約5万円に

 各社が燃料サーチャージについて、10月1日から11月30日までの発券分を発表している。

 それによると、日本航空は、日本発が435米ドル、カナダ発は545カナダドル。全日空は、日本発が58,000円、カナダ発は434カナダドル。エアカナダは、日本発58,000円、カナダ発については現在ホームページからは明確な料金は確認できない。

日本航空サイト:https://www.jal.co.jp/jp/ja/inter/fare/fuel/detail_overseas.html?m=other_notice

全日空サイト:https://www.ana.co.jp/ja/jp/book-plan/charge/fuelsurcharge/

エアカナダ、預入荷物料金を8月から改訂

 エアカナダは、8月23日以降の発券分から無料で預け入れ可能な荷物(無料手荷物許容量)をそれまでの2個から1個に変更した。2個目は100カナダドルとなる。ただしラチチュード運賃の場合は2個目も無料。1個あたりの最大重量はこれまでどおり23キロまで。

エアカナダ日本サイト:https://www.aircanada.com/jp/ja/aco/home/book/travel-news-and-updates/2021/baggage-fee-changes.html#/

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季節外れの暖かさが今週も続く予報、山火事発生危険度も最高

Image from The Weather Network website
Image from The Weather Network website

 サンクスギビング・デーの3連休としては季節外れに暖かい日がバンクーバーで続いた。

 9日は夜になっても気温が15度を超えるところが多く、バンクーバーやノースバンクーバーで16度、ミッションでは18度と、日中の最高気温さながらの高温となった。

 日中はケローナやペンバートンで25度を超え、これまでの最高気温記録を更新したところもあり、夏を思わせる陽気となった。

 気温が高い傾向は今週いっぱい続く見込みで、バンクーバーでも20度、アボツフォードでは20度半ばまで気温が上昇すると予測されている。

 長期予報では10月のブリティッシュ・コロンビア(BC)州は例年よりも気温が高くなるとなっており、日によってはまだまだ過去最高を記録する日もあるだろうとのこと。

 9月も例年になく暑い日が続いたバンクーバーだが、今年の秋は例年より少し気温が高く、雨のシーズンも遅れそうだ。

例年より遅くまで山火事の危険が続く

Image from BC Government website
Image from BC Government website

 例年ならすでに雨のシーズンに入っているBC州南西部だが、今年は晴れて気温が高い日が続いているため、山火事発生の危険も続いている。

 B.C. Wildfire Serviceは10月10日、BC南東部のウエスト・クートニー地区にあるGilpin Grasslands Parkで山火事が発生したと報告。民家に直接被害が及ぶ可能性は低いものの、ハイウェイ3から目視できるほどのところまできていると注意を呼び掛けている。

 B.C. Wildfire Serviceによると、先週だけで61件の新たな山火事が発生しているという。

 メトロバンクーバーやビクトリアを含むBC州南西部には、山火事発生レベル ‘Extreme’の最高レベルが出されている。Extremeとは、森林が極度に乾燥し、火災の危険性が非常に高まっている状況で、新たな火災が発生しやすく、急速に拡大し、消火活動が困難になるとBC州で定義されている。

 BC州南部では引き続き晴天の予報が出され、雨が降らない状況が続くため、山火事の危険レベルもしばらくは続くとみられている。

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メトロバンクーバーで散水規制を継続

 メトロバンクーバーは6日、今月15日までとしていた散水規制を31日まで延長すると発表した。季節外れの暖かさと乾燥のためとしている。

 「7月中旬以降、10月まで長期にわたって温暖で乾燥した気候が続き、河川流入量が歴史的に少なく、水需要がこの時期の平均を上回っている」として、「雨シーズンが戻るまで、現在の飲料水の供給を確実に維持する必要がある」と説明している。

 規制は「飲料水保全計画のステージ1」で、居住者と企業は週に1回、午前中に芝生への水撒きを許可。樹木、低木、花については、スプリンクラーを使用する場合は午前中、手撒き・ドリップ式かんがいを使用する場合はいつでも水やりが可能。食用の植物は規制の対象外となっている。

ステージ1の住宅用芝生への散水時間:

– 偶数番地の住所の場合、毎週土曜日、午前5時から午前7時までの自動散水、午前6時から午前9時までの手動散水

– 奇数番号の住所の場合、毎週日曜日、午前5時から午前7時の間に自動散水、午前6時から午前9時の間に手動で散水

– 樹木、低木、花へのスプリンクラーによる散水は、毎日午前5時から午前9時の間に、手動またはドリップ式かんがいによる散水はいつでも可能

ステージ1の非住宅用芝生への散水時間:

– 偶数番地の住所の場合、毎週月曜日、午前4時から午前6時までの自動散水、午前6時から午前9時までの手動散水

– 奇数番号の住所の場合、毎週火曜日、午前4時から午前6時までは自動散水、午前6時から午前9時までの手動散水。

– 樹木、低木、花へのスプリンクラーによる散水は、毎日午前4時から午前9時の間に、手動またはドリップ式かんがいによる散水はいつでも可能

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イコマソロバン 2022スケジュールのご案内

イコマソロバン 2022スケジュールのご案内

月曜日 
3:30-5:00  Vancouver, St. James Square Garden #111
6:00-7:30  Richmond, St. Alban Anglican Church

火曜日
4:00-5:30 Coquitlam, Eagle Ridge Bible Fellowship 

水曜日
5:00-7:00 North Vancouver, Delbrook Community Centre

金曜日
5:30-7:00 Burnaby, Nikkei Centre

土曜日 
1:30-3:00  Vancouver, Mount Pleasant Neighborhood House

木曜日
zoom only

Norie Ikoma

IKOMA ABACUS LEARNING 
+1 778 233 7999
www.ikomaabacus.com
nori@ikomaabacus.com

自力整体Real対面教室開催のお知らせ

自力整体Real対面教室開催のお知らせ

・自宅待機期間ですっかり身体が弱くなった方

・今まで何をやっても長続きしなかった方

・「身体が硬くて無理かも?」という方

・治療や薬、他力に頼らず、『自力で健康』『死ぬまで健康』を目指したい方

★バンクーバーMain教室 (10時~11時)
(Holycross Anglican church「聖公会」)

10月10日(月) Thanks Giving Day

11月11日(金) Remenbrance Day

12月26日(月) Boxing Day

2月20日(月) Family Day

その後、2023年3月より月1回教室を開催予定

★日系センター「武道場」 (10時30分~11時30分)

10月28日(金)

11月25日(金)

12月9日(金)

1月6日(金)

2月3日(金)

その後、2023年3月より月3回通常クラス開講予定

詳細 ・・・ jirikiseitai.canada@gmail.com webサイトも有

S.U.C.C.E.S.S.リッチモンド無料オンラインワークショップ「健康な心を育む:いま・ここ」

テーマは「健康な心を育む:いま・ここ」

日時:2022年10月25日(火)午後1時~2時半(無料)

申し込みリンク: https://bit.ly/3CfCEzI

お申し込みの締め切り:10月24日(月)

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今年の9月はお天気の良い日に恵まれましたね。いよいよ年末が視野に入って寒くなってくる季節が始まります。季節が変わるのと共に気分も少し落ち着いてくるのを感じます。

今回のワークショップは、この長引く不安定な時代を乗り切るために、一緒に心の健康をケアしていきましょうという内容です。講師に心理療法士の加藤さんをお迎えして、身体を動かしたり色や文字に湧き出てくる感情を乗せて表現することを通して、それぞれが自分自身と向き合い、気づきを促す時間にできたらと思います。動きやすい服装でご参加ください。ご興味ある方はぜひ!

<内容>

  • 家庭でできる心の健康づくり
  • 表現することを通して、自分の内面と向き合いましょう
  • 表現アートを実践(特別な技術は必要ありません)
  • 紙、ペン、クレヨン、マーカーなどをご用意ください

—————————–

お申込み・問い合わせ:kozue.ito@success.bc.ca / 236-880-3392 こずえまで

こまがた丸事件のモニュメント壊される、付近のオリンピック聖火台も破損

Vancouver Olympic Flame, Photo by ©Pacific Walkers
カナダ建国150周年のカナダデーで灯された2010年バンクーバー冬季五輪聖火台。2017年7月1日。 Photo by ©Pacific Walkers

 バンクーバー・ダウンタウンにあるこまがた(駒形)丸事件のモニュメントが傷つけられる事件が起こった。事件はソーシャルネットワーク上の画像から発覚。バンクーバー市警によると、何者かがここ2、3日のうちにガラスの部分を割ったという。警察は意図的な行為と見て、犯人の特定を急いでいる。

 このモニュメントについては、昨年8月にも、白いペンキで全面的に落書きされる事件が起こった。容疑者1人が4カ月後に逮捕されている。

 こまがた丸事件は1914年、バンクーバーで起きた。日本船籍のこまがた丸は、インドからシーク教徒、ムスリム、ヒンズー教徒など約370人を乗せてバンクーバーに到着したが、カナダ政府は人種差別的な規則に則って入港を拒否。船はインドに戻り、多数が逮捕され、殺された乗客もいた。

 バンクーバー市警のジェイソン・デュセッテ巡査は「誰がモニュメントを傷つけたかだけでなく、なぜこの大切なモニュメントが狙われたかについても解明したい」としている。

 また今回の事件のわずか数日前の10月1日には、バンクーバー・オリンピックの聖火台のガラス部分が壊される事件があった。聖火台はこまがた丸のモニュメントから200メートルと離れておらず、警察では関連性について調べている。

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「母性」廣木監督、原作者 湊さんがバンクーバー国際映画祭で舞台あいさつ

バンクーバー国際映画祭に参加した「母性(Motherhood)」原作者の湊かなえさん(左)と廣木隆一監督。2022年10月5日レッドカーペットで、at Vancouver Playhouse。Photo by Koichi Saito/The Vancouver Shinpo
バンクーバー国際映画祭に参加した「母性(Motherhood)」原作者の湊かなえさん(左)と廣木隆一監督。2022年10月5日レッドカーペットで、at Vancouver Playhouse。Photo by Koichi Saito/The Vancouver Shinpo
バンクーバー国際映画祭に参加した「母性(Motherhood)」原作者の湊かなえさん(左)と廣木隆一監督。2022年10月5日レッドカーペットで、at Vancouver Playhouse。Photo by Koichi Saito/The Vancouver Shinpo
バンクーバー国際映画祭に参加した「母性(Motherhood)」原作者の湊かなえさん(左)と廣木隆一監督。2022年10月5日レッドカーペットで、at Vancouver Playhouse。Photo by Koichi Saito/The Vancouver Shinpo

 バンクーバー国際映画祭公式招待作品として上映された「母性(Motherhood)」の廣木隆一監督と原作者・湊かなえさんが10月5日、舞台あいさつした。会場前には多くのファンがレッドカーペットに姿を現した2人を迎えた。

 上映後にはQ&Aの時間も用意され、廣木監督と湊さんが応じた。

 廣木監督は、この映画を受ける時に「俺が母性を知っているわけないじゃないですか」と笑いながらファンに向かって問いかけながらも、「親と子の愛情については自分の中で思っていることもあるし、違っていることもある、っていうのは勉強できるって思って映画に挑戦しました」と語った。

 湊さんは廣木監督に決まった時にどう思ったかの質問に、「これは初めていうのですが」と前置きして、「廣木監督は一つの物語の中に複数の視点が存在する物語を撮られるのがものすごくお上手なんです。で、私の作品は母性もそうなんですけど、同じ物事も視点が変わると違って見えるというものを描くものが多いんです。なので、同じ出来事も『ルミ子』の視点から見たときと、『清佳』の視点から見たときと、こんなに表情が違うんだとか、画(え)を見たら分かるように今回も撮ってくださって、それは廣木監督じゃないと撮れなかったと思います」と絶大の信頼を寄せた。

 その後には、ファンと触れ合う時間も。滅多とない機会に、多くのファンが廣木監督と湊さんとの写真撮影や話を楽しんでいた。

 「母性(Motherhood)」は、日本公開に先駆けてバンクーバーで先行上映された。

(写真 斉藤光一)

母性(Motherhood)上映後のQ&Aに答える廣木隆一監督(中央)と湊かなえさん(右から2番目)。2022年10月5日、Vancouver Playhouse。Photo by Koichi Saito/The Vancouver Shinpo
母性(Motherhood)上映後のQ&Aに答える廣木隆一監督(中央)と湊かなえさん(右から2番目)。2022年10月5日、Vancouver Playhouse。Photo by Koichi Saito/The Vancouver Shinpo
舞台に登場した廣木隆一監督(右端)と湊かなえさん(中央)。2022年10月5日、Vancouver Playhouse。Photo by Koichi Saito/The Vancouver Shinpo
舞台に登場した廣木隆一監督(右端)と湊かなえさん(中央)。2022年10月5日、Vancouver Playhouse。Photo by Koichi Saito/The Vancouver Shinpo
バンクーバー国際映画祭に参加した「母性(Motherhood)」の舞台あいさつにビデオ出演した主演の戸田恵梨香さん。2022年10月5日、Vancouver Playhouse。Photo by Koichi Saito/The Vancouver Shinpo
バンクーバー国際映画祭に参加した「母性(Motherhood)」の舞台あいさつにビデオ出演した主演の戸田恵梨香さん。2022年10月5日、Vancouver Playhouse。Photo by Koichi Saito/The Vancouver Shinpo
母性(Motherhood)Q&Aのあとにファンとの写真撮影に応じる廣木隆一監督。2022年10月5日、Vancouver Playhouse。Photo by Koichi Saito/The Vancouver Shinpo
母性(Motherhood)Q&Aのあとにファンとの写真撮影に応じる廣木隆一監督。2022年10月5日、Vancouver Playhouse。Photo by Koichi Saito/The Vancouver Shinpo
大ファンという湊かなえさん(左)と一緒に記念撮影するSunnyさん。VIFF2022会場で。2022年10月5日。(写真提供:Sunnyさん)
大ファンという湊かなえさん(左)と一緒に記念撮影するSunnyさん。VIFF2022会場で。2022年10月5日。(写真提供:Sunnyさん)

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新報コラム「招客招福の法則」小阪裕司さん、近く出版記念ウェビナー開催

小阪裕司著「価格上昇」時代のマーケティング
小阪裕司著「価格上昇」時代のマーケティング

 バンクーバー新報コラム「招客招福の法則」でおなじみの小阪裕司さんが、新著「『価格上昇』時代のマーケティング」の出版を記念して、ウェビナー「人の心をつかむマーケティングの極意」を開催する。

 小阪さんは、1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。「人の『感性』と『行動』を軸にした独自のビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会『ワクワク系マーケティング実践会』を主宰」。

 連載・執筆・著書も多く、バンクーバー新報では、「招客招福の法則」を毎月第1木曜日に掲載している。

 ウェビナーは、バンクーバーからの参加者を考慮した時間設定で開催され、参加料は無料。小阪コラムファンにとっては、バンクーバーにいながら直接話が聞けるまたとない機会となる。

 また新著「『価格上昇』時代のマーケティング」は、AmazonでKindle版も購入できる。

 今回のウェビナー開催にあたり、小阪さんから新報読者にメッセージが届いた。

「バンクーバー新報読者のみなさま、こんにちは。
 オラクルひと・しくみ研究所の小阪裕司です。
 日ごろは、本紙での連載コラム『招客招福の法則』をお読みいただき、ありがとうございます。
 おかげさまで、この連載ももうすぐ100回を迎えます。
 このように長く連載を続けられるのも読者のみなさんのおかげです。ありがとうございます。
 日本では、私の43冊目の新著、『「価格上昇」時代のマーケティング』が発売となりました。
 それを記念してこのたび、バンクーバー新報読者のみなさまに、バンクーバーの時差に合わせて、出版記念ウェビナーを行うこととなりました。
 コラムでは長くお付き合いさせていただいておりますが、私が直接みなさんにお話しする機会は、連載以来これが初めてです。
 私が提唱し続けている『人の心と行動』を軸にしたマーケティングをコラム同様、豊富な実例とともにお話しします。
 お目にかかれますことを、楽しみにしています」

小阪裕司新刊出版記念ウェビナー「人の心をつかむマーケティングの極意」

日時:10 月26日(水)7pm ~ 8:30pm(バンクーバー時間)
場所:Zoom
料金:無料
申込方法:https://kosakayuji.com/smk9(ウェビナー当日参加のためのURL・パスコードは、申し込み直後に申込者に返信される自動返信メールに書かれている)
小阪裕司詳細:https://kosakayuji.com

小阪裕司コラム「招客招福の法則」はこちらから。

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第94回「2年分を2週間で売ったある改善とは」

 今回は、2年間で70本しか売れなかった商品に、店頭であることを行った結果、価格を2割も上げたにも関わらず、2週間で70本、つまりそれまでの2年分を売ることができた、という事例をご紹介しよう。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、ある鮮魚店でのことだ。

 同店では、あるドレッシングを扱っている。店主が顧客に自信を持って薦められると思う逸品だ。メインの鮮魚売り場の什器の上、すぐ目につくところに陳列してあるが、売れ行きはぼちぼち。2年で70本ほどだった。

 そこで店主、こういう商品こそワクワク系マーケティングの出番と心機一転、ワクワク系に徹して取り組むことにした。そして、どうせ新たに取り組むなら、と価格を2割ほど値上げして、再スタートを切った。

 まずはPOP(店頭販促物)だ。ワクワク系では、自分が良いと思う商品が思ったほど売れない場合、「意外と売れない商品だな」と思わず、「お客さんにこの商品の価値を伝えきれていないのでは」と考える。そして価値をより伝えるべく、POPなどを改善する。当コラムでの店の事例で、POPの例がよく出て来るのはそのためだ。同店にはそれまで目立つPOPは貼ってなかったが、今回は黒地の紙に白い文字で、まずは大きく「〇〇(店主の名前)の一番好きなドレッシング」と書き、このドレッシングを薦める理由や、鮮魚店らしく刺身にかけるだけでカルパッチョになるなど価値を訴求し、メインの鮮魚売り場の什器の上、一番目立つところに大きく貼り出した。

 そうしてしばらく様子を見たが、お客さんの反応がどうも薄い。店主ははっとした。黒地・白文字にしたのは、黒板に白いチョークでメニューが書いてあるイタリアンバルのようでかっこいいと思ったからだが、お客さんにはかえって見にくく、POPが目にとまっていないのではないか。そこで早速白地に黒の文字に書き換え、貼り換えた。書いてあることはまったく同じ。しかし、そうした途端にお客さんの動きが変わった。さらにカルパッチョの写真を添えるなど矢継ぎ早に改善を加え、取り組み始めて2週間で70本、2年分を2週間で売ることができたのだった。

 この改善の肝は、黒地・白文字を反転させただけ。しかしたったそれだけで、値上げしたにも関わらず、これほど大きく売上は変わった。このように、人の行動原理をよく知り、人をよく見ていれば、改善できることはたくさんあり、もっと多くの売上も得ることができるのである。

小阪裕司(こさか・ゆうじ)
プロフィール 

山口大学人文学部卒業。1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。
 
人の「感性」と「行動」を軸としたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県(一部海外)から約1500社が参加。

2011年工学院大学大学院博士後期課程修了、博士(情報学)取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独⾃の活動は、多⽅⾯から⾼い評価を得ている。 

「⽇経MJ」(Nikkei Marketing Journal /⽇本経済新聞社発⾏)での540回を超える⼈気コラム『招客招福の法則』をはじめ、連載、執筆多数。著書は最新刊『「顧客消滅」時代のマーケティング』をはじめ、新書・⽂庫化・海外出版含め40冊。

九州⼤学非常勤講師、⽇本感性⼯学会理事。

日本語教師・高羽洋平さん「自分」というネームブランドを世界へ

陽気な「洋平先生」。
陽気な「洋平先生」。
陽気な「洋平先生」。
陽気な「洋平先生」。

 「洋平先生、こっちきてー!」と子どもたちから人気の日本語教師高羽洋平さん。そんな洋平先生は知る人ぞ知る「スーパー人間」。カナダに来る前は、中京テレビの「オドぜひ」にスーパー人間として出演し、その後商社に就職するも、脱サラ。現在は自分の夢を叶えるべく、バンクーバーで日本語教師として活躍している。今回は、そんな「洋平先生」に話を聞いた。

世界で活躍したいという夢を持ち総合商社に勤めていたということですが、辞めるきっかけは何でしたか?

 僕の場合は、根本的な夢が叶えられていないということに気づいたのがきっかけです。輸出入の仕事なので、海外取引をして、実際にインドネシアにも出張で頻繁に行き、はたから見たら順風満帆の生活のように思われていましたが、心は全く満たされていませんでした。結局僕がどれだけ良いパフォーマンスをしても、一社員が会社内で活躍しているだけであって、舞台は世界じゃなくて、会社じゃないかと…。会社の名前は評価されても、高羽洋平という名前は出てこないんですよね。

 それだったら、自分の手で海外で活躍するチャンスをつかみたいなって思うようになりました。それが入社して1年目の終わりごろでした。

思っていることを行動に移すのは簡単なことではなかったと思います。

 めちゃくちゃ悩みましたよ。休みの日もずっと四六時中考えていました。「仕事を辞めたい」よりも「何か新しいことにチャンレジしたい」で悩んでいたので、何かにつながればいいなと、ビジネスやら自己啓発やら小説やら色んなジャンルの本を読み漁りました。若手の読書交流会にも毎週土曜日の朝に参加しました。僕のように今置かれている現状に疑問を持つ人たちも多く、次第に外の社会に対する理想が強くなっていきましたね。そうしているうちに、何十年も先が見えているレールに乗ったままの人生に怖くなって、入社3年目に会社を辞める決意をしました。

大決断でしたね。

 はい。「何、考えてるんだ」「もったいない」って、背中に穴が開くほど後ろ指を刺されましたよ(笑)

 僕が一番気になったのは親でしたね。安心していた親を不安にさせるのが申し訳ないなと。しかも仕事を辞めた時は、(新型)コロナ(ウイルス)禍で海外に行けるかどうかわからなければ、仕事や生活の担保もない状態だったので。それだけに、自分の選択は間違ってなかったと証明できるよう、将来に対して強い責任感が生まれました。

 今となればあの時反対してくれた人たちが、僕のモチベーションにもなっています。親身になって心配してくれたからこそ反対したわけであって、彼らにも顔向けできるようがんばろって思うようになりました。

そしてカナダで日本語教師という夢を得たと?

 はい。当時コロナ禍で渡航できる国がカナダだけで、とりあえず海外に行けるチャンスがあればそこから広げようと思い、すぐ決断に至りました。日本でチンタラしている時間が僕にはなかったんですよね。

 そして、カナダでの学生生活に慣れてきた頃に、僕の強みってなんだろうって考え、日本語教師という職が向いてるかもって思ったんです。英語が話せて当たり前の世界で、日本語が話せること、教えるのにも自信がある、教師という仕事にも親近感がある。だって僕の実家って、父も母も姉たちも、全員教員なんですよね。これだ!と思って、日本語教師育成講座を受講しながら、限られた時間を無駄にしたくなかったので、日本語学校での仕事探しも並行して始めました。

すばらしい行動力ですね。

 子どもの頃から人と同じことをするのにストレスを感じていて、こんな自分は変なのかな?って劣等感を抱いてましたが、そのコンプレックスがたまに強みになってくれることがあるんですよね。

 仕事探しにしても、周りはみんなカレッジのコープ提携校の中で仕事を探していましたが、僕は外に出て自力で仕事をゲットしましたし、前職にしても、みんなが就職3年目でこの会社でバリバリがんばろうって時に辞めましたし、今、力を入れているSNSにしても、日本語の良さをどうやって伝えようか考える時、ほかの人がやっていないことを探しています。

日本語教師となった今はどんな毎日ですか?

 カレッジのコープを終え、ワーホリとしてバンクーバーにいる現在も引き続きバンクーバーの日本語学校で教師として活動しています。子どもたちがたくさん集まり、日本語学習を共有できる場所としてはこの学校の存在は大きいですね。またオンラインスクールでも世界中の日本語学習者に日本語を教えています。

 また最近ではノースショアで日本語クラブの共同オーガナイザーとしても活動しています。ノースショアには日本語学校がなくて、距離的な理由で日本語学校に通わせるのが難しいご家庭が多いことを知り、そんな子どもたちの役に立ちたくて、このクラブを始めました。ここではカリキュラムから授業まで僕が作っていますよ。

 全く違う3つの教育環境で、どうやって日本語を教えるのが生徒たちにとって最善なのかを考えて授業の準備をしています。授業が終わったあとに「帰りたくない」「楽しかった」なんて言ってくれる子どもたちを目にすると、たくさん準備した甲斐があったなとうれしくなりますね。この仕事ではお金では得ることができないもっと大切な何かがあるように感じています。

商社時代に探していた心の満たしを現職で得ているようですね。

 そうですね。日本語を話せない、あるいは話そうとしない子どもたちが、しゃべろうとしたり、しゃべりたいと変わっていく姿を見て、自分の好きな仕事が誰かの役に立てているのを実感しますね。この職を選んで本当に良かったと思います。

 今は、次のステップとして僕にしかできない授業、いわば高羽洋平というブランドを作って、それを世界中に広めることを目標としています。そこでHop! Step! JAPAN!というオンライン団体を作りました。現在11,600人が登録し、世界中の日本語学習者と日本語教師を目指している人たちを結ぶ役割を果たしています。日本語教師としての僕の活動を見て、この仕事に興味を持ってくれる人たちが増え、日本語教育の発展につながればいいなと思っています。

人生に伏線を

 自分というブランドで活躍したいという目標を持つ高羽洋平さん。「何気ない毎日が実は未来の大きな伏線になっているかもしれない」。その可能性を信じ、いまバンクーバーで挑戦の毎日を送っている。

何気ない毎日が、実は未来の大きな伏線になっているかもしれない。その可能性を信じ、挑戦の毎日を送っている高羽さん。
何気ない毎日が、実は未来の大きな伏線になっているかもしれない。その可能性を信じ、挑戦の毎日を送っている高羽さん。

(編集部)

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