9月5日から15日まで、トロントで第49回トロント国際映画祭(TIFF)がいよいよ開幕。今年もカンヌやベネチアで話題となった注目作をはじめトロントがワールドプレミアとなる作品、日本や韓国、ヨーロッパなど世界中から出品される話題作など見ごたえのあるラインナップとなりました。そしてTIFFと言えばレッドカーペット!コロナ禍、昨年の俳優業界のストライキを乗り越えた今年はやっと本領発揮、ハリウッドセレブが毎日の様に登場する華やかな11日間となりそうです。
それでは、278作品もある上映作から絞りに絞った注目作品をご紹介。
まずは日本映画
「Cloud(原題:Cloudクラウド)」黒沢清監督
菅田将暉さん演じる転売屋が主人公の集団狂気を描くサスペンススリラー。海外でも評価の高い黒沢監督と日本の若手俳優を代表する菅田さんがタッグを組んだ作品は先日のベネチア映画祭でも好評を得、トロントの後は釜山国際映画祭への出品が決まっています。
「The Gesuidouz(原題:ザ・ゲスイドウズ)」宇賀那健一監督
売れないバンドが田舎に移住して心機一転曲作りに励むパンクでファンタジーなロック映画。宇賀那監督はこれまでホラー系映画などを手掛けてきたため(?)か「ミッドナイトマッドネス」という真夜中にホラーやSF、ちょっとクレイジーなノリの映画が並ぶ部門で上映。(筆者注:他の時間帯に無いハイテンションな連帯感が観客の間に生まれるミッドナイトマッドネスは映画祭ならではの楽しさ。是非一度は経験してみてください!)
「My Sunshine (原題:ぼくのお日さま)」奥山大史監督
アイスホッケーが人気の田舎の町でアイスホッケーが苦手な少年とフィギュアスケート選手の夢をあきらめたコーチ、東京からやってきたフィギュアスケートを習う少女の3人が描く、温かい人間模様。演技派の池松壮亮さんがコーチ役です。
「Happyend(原題:HAPPYEND)」空音央監督
近未来を舞台にした高校生たちの物語。毎日楽しいことだけを考えていた大親友のふたり。卒業を控え現実を見つめ始めた時に起きたある出来事から、次第に二人の関係にも変化が起き・・・。ドキュメンタリー「Ryuichi Sakamoto| Opus」を撮った空監督が描く青春映画。
ハリウッド作品
「Megalopolis」フランシス・フォード・コッポラ監督
あのコッポラ監督が1億2000万ドルもの私費(‼)を投じて製作したSF大作で主演はアダム・ドライバー。脚本を書き始めてから完成までに40年も費やしたという作品なので楽しみにしていた人も多かったはず・・・なのに今のところ酷評が圧倒的に多い違った意味でも話題作です。
「SATURDAY NIGHT」ジェイソン・ライトマン監督
土曜の夜の人気コメディ番組「Saturday Night Live」の初回放送前の舞台裏を描くストーリー。何人ものスターコメディアンを輩出し、毎週私たちを楽しませてくれている番組が始まったのは1975年の10月11日。それを記念して10月11日に劇場公開の予定。
「The Wild Robot(邦題:野生の島のロズ)」クリス・サンダース監督
ピーター・ブラウンの児童書「The Wild Robot」を原作としたアニメ作品。無人島に漂流したロボットのロズが動物たちとの交流を通して様々なことを学んでゆく心あたたまるストーリー。ルピタ・ニョンゴ、ペドロ・パスカル、キット・コナー、マーク・ハミルなどが声を担当することでも話題に。
「Emilia Perez」(ジャック・オーディアール監督)
性別適合手術を受けて女性になりたい麻薬カルテルのボスをめぐるギャングものミュージカル。カンヌ国際映画祭ではゾーイ・サルダナ、セレーナ・ゴメス、カルラ・ソフィア・ガスコン、アドリアナ・パスの4人が共に女優賞を受賞し話題に。
他にも
「The Substance」(コラリー・ファルジャ監督)
デミ・ムーアが美と若さにとりつかれた女性を演じるホラー。こちらもミッドナイトマッドネス作品です!
「Anora」(ショーン・ベイカー監督)
セックス・ワーカーの女性が富豪の息子と結婚するものの周囲の反対に合う様子を描いた作品でカンヌ映画祭ではパルムドールを受賞しました。
「Universal Language」(マシュー・ランキン監督)
カナダのウィニペグが舞台のシュールなコメディ。批評家間でじわじわと評価が上がっており今年のオスカーのカナダ代表として選出されています。
韓国作品
ヒョンビンさんやキム・ゴウンさん!韓国ドラマの人気俳優たちもレッドカーペットに登場予定!
「Harbin(邦題:ハルビン)」ウ・ミンホ監督
1909年の韓国を舞台に描く歴史大作。日本でも大ヒットした「愛の不時着」のヒョンビンさんが主役の安重根を演じます。出演俳優のヒョンビンさんとイ・ドンウクさんは「Conversation with 」というトークセッションにも参加します。
「Love in The Big City(邦題:大都市の愛し方)」イ・オンヒ監督
周りの目を気にしない自由な女性(キム・ゴウンさん)、周囲の人とは距離を置くタイプの男性(ノ・サンヒョンさん)が同居しながら愛を育むラブストーリー。「トッケビ~君がくれた愛しい日々~」で私たちを魅了したキム・ゴウンさんの笑顔がはじける予告編を見て映画への期待も高まっています。
TIFFのスケジュールと上映館、チケットの購入方法はTIFFサイト(https://www.tiff.net)に掲載。
最後に・・・サイトでチケットが売り切れていても当日まで何度も追加販売の席が出るので、あきらめずにサイトをチェックすることをお薦めします。それでも買えない時は当日券の列(rush line と提示された列)に並んで買えることも多々あります。
レッドカーペットのセレブを見るのに映画のチケットは不要。プレミアム上映会場前で2-3時間前から頑張ればかなりの確率で近くに陣取れます!
Lalaのシネマワールド
映画に魅せられて
バンクーバー在住の映画・ドラマ好きライターLalaさんによる映画に関するコラム。
旬の映画や話題のドラマだけでなく、さまざまな作品を紹介します。第1回からはこちら。
Lala(らら)
バンクーバー在住の映画・ドラマ好きライター
大好きな映画を観るためには広いカナダの西から東まで出かけます
良いストーリーには世界を豊にるす力があると信じてます
みなさん一緒に映画観ませんか!?