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Naomi Mishima

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日本語認知症サポート協会「オンライン de Cafe・笑いヨガ」

「笑顔の力」を引き出そう〜「笑いヨガ」で、元気な心と体づくり〜

毎月、「笑いヨガ」を行っています。自宅にいながら参加できる、オンラインでのセッションです。初めての方も大歓迎。楽しく、一緒に笑いましょう!

日時:2025年2月20日(木)午後8時〜午後9時
会場:Zoom

参加費:初回無料、2回目からドネーション(e-Transfer、PayPalまたは小切手にて)
申し込み締め切り:2025年2月18日(火)
申し込みリンク:https://forms.gle/9GjsA57CwoJGeACm6

*お申し込みいただいた方には、追って参加方法をご案内いたします。

お問い合わせ先:orangecafevancouver@gmail.com

主催:日本語認知症サポート協会(Japanese Dementia Support Association) http://www.japanesedementiasupport.com

「日本語認知症サポート協会」ボランティア募集

次の活動のお手伝いをしてくださる方を募集しています。

◆イベント開催時のサポート
◆会計、事務
◆広報、webマーケティング等

認知症のご家族がいらっしゃる方、認知症関連の活動のサポートに興味のある方、当協会にご協力ください。

興味のある方は、下記までご連絡ください。
日本語認知症サポート協会(Japanese Dementia Support Association)
orangecafevancouver@gmail.com
http://www.japanesedementiasupport.com

第20回 エンディング(終活)ノートの再考~Let’s 海外終活~

終活は新しい大人のマナー

叶多範子

新春のお慶びを申し上げます。バンクーバーは寒さの厳しい日が続いていますが、新年の清々しい空気が漂っています。皆様はどのような新年をお迎えでしょうか。この時期、多くの方が新たな目標を立て、心機一転で一年を始められることと思います。

前回のコラムでは「生き様」と「死に様」について触れ、終活が「究極の愛情表現」であるとお伝えしました。この機会に、以前にもご紹介したエンディングノートについて、新たな視点を交えながら、改めてお話させていただきたいと思います。

私がエンディングノートについて繰り返しお伝えするのは、それだけ大切なものだと実感しているからです。弁護士事務所での経験を通じて、準備があるかないかで、残された家族の体験がいかに異なるものになるか、身をもって知っているからこそ、年の始めに、もう一度、エンディングノートの持つ意味を一緒に考えてみませんか。

エンディングノートと聞くと、未だに「まだ早い」「縁起が悪い」と感じる方も多いかもしれません。しかし、このノートは決して「終わり」のためのものではありません。むしろ、あなたの想いを大切な人に届け、そして「未来の自分」を守るための架け橋になるのです。

特に、私たち海外在住者にとって、エンディングノートの重要性は計り知れません。母国の家族との物理的な距離、言語や文化の違い、そして現地の制度への不慣れ―。これらの課題に直面したとき、あなたの想いや希望を明確に記したノートの存在は、大きな助けとなるはずです。

たとえば、もしあなたが認知症になってしまったとき。好きな食べ物、大切にしている習慣、受けたい医療ケアなど、あなたの「とりせつ」(取扱説明書)として、このノートが活きてきます。医療・介護スタッフの方々も、あなたの意向を理解した上で、より適切なケアを提供できるようになります。

また、デジタル時代を生きる私たちには、新たな課題も存在します。スマートフォンやパソコンの中には、大切な写真や連絡先、さまざまなアカウント情報が保管されています。これらへのアクセス方法や希望する取り扱いを記録しておくことも、現代のエンディングノートには欠かせない要素となっています。

エンディングノートは、決して形式的な書類ではありません。むしろ、あなたの人生の物語であり、大切な人への手紙のようなものです。好きな音楽、思い出の場所、伝えたい家族の歴史など。それらを綴ることは、自分自身の人生を振り返る素晴らしい機会にもなります。

書く内容に決まりはありません。

たとえば、

・自分の人生で大切にしてきた価値観
・家族への感謝のメッセージ
・医療や介護に関する希望
・デジタル資産の管理方法
・思い出の写真や品々にまつわる話
・受け継いでほしい家族の伝統や習慣

これらを少しずつ書き記していけばよいのです。完璧を目指す必要はありません。

私の経験から言えば、エンディングノートは「書いてよかった」と感じる人は多くても、「書いて後悔した」という人には出会ったことがありません。それは、このノートが単なる情報の記録ではなく、あなたの想いと愛情が形となって残るからです。

新しい年を迎えるにあたり、「今年こそは」と思っていることの一つに、このエンディングノート作成を加えてみてはいかがでしょうか。それは、未来のあなたと、大切な人たちへの、最高の贈り物となるはずです。

*このコラムは終活に関する一般的な知識や情報提供を目的とするものです。内容の正確さには努めておりますが、必要に応じてご自身で確認、または専門家へご相談ください。このコラムを元にして起きた不利益は免責とさせていただきます。

「Let’s海外終活~終活は新しい大人のマナー」の第1回からのコラムはこちらから。

叶多範子(かなだ・のりこ)

グローバルライフデザイナー
2015年、友人の孤独死と相続問題をきっかけに、カナダのバンクーバーで遺言・相続専門の弁護士アシスタントとしてキャリアをスタート。2020年には終活アドバイザー資格を取得し、終活の視点を取り入れた知識と実務経験を活かしたノート術とコンサルティングを提供しています。
「終活せずに困った!」という後悔の声を「やってて良かった」「ありがとう」と笑顔で未来を彩ることをライフワークとしており、これまで300名以上に国境を越えた安心感を届けています。国内外問わず、すべての人が大切な未来をデザインできるようサポートしています。 家族はカナダ人の夫、2人の息子、愛猫1匹。日々の活動や最新情報は、メルマガ、ブログ、SNSで発信中。

メルマガ:https://www.shukatsu.ca/mailmagazine
ブログ: https://globalmesen.com/
Facebook: https://www.facebook.com/noricovancouver
Instagram: https://www.instagram.com/norikocanada/
著書「海外在住日本人のための50代からの終活」:​​https://a.co/d/ad4OeLw

「カナダと日本の“次の100年の架け橋”に」Royal Roads University 日本庭園再新生計画 茶室完成

雪見障子を開けると、色々な角度から庭が眺められるように設計された茶室内
雪見障子を開けると、色々な角度から庭が眺められるように設計された茶室内

ビクトリアのRoyal Roads University(住所:2005 Sooke Road, Victoria, BC)にて、100年以上の歴史を持つ日本庭園の再生プロジェクトが進行中です。このプロジェクトの一環として、本格的な茶室が2024年8月末に完成しました。

外側から眺めた茶室
外側から眺めた茶室

この茶室は、地元のダグラスファー(米松)を使用し、手作業で丁寧に建築されました。

工房にて、一つ一つ手加工している小川隼人氏
工房にて、一つ一つ手加工している小川隼人氏

設計と建築は、Ogawa Landscape Designの小川隼人氏が手掛け、持続可能な素材を活用しています。茶室は日本庭園の南西の隅に位置し、周囲の自然美と調和するようデザインされています。

雪見障子を開けると、色々な角度から庭が眺められるように設計された茶室内
雪見障子を開けると、色々な角度から庭が眺められるように設計された茶室内

プレオープン時には、Royal Roads Universityの学長やビクトリア駐在日本国名誉総領事、地元自治体の市長、考古学者などが出席し、ビクトリア裏千家淡交会のメンバーが主催する茶会が行われました。ゲストたちは、茶室内で和菓子と抹茶を楽しみました。

2023年8月28日に茶室完成セレモニーにてスピーチを行っている小川隼人氏
2024年8月28日に茶室完成セレモニーにてスピーチを行っている小川隼人氏
ビクトリア裏千家淡交会の池田彩子氏がお茶を点てる風景
ビクトリア裏千家淡交会の池田彩子氏がお茶を点てる風景
季節の花、山茶花をモチーフに荻島美佐恵氏による手製の主菓子
季節の花、山茶花をモチーフに荻島美佐恵氏による手製の主菓子

この八畳の茶室は、どの位置からも庭を眺められる設計となっており、雪見障子や襖を閉じることで外部から遮断された静寂な空間を演出します。内部には無節のダグラスファーや檜、掛川和紙、京畳、聚楽塗りの壁など、高品質な素材が使用されています。また、カナダの建築基準に準拠したバリアフリー設計で、茶道だけでなく、華道、香道、書道など多目的に利用可能です。

茶室周りは板張りの廊下となっており、車椅子の方もお茶を楽しめる設計となっている。
茶室周りは板張りの廊下となっており、車椅子の方もお茶を楽しめる設計となっている。

将来的には、四畳半の小間と屋根付きの渡り廊下で接続し、北米でも類を見ない規模の本格的な茶室を計画しています。さらに、茶庭、メインゲート、神輿舎、花見ガーデン、盆栽園、菖蒲園、既存の滝や小川の補修、禅ガーデンとしてのリニューアルなど、多彩なプロジェクトが進行中です。これらが完成すれば、ビクトリアやバンクーバーの新たな名所となることでしょう。

小川氏は、「この場所は単なる建物ではなく、自然と共存する場であってほしい」と述べ、茶室を通じて多くの人々が自然の美しさや季節の移ろいを感じ、新たな出会いを育むことを願っています。訪問者は、茶室に入る前に茶庭で心を清め、特別な空間で一服を楽しむことができます。

このプロジェクトは、Royal Roads Universityの「A Vision in Bloom」キャンペーンの一環として進められており、地域社会や寄付者の支援を受けております。茶室の完成により、学生や地域住民が日本文化を体験し、学ぶ機会が提供されることが期待されています。

メインゲート完成イメージ
メインゲート完成イメージ
メインゲートをくぐると、春には家族や友達と花見を楽しめる桜花見ガーデンの完成イメージ
メインゲートをくぐると、春には家族や友達と花見を楽しめる桜花見ガーデンの完成イメージ
カナダ人ご夫婦から200鉢ご寄付頂いた盆栽のお披露目スペースとして盆栽ガーデン完成イメージ
カナダ人ご夫婦から200鉢ご寄付頂いた盆栽のお披露目スペースとして盆栽ガーデン完成イメージ
禅ガーデンの完成イメージ
禅ガーデンの完成イメージ

(寄稿 渡辺久美奈)

祝*成人式2025~新成人の皆さまへ

ご成人、おめでとうございます。 心よりお祝い申しあげます。
東漸寺では、ご成人になられた皆さまのご健康とご健闘を願いまして、合同の法要を行います。
是非、ご家族お揃いでお越しくださいませ。

東漸寺

成人式合同法要:日時 1月19日(日曜日) お経読開始:午後1時半
住所:209 Jackson street Coquitlam,B.C. Canada V3K 4C1

早めにいらして本堂でお待ちください。
お名前のお読み上げをご希望の方は、事前にフルネームをお知らせください。

●日本の成人年齢が、2022年4月から18歳に引き下げられました。

東漸寺では、グローバルスタンダードに合わせまして、18歳、19歳、20歳の皆さまに対応させていただきます。
(日本での成人年齢につきましては参照をご覧ください。)

●合同の法要になります。お布施はお心入りとして$30〜donatiionをお願いしております。

表面に「お布施」裏面にお名前とご住所を書いて現金でご持参ください。
(お名前の読み上げをご希望の方は、受付にてお知らせください。$50~donatiionをお願いしております)

●和の学校@東漸寺では、着物レンタル、着付サービス及び写真撮影をさせていただきます。料金は別途となります。

お見積をご希望の方は、ともこまでお問い合わせくださいませ。 お問い合わせ、お申し込みは コナともこ 

和の学校@東漸寺 tands410@gmail.com 
ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/

<Tozenji Temple>東漸寺関係

Japanese culutre school 和の学校@東漸寺Homepage https://wanogakkou.jimdofree.com

Japanese culutre school  和の学校@東漸寺Instagram https://www.instagram.com/wa_no_gakkou_tozenji

Japanese culutre school  和の学校@東漸寺Facebook https://www.facebook.com/profile.php?id=100069272582016

Tozenji東漸寺Homepage https://tozenjibc.ca

  <Kona Kimono Service>着物関係

コナ着物サービス
(小長谷朋子ピーターズ)

*着付教室*着物レンタル*着付け&和装ヘアーメイク*

e-mail tands410@gmail.com

Facebook https://www.facebook.com/tomoko.kona.98

Instagram https://www.instagram.com/konatomoko/?hl

Kimono column (Sorry only Japanese language)
毎月、季節と着物について綴っております。

https://www.japancanadatoday.ca/category/column/kona-kimono-story

ラインやメッセンジャーでも受け付けております。
LINE(ラインは修理中です)
朋子ライン QRコード.jpg
MESSENGER  
Tomoko Kona or Tomoko Konagaya Peters

《参照》
日本文化研究ブログ
【2024年】成人式はいつ・何をする?年齢は何歳?行かないと後悔する? – 日本文化研究ブログ https://jpnculture.net/seijinshiki/

JALTA主催第25回お話発表会のお知らせ

JALTA 日本語教育振興会は第25回お話発表会を行います。
JALTA所属の日本語学校から代表者が集まり日本語でスピーチを行います。
どうぞ応援にお越しください。そして温かい励ましの拍手を参加者に贈ってください。


日時:2月9日 日曜日  午後1時から
場所:バンクーバー日本語学校並びに日系人会館ホール
487 Alexander St. Vancouver, BC
入場:無料

自力整体 2025年1月~4月

ご自身の身体と向き合う時間、身体と対話する時間、そんな時間を持つことが、病気の予防・治療効果につながります

『最新の自力整体をお届け致します』

★日系センター対面Real教室   単発参加・初心者参加も大いに歓迎 !

◎金曜日クラス 1月10日(金) ・24日(金) AM10:30~11:30

19日(日)日曜日90分ゆっくりクラス AM11:30~13:00

◎金曜日クラス  2月7日(金) ・21日(金) AM10:30~11:30

16日(日)日曜日90分ゆっくりクラス AM11:30~13:00 

◎金曜日クラス 3月7日(金) ・21日(金)  AM10:30~11:30

16日(日)日曜日90分ゆっくりクラス AM11:30~13:00 

◎金曜日クラス 4月11(金) ・25日(金) AM10:30~11:30

20日(日)日曜日90分ゆっくりクラス AM11:30~13:00  

★Web教室 (好評配信中❢❢❢)  サンプル動画あります

(月)・(木)の夕方クラス

(木)・(土)の朝のクラス

(週1回、1回90分 休憩時間5分込み)

★Zoom配信ではなく、Web苦手な方も簡単❢ さらに効果的★

詳細・お問い合わせはお気軽に、、、
☎ 604‐448-8854
jirikiseitai.canada@gmail.com 
Webサイト https://jirikiseitai-canada.jimdofree.com/

「笑いヨガ」で初笑い ~笑いながら全身を鍛えよう~

謹んで新春をお祝い申し上げます。旧年中は、「日本語認知症サポート協会」の講演会等にご参加いただき、誠にありがとうございました。

今年のお正月も、ご家族やご友人と共に、楽しくお過ごしになられた事と思いますが、お腹の底から笑いましたか?

私たちは、大人になり歳を重ねるほど、笑わなくなります。子供は、1日におよそ400回も笑うのに、大人は10回から20回。その回数は、歳を重ねるほど減っていくそうです。

笑いを体操にした「笑いヨガ」。2025年も、これまで通り「オンライン de Café」にて続けていきます。免疫力の向上、血行促進、脳の働きの活性化、自律神経のバランス調整、リラックス効果、ストレス解消など、「笑いヨガ」には様々な健康効果がありますが、とにかく楽しく笑い、幸先良く一年をスタートしましょう。

奮ってご参加ください。

~  ~  ~  ~  ~  ~  詳細  ~  ~  ~  ~  ~  ~

「オンライン de Café
「笑いヨガ」で初笑い ~笑いながら全身を鍛えよう~

日時:  

カナダ: 2025年1月23日(木) 午後8時から午後9時

日本: 2025年1月24日(金) 午後1時から午後2時

会場:Zoom参加費: 無料

参加申し込み:https://forms.gle/r5qcGcs672hH3JKo7

申し込み締め切り:2025年1月21日(火)

お問い合わせ:orangecafevancouver@gmail.com

主催:日本語認知症サポート協会(Japanese Dementia Support Association)

*お申し込みいただいた方には、開催日前日までに、当日の参加方法をご案内いたします。

「カナダ“乗り鉄”の旅」第20回 異色の「トランプ」案件!?心温まるVIA鉄道カナダの命名劇

カナダの首都オタワ駅に停車中の、トロントと結ぶVIA鉄道カナダの列車(2024年2月21日、大塚圭一郎撮影)
カナダの首都オタワ駅に停車中の、トロントと結ぶVIA鉄道カナダの列車(2024年2月21日、大塚圭一郎撮影)

大塚圭一郎

 アメリカの前大統領の要職にありながら数多くの暴言を吐いて国民を「分断」させ、2020年の大統領選での敗北を受け入れずに連邦議会議事堂の襲撃事件を扇動したとして刑事被告人になったドナルド・トランプ氏が今月20日に復帰する。隣国カナダが「アメリカの51番目の州になるのは素晴らしいアイデアだ」と併合への意欲を示したり、地元先住民のたっての希望で改名されたアメリカ西部アラスカ州の北米大陸最高峰デナリ(標高6190メートル)を旧称の「マッキンリー」に戻す意向を表明したりと、相手の自尊心を平然と傷付ける傲岸不遜な姿勢にはただあきれるしかない。しかし、同じ「トランプ」つながりでも、VIA鉄道カナダの手にかかるとこれほどまでに心温まる命名劇へと一変する―。

【VIA鉄道カナダ】カナダの都市間旅客列車を運行する国営企業。本社は東部ケベック州モントリオール。現在は貨物鉄道に特化しているカナディアン・ナショナル鉄道(CN)とカナディアン・パシフィック・カンザス・シティー(CPKC)が切り離した旅客鉄道事業を引き継ぎ、1977年に発足した。カナダ10州のうち東部ニューファンドランド・ラブラドル州、プリンスエドワードアイランド州を除く8州を走る。慢性的な赤字で、2023年12月期決算の本業の損益を示す営業損益は5億1220万カナダドル(約562億円)の赤字だった。VIA鉄道カナダは貨物鉄道が保有する線路を借りて列車を走らせているため、優先される貨物列車のあおりを受けて遅れることが多い。

側線の名称が「チェルシー」に改名

 VIA鉄道の旅客収入の約8割を稼ぎ出している主力区間が「ケベックシティー―ウィンザー回廊」だ。カナダ東部のオンタリオ州のウィンザー、国内最大都市のトロント、首都オタワ、ケベック州モントリオール、ケベックシティーなどをつないでおり、VIA鉄道としては比較的多くの列車が走るため利便性が高い。

ブロックビルの駅名標(2024年2月21日、大塚圭一郎撮影)
ブロックビルの駅名標(2024年2月21日、大塚圭一郎撮影)

 とりわけトロント―オタワ間とトロント―モントリオール間の列車は中核で、これらの一部が停車するのがブロックビル駅(オンタリオ州)だ。駅の近くにあり、列車が待避する際に使われる側線の名称が2022年12月、近くの通りにちなんだ「スチュワート」から「チェルシー」へ改名された。側線の脇には、白地に黒い文字で「VIA Chelsea」と記した看板が立てられた。

 「チェルシー」は近くに住む女性、チェルシー・カデューさんの名前に由来する。カナダ放送協会(CBC)などによると、難病のスタージ・ウェーバー症候群を患っているチェルシーさんは治療を受けるためにトロントまで列車に乗っていた。それがきっかけに鉄道好きとなり、2010年ごろから父親に連れられてブロックビル駅の周辺を訪れ、VIA鉄道の列車を引っ張るディーゼル機関車を運転する機関士らとあいさつするのがほぼ日課となった。

ブロックビル駅前の様子(2024年2月21日、大塚圭一郎撮影)
ブロックビル駅前の様子(2024年2月21日、大塚圭一郎撮影)

 チェルシーさんが決まって持ち歩いているのがトランプだ。機関士にトランプの中からお気に入りのカードを選んでもらうと、チェルシーさんはそれを暗記した。そして機関士が列車を動かしてやって来た次の機会には、お気に入りのカードを高く掲げてあいさつするようになった。

 例えば「ジャック(J)とスペード」のカードが好きな機関士が運転する列車が近づいてきた場合、チェルシーさんは「Jとスペード」のカードを機関車の方に見せる。すると、自分の好きなカードを覚えてもらった機関士は喜び、警笛を鳴らして応じるという光景が日常化した。

列車無線から日々名前が

 難病を患っても前向きな気持ちを忘れず、笑顔で出迎え続けてきたチェルシーさんにVIA鉄道の機関士らは「特別な贈り物」を用意することを会社側に提案した。それが側線の改名で、会社側はこのアイデアを受け入れた。

 側線に命名されると、列車無線でも「チェルシーに入線」などと名前を日々呼ばれることになる。機関士らの善意を理解した会社側に対し、携わった機関士からは「これは大変なことで、会社側の決断に敬意を表する」との声が出た。

 2022年12月21日に現地で新たな看板の除幕式が開かれた。VIA鉄道のマイケル・ブランクリー鉄道事業担当副社長は「私たちは地域社会と周囲の人々の生活に良い影響を与えることを目指している」と説明し、機関士らとチェルシーさんとの交流はその模範例になっているとの認識を示した。

 一足早いクリスマスプレゼントを受け取った形のチェルシーさんは「ありがとう」と謝意を表明。「素晴らしい機関士の皆さんと会い、話していると本当にうれしくなる」と強調し、トランプを携えて機関士らの出迎えを続けると語った。

 機関士のマイク・オリファントさんは、チェルシーさんの姿を見ることが「私の行程のハイライトになっている」と笑みを浮かべた。そして「チェルシーさんは常にハッピーで、前向きなエネルギーであふれている。率直に言って、世界にはチェルシーさんのような人がもっと必要なんだ」と力説した。

アメリカでは元国務長官の名前を埋葬!?

 翻ってアメリカでは2024年4月に共和党所属の下院議員7人が、全日本空輸(ANA)の羽田空港と結ぶ直行便も発着している首都ワシントン近郊のワシントン・ダレス国際空港(バージニア州)を「ドナルド・J・トランプ国際空港」へ改名する法案を出した。

アメリカの首都ワシントンの近郊にあるワシントン・ダレス国際空港の旅客ターミナル(2024年2月20日、大塚圭一郎撮影)
アメリカの首都ワシントンの近郊にあるワシントン・ダレス国際空港の旅客ターミナル(2024年2月20日、大塚圭一郎撮影)

 ダレス空港はアイゼンハワー政権で国務長官を務めた故ジョン・ダレス氏の功績をたたえて名付けられている。ダレス氏に対する敬意の象徴を葬り、価値があるとは到底思えないトランプ氏のために“強奪”しようというのだから開いた口がふさがらない。トランプ氏の歓心を買おうとして法案を出した茶坊主議員も、改名案について「とても光栄だ」と交流サイト(SNS)に臆面もなく書き込んだトランプ氏も何と恥知らずで、何と浅ましく、何と卑しいことかと怒りを通り越してあきれるほかない。

 VIA鉄道のブロックビル駅の近くに設置された「VIA Chelsea」の看板は、「トランプ」つながりであってもダレス空港の改名法案とは対極的な真の友情と思いやり、そして心からの敬意が込められている。

 「アメリカ第一主義」を掲げて他国からの輸入品に高い関税を課すと脅し、経済力を行使してカナダを併合するという暴言でカナダ人の顔に泥を塗るトランプ氏が世界最大の経済大国のリーダーに返り咲く世界は「分断」が進み、閉塞感が高まるのではないかと深く憂慮せざるを得ない。

 そんな闇が浮き彫りになればなるほど、看板に記されたチェルシーさんの名前は輝きをさらに増していくことになりそうだ。そして、「世界にはチェルシーさんのような人がもっと必要なんだ」というオリファントさんのメッセージを世界に問いかけていくことになるのではないだろうか。

【筆者より】新年あけましておめでとうございます。本年も「カナダ“乗り鉄”の旅」をご愛読賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。本稿に示された視点や見解は筆者個人のものであり、所属する組織や日加トゥデイを代表するものではありません。

共同通信社元ワシントン支局次長で「VIAクラブ日本支部」会員の大塚圭一郎氏が贈る、カナダにまつわる鉄道の魅力を紹介するコラム「カナダ “乗り鉄” の旅」。第1回からすべてのコラムは以下よりご覧いただけます。
カナダ “乗り鉄” の旅

大塚圭一郎(おおつか・けいいちろう)
共同通信社経済部次長・「VIAクラブ日本支部」会員

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学外国語学部フランス語学科を卒業し、社団法人(現一般社団法人)共同通信社に入社。2013~16年にニューヨーク支局特派員、20~24年にワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。24年9月から現職。国内外の運輸・旅行・観光分野や国際経済などの記事を多く執筆しており、VIA鉄道カナダの公式愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員として鉄道も積極的に利用しながらカナダ10州を全て訪れた。

 優れた鉄道旅行を選ぶ賞「鉄旅(てつたび)オブザイヤー」(http://www.tetsutabi-award.net/)の審査員を2013年度から務めている。共同通信と全国の新聞でつくるニュースサイト「47NEWS(よんななニュース)」や「Yahoo!ニュース」などに掲載されている連載『鉄道なにコレ!?』と鉄道コラム「汐留鉄道倶楽部」(https://www.47news.jp/column/railroad_club)を執筆し、「共同通信ポッドキャスト」(https://digital.kyodonews.jp/kyodopodcast/railway.html)に出演。
 本コラム「カナダ“乗り鉄”の旅」や、旅行サイト「Risvel(リスヴェル)」のコラム「“鉄分”サプリの旅」(https://www.risvel.com/column_list.php?cnid=22)も連載中。
 共著書に『わたしの居場所』(現代人文社)、『平成をあるく』(柘植書房新社)などがある。東京外大の同窓会、一般社団法人東京外語会(https://www.gaigokai.or.jp/)の広報委員で元理事。

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