ホーム 著者 からの投稿 叶多範子

叶多範子

叶多範子
34 投稿 0 コメント

第22回 最小限の準備で最大の安心を ~Let’s 海外終活~

終活は新しい大人のマナー

叶多範子

早春の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。バンクーバーでは、日に日に陽射しが柔らかくなり、木々の芽吹きが感じられる季節となりました。海外での生活に慣れるにつれ、「いつか」と先送りにしがちな終活のお話を、今日は少し違った視点からお伝えします。

先日、ある方たちからこんなメッセージをいただきました。「終活と聞くと、なんだか大変なことのように思えて、なかなか踏み出せません」「正直、終活にお金も時間もかけたくないって思ってしまうんです」と。この声は、おそらく多くの方が共感されるのではないでしょうか。

「終活」=時間とお金がかかる その思い込み、今日で終わりにしませんか?最小限の準備で、最大限の安心を。

終活というと、断捨離、エンディングノート、遺言書、お墓の準備など、やるべきことがリストとして頭に浮かび、その量に圧倒されてしまうかもしれません。特に海外在住者にとっては、「日本とこちらのどちらで準備すべきか」という悩みも加わり、さらにハードルが高く感じられる人もいるようです。

しかし、本当に必要な「核」は意外にシンプルです。

1.法的書類(遺言・委任状) 海外在住者にとって、日本と居住国の法律が絡み合う遺言書の作成は一見複雑に思えます。しかし、居住国の法律に則った形で基本的な遺言書を用意するだけでも、残された家族の負担は大きく軽減されます。

また、万が一の時のための委任状(Power of Attorney)も重要です。財務の決定権を信頼できる人に託す書類を準備しておくことで、もしものときの安心感が生まれます。

2.エンディングノート 法的拘束力はありませんが、自分の希望や思いを自由に書けるエンディングノートは、残された人々への大切なメッセージとなり、尚且つ、将来もしも認知症になったときには自分の取扱説明書(取説)になります。デジタル資産の管理方法、されて嫌なこと、苦手なこと、医療や葬儀の希望など、簡潔に記しておくだけでも、家族や医療関係者が迷うことなく進めることができます。

この2つの土台があれば、あとは人生を思う存分楽しむだけ。

終活の本質は、実は「生活」です。残された時間を大切に生きるための準備であり、不安や心配を取り除くことで、より自由に生きる手助けとなります。

断捨離や墓じまいなどその他のことは、人生を楽しむ過程で、必要性を感じたとき、タイミングが来たときの選択肢としてください。

先日、長年カナダで暮らすSさんはこう語ってくれました。「遺言書と委任状を作り、エンディングノートに基本的なことを書いておいたら、不思議と心が身軽になりました。今は旅行に行ったり、新しい趣味を始めたり、何かに挑戦することになっても、もしものときの心配や不安がなくなり、積極的にどんどんできるようになった」と。

終活は終わりのための活動ではなく、より豊かに生きるための準備です。最小限の準備で最大限の安心を得て、その先の人生を思う存分楽しむ。それこそが、私が提案する「海外終活」の真髄です。

私たち海外在住者は、移住という大きな決断と挑戦を経験してきました。みなさんのその勇気と行動力を、終活にも活かしていただきたいと切に願っています。異国の地で新しい生活を築いたように、終活も新たな一歩として捉えれば、意外とシンプルで、むしろ人生を豊かにする活動だと気づくはずです。

これまで自分の意思で人生を切り開いてきた皆さんが、人生の最後だけ何も準備せず人任せ、成り行き任せになってしまうのは、あまりにも残念なことです。海外で築き上げた豊かな人生が、準備不足のために混乱と後悔の中で幕を閉じる—そんな事例を数多く目の当たりにしてきました。特に海外在住者の場合、準備がないと家族は二重三重の困難に直面します。あなたの大切な人たちに、そんな重荷を背負わせたいでしょうか?また認知症になった自分に適切なケアがされないでいいのでしょうか?

日本とは異なる制度や文化の中で暮らす私たちだからこそ、「最低限何が必要か」を今すぐ見極める必要があります。複雑な終活をシンプルに捉え直し、必要最小限の準備から始めることで、かえって効果的な終活が実現します。時間はいつも思うより少ないのです。

今日から、あなたも小さな一歩を踏み出してみませんか?まずはエンディングノートを手に取るところから。最初の小さな一歩が、未来の安心につながっていきます。明日ではなく、今日が、その一歩を踏み出すべき日であって欲しいと思います。

*このコラムは終活に関する一般的な知識や情報提供を目的とするものです。内容の正確さには努めておりますが、必要に応じてご自身で確認、または専門家へご相談ください。このコラムを元にして起きた不利益は免責とさせていただきます。

「Let’s海外終活~終活は新しい大人のマナー」の第1回からのコラムはこちらから。

叶多範子(かなだ・のりこ)

グローバルライフデザイナー
2015年、友人の孤独死と相続問題をきっかけに、カナダのバンクーバーで遺言・相続専門の弁護士アシスタントとしてキャリアをスタート。2020年には終活アドバイザー資格を取得し、終活の視点を取り入れた知識と実務経験を活かしたノート術とコンサルティングを提供しています。
「終活せずに困った!」という後悔の声を「やってて良かった」「ありがとう」と笑顔で未来を彩ることをライフワークとしており、これまで300名以上に国境を越えた安心感を届けています。国内外問わず、すべての人が大切な未来をデザインできるようサポートしています。 家族はカナダ人の夫、2人の息子、愛猫1匹。日々の活動や最新情報は、メルマガ、ブログ、SNSで発信中。

メルマガ:https://www.shukatsu.ca/mailmagazine
ブログ: https://globalmesen.com/
Facebook: https://www.facebook.com/noricovancouver
Instagram: https://www.instagram.com/norikocanada/
著書「海外在住日本人のための50代からの終活」:​​https://a.co/d/ad4OeLw

第21回 デジタル時代の想いの伝え方~新しい記録と継承の形~Let’s 海外終活~

終活は新しい大人のマナー

叶多範子

厳寒の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。バンクーバーでは、凍てつく朝も多い中、時折晴れ間が覗き、午後4時を過ぎても空が少しずつ明るくなってきているのを感じます。日一日と陽が長くなり、春の気配を少しずつ感じられる季節となってきました。

最近、こんな出来事がありました。ある高齢の方が、スマートフォンを見ながら困っておられました。「孫から送られてきた写真、どこに保存するんだろう」と。でも、その方の表情は嬉しそうでした。「離れていても、こうやって孫の成長が見られるってありがたいね」と。

この光景に、私は想いを伝え、記録を残すことの新しい可能性を感じました。今回は、デジタル時代ならではの、想いの伝え方についてお話ししたいと思います。

手書きの文字には、その人らしさや温もりが宿ります。1人1人違った筆跡、筆跡のくせや好んで使う言葉や言い回し、書かれた文字に込められた想い、これらは、デジタルでは決して代替できない大切な価値です。「あぁ、これはお父さんの字だ」と微笑むとき、そこには温かな記憶が一緒に蘇ってくるものです。

一方で、デジタル技術は、私たちに新しい表現方法を提供してくれています。

例えば、

母の味を伝えたいとき

– レシピを書き留めるだけでなく、調理の様子を動画で撮影
– 出来上がりの写真と共に、コツやポイントを音声で説明

大切な思い出を残したいとき

– 家族旅行の写真をデジタルアルバムに整理
– 写真に場所や日付、エピソードをデジタルメモとして添付
– 思い出の場所をGoogle マップでマーク

家族の歴史を伝えたいとき

– 古い写真をスキャンして、デジタル保存
– 祖父母の声をスマートフォンで録音
– 家系図をデジタルで作成し、写真や情報を追加可能に

特に海外在住の私たちにとって、デジタル技術は距離を越えた情報共有を可能にしてくれます。日本の家族と共有クラウドフォルダを作り、必要な書類や情報をアップロードしておく。また、デジタル文書なら多言語での記録も簡単になります。

ただし、デジタルツールを使う際は、気をつけたい点がいくつかあります。

セキュリティの配慮

– パスワードを適切に管理しておく
– バックアップを忘れずに

アクセシビリティの確保

– 高齢の家族でも扱いやすいツールを選ぶ
– 必要な情報へのアクセス方法を明確にしておく

先日、あるご家族がこんな話をしてくださいました。「母が残してくれた手書きのメモ書きを、家族みんなで少しずつデジタル化しています。スキャンした文字を見ながら、母の声が聞こえてくるような気がして…」。特に若い世代は紙という物質的なものより、スクリーンから見ることに利便性を感じているため、手書きの温もりとデジタルの利便性が見事に調和した、素敵な取り組みだと感じました。

大切なのは、これらのツールが「手段」であって「目的」ではないということ。

デジタルであれ手書きであれ、あなたの想いを大切な人に伝えるための架け橋となれば、それで十分。この機会に、手書きとデジタル、それぞれの良さを活かしながら、あなたの想いを未来に思い描いていけたら楽しそうですね。

*このコラムは終活に関する一般的な知識や情報提供を目的とするものです。内容の正確さには努めておりますが、必要に応じてご自身で確認、または専門家へご相談ください。このコラムを元にして起きた不利益は免責とさせていただきます。

「Let’s海外終活~終活は新しい大人のマナー」の第1回からのコラムはこちらから。

叶多範子(かなだ・のりこ)

グローバルライフデザイナー
2015年、友人の孤独死と相続問題をきっかけに、カナダのバンクーバーで遺言・相続専門の弁護士アシスタントとしてキャリアをスタート。2020年には終活アドバイザー資格を取得し、終活の視点を取り入れた知識と実務経験を活かしたノート術とコンサルティングを提供しています。
「終活せずに困った!」という後悔の声を「やってて良かった」「ありがとう」と笑顔で未来を彩ることをライフワークとしており、これまで300名以上に国境を越えた安心感を届けています。国内外問わず、すべての人が大切な未来をデザインできるようサポートしています。 家族はカナダ人の夫、2人の息子、愛猫1匹。日々の活動や最新情報は、メルマガ、ブログ、SNSで発信中。

メルマガ:https://www.shukatsu.ca/mailmagazine
ブログ: https://globalmesen.com/
Facebook: https://www.facebook.com/noricovancouver
Instagram: https://www.instagram.com/norikocanada/
著書「海外在住日本人のための50代からの終活」:​​https://a.co/d/ad4OeLw

第20回 エンディング(終活)ノートの再考~Let’s 海外終活~

終活は新しい大人のマナー

叶多範子

新春のお慶びを申し上げます。バンクーバーは寒さの厳しい日が続いていますが、新年の清々しい空気が漂っています。皆様はどのような新年をお迎えでしょうか。この時期、多くの方が新たな目標を立て、心機一転で一年を始められることと思います。

前回のコラムでは「生き様」と「死に様」について触れ、終活が「究極の愛情表現」であるとお伝えしました。この機会に、以前にもご紹介したエンディングノートについて、新たな視点を交えながら、改めてお話させていただきたいと思います。

私がエンディングノートについて繰り返しお伝えするのは、それだけ大切なものだと実感しているからです。弁護士事務所での経験を通じて、準備があるかないかで、残された家族の体験がいかに異なるものになるか、身をもって知っているからこそ、年の始めに、もう一度、エンディングノートの持つ意味を一緒に考えてみませんか。

エンディングノートと聞くと、未だに「まだ早い」「縁起が悪い」と感じる方も多いかもしれません。しかし、このノートは決して「終わり」のためのものではありません。むしろ、あなたの想いを大切な人に届け、そして「未来の自分」を守るための架け橋になるのです。

特に、私たち海外在住者にとって、エンディングノートの重要性は計り知れません。母国の家族との物理的な距離、言語や文化の違い、そして現地の制度への不慣れ―。これらの課題に直面したとき、あなたの想いや希望を明確に記したノートの存在は、大きな助けとなるはずです。

たとえば、もしあなたが認知症になってしまったとき。好きな食べ物、大切にしている習慣、受けたい医療ケアなど、あなたの「とりせつ」(取扱説明書)として、このノートが活きてきます。医療・介護スタッフの方々も、あなたの意向を理解した上で、より適切なケアを提供できるようになります。

また、デジタル時代を生きる私たちには、新たな課題も存在します。スマートフォンやパソコンの中には、大切な写真や連絡先、さまざまなアカウント情報が保管されています。これらへのアクセス方法や希望する取り扱いを記録しておくことも、現代のエンディングノートには欠かせない要素となっています。

エンディングノートは、決して形式的な書類ではありません。むしろ、あなたの人生の物語であり、大切な人への手紙のようなものです。好きな音楽、思い出の場所、伝えたい家族の歴史など。それらを綴ることは、自分自身の人生を振り返る素晴らしい機会にもなります。

書く内容に決まりはありません。

たとえば、

・自分の人生で大切にしてきた価値観
・家族への感謝のメッセージ
・医療や介護に関する希望
・デジタル資産の管理方法
・思い出の写真や品々にまつわる話
・受け継いでほしい家族の伝統や習慣

これらを少しずつ書き記していけばよいのです。完璧を目指す必要はありません。

私の経験から言えば、エンディングノートは「書いてよかった」と感じる人は多くても、「書いて後悔した」という人には出会ったことがありません。それは、このノートが単なる情報の記録ではなく、あなたの想いと愛情が形となって残るからです。

新しい年を迎えるにあたり、「今年こそは」と思っていることの一つに、このエンディングノート作成を加えてみてはいかがでしょうか。それは、未来のあなたと、大切な人たちへの、最高の贈り物となるはずです。

*このコラムは終活に関する一般的な知識や情報提供を目的とするものです。内容の正確さには努めておりますが、必要に応じてご自身で確認、または専門家へご相談ください。このコラムを元にして起きた不利益は免責とさせていただきます。

「Let’s海外終活~終活は新しい大人のマナー」の第1回からのコラムはこちらから。

叶多範子(かなだ・のりこ)

グローバルライフデザイナー
2015年、友人の孤独死と相続問題をきっかけに、カナダのバンクーバーで遺言・相続専門の弁護士アシスタントとしてキャリアをスタート。2020年には終活アドバイザー資格を取得し、終活の視点を取り入れた知識と実務経験を活かしたノート術とコンサルティングを提供しています。
「終活せずに困った!」という後悔の声を「やってて良かった」「ありがとう」と笑顔で未来を彩ることをライフワークとしており、これまで300名以上に国境を越えた安心感を届けています。国内外問わず、すべての人が大切な未来をデザインできるようサポートしています。 家族はカナダ人の夫、2人の息子、愛猫1匹。日々の活動や最新情報は、メルマガ、ブログ、SNSで発信中。

メルマガ:https://www.shukatsu.ca/mailmagazine
ブログ: https://globalmesen.com/
Facebook: https://www.facebook.com/noricovancouver
Instagram: https://www.instagram.com/norikocanada/
著書「海外在住日本人のための50代からの終活」:​​https://a.co/d/ad4OeLw

第19回 人生は「生き様」だけではない~Let’s 海外終活~

終活は新しい大人のマナー

叶多範子

12月のバンクーバーは、街中がクリスマスの雰囲気に包まれています。イルミネーションが美しく輝き、温かな空気が漂う中、多くの人々が贈り物を探しに街へと繰り出しています。私がこの原稿を書いている今、人気歌手のテイラー・スウィフトが3日連続でコンサートを開催しており、街はその熱気に満ちています。ラジオで彼女の音楽が流れる中、心躍る季節がやってきたことを実感しています。

「成功者たちの華やかな生き様」― 私たちはその言葉に憧れを抱きます。

起業して大成功を収めた人、世界中に邸宅を持つ人、子供たちを一流大学に送り出した人、若くしてFIRE(早期リタイアや経済的な独立)を達成した人たち。

SNSには華やかな日常が溢れ、講演会では「輝かしい成功体験」、時には「苦労話」や「失敗談」が語られます。しかし、その成功者たちの「死に様」はどうでしょうか?残念ながら、明るい話は少ないのが現実です。

* 資産を巡って家族間の確執が深まる
* 重要なデジタル資産のパスワードが不明で、遺族が途方に暮れる
* 生前整理が不十分で、残された家族が何年もかけて整理や処分に追われる

「うちにはたいした資産がないから、関係ないわ!」と笑い飛ばす人もいますが、日本では家庭裁判所に申し立てられた遺産分割調停の約75%が遺産総額5,000万円以下のケースです。

強調しますが、5,000万円以上ではなく5,000万円以下です。多くの方が予想される、何億もある莫大な遺産で争うというイメージとはかけ離れているため、驚かれる方もいるのではないでしょうか?

華やかな生前とは裏腹に、その最期は混乱と後悔に包まれていることが少なくありません。そして、それらの問題は身内の恥とされ、他人には言いたがらないため、多くの人は成功者とは思えない最期を迎えていることを知らないのです。

人生は「生き様」と「死に様」の両方で成り立っています。

経済的な成功や社会的地位も大切ですが、自分の死後に残される人々への思いやりも忘れてはいけません。あなたは今、デジタル遺品や財産目録をきちんと整理していますか?パスワードリストは誰かに共有していますか?大切な人にあなたの最期の希望や葬儀・供養について伝えていますか?介護が必要になった時のプランはありますか?

これらは決して「縁起でもない」ことではありません。むしろ、愛する家族への最後で最大の贈り物と言えるでしょう。受け取る側も、せっかくの愛情を「縁起の悪いことを言わないで!!」と拒否しないでください。

終活とは言うなれば、「究極の愛情表現」なのです。

華やかな生き様だけでなく、温かな余韻を残せる死に様まで考えられる人こそ、本当の意味で「素晴らしい人生」を全うできるのではないでしょうか。

あなたの人生の最終章は、今どれだけ周りの人を想い、配慮できるかにかかっているのです。

*このコラムは終活に関する一般的な知識や情報提供を目的とするものです。内容の正確さには努めておりますが、必要に応じてご自身で確認、または専門家へご相談ください。このコラムを元にして起きた不利益は免責とさせていただきます。

「Let’s海外終活~終活は新しい大人のマナー」の第1回からのコラムはこちらから。

叶多範子(かなだ・のりこ)

グローバルライフデザイナー
2015年、友人の孤独死と相続問題をきっかけに、カナダのバンクーバーで遺言・相続専門の弁護士アシスタントとしてキャリアをスタート。2020年には終活アドバイザー資格を取得し、終活の視点を取り入れた知識と実務経験を活かしたノート術とコンサルティングを提供しています。
「終活せずに困った!」という後悔の声を「やってて良かった」「ありがとう」と笑顔で未来を彩ることをライフワークとしており、これまで300名以上に国境を越えた安心感を届けています。国内外問わず、すべての人が大切な未来をデザインできるようサポートしています。 家族はカナダ人の夫、2人の息子、愛猫1匹。日々の活動や最新情報は、メルマガ、ブログ、SNSで発信中。

メルマガ:https://www.shukatsu.ca/mailmagazine
ブログ: https://globalmesen.com/
Facebook: https://www.facebook.com/noricovancouver
Instagram: https://www.instagram.com/norikocanada/
著書「海外在住日本人のための50代からの終活」:​​https://a.co/d/ad4OeLw

第18回 終活の先送りが招く想定外の事態~Let’s 海外終活~

終活は新しい大人のマナー

叶多範子

これから少しずつ雪を纏い始めるノースショア山脈を背景に、ガラス張りの高層ビル群が雨に濡れた街を鏡のように映し出しています。11月のバンクーバーは、山の頂から街へと静かに忍び寄る冬と、名残りの秋の温もりが交差する季節です。急激な寒さの到来に、一層の体調管理が必要となってきました。

早いもので2024年もあと2ヶ月足らずとなりました。歳を重ねるごとに1年が短く感じられ、「もう今年もクリスマスなの?」と驚いてしまうのは、きっと私だけではないはずです。

今月は「自分たちには、まだ時間がある」「終活なんてまだ早い!」と思っていた人が見舞われた想定外の苦労についてお話しします。

終活先送りの落とし穴!

~ カナダ在住・橋本さんの体験から学ぶ終活の重要性 ~

◻️予期せぬ別れが突きつけた現実

バンクーバー在住の橋本さん(仮名・68歳)は、毎朝近くの公園でウォーキングを欠かさなかった夫(当時70歳)を脳血管疾患で突然失いました。「夫は健康に気を使い、カナダの家庭医のもとで定期的に検診も受けていました。そんな夫がまさか…という思いでした」と、あの日のことを振り返ります。

◻️押し寄せる手続きの波

悲しみに暮れる間もなく、橋本さんを待っていたのは、想像を超える煩雑な手続きでした。

◻️銀行や保険会社での苦労

「死亡を通知した途端に夫名義の銀行口座が凍結され、私名義の口座しか使えなくなりました。公共料金の支払いは全て夫名義の口座からの自動引き落としにしており、私の口座には自分の年金が入る程度。その上、急な葬儀やお墓の費用の支払いに困り、子供たちからお金を借りることになったんです。日本の銀行口座の手続きはさらに大変でした。夫は日本にも銀行口座を持っていたのですが、カナダからの手続きは一筋縄ではいきませんでした」

直面した問題点:

  • 相続手続きに1年以上を要した
  • 必要書類の取得に何度も領事館へ足を運び、日本との連絡が必要に
  • 夫のカナダの生命保険会社が不明で、保険金受け取りまでに時間を要した
  • 海外在住者特有の日本の相続手続きの煩雑さ
  • 日本とカナダの相続手続きの並行作業による負担

◻️不動産関連の課題

「バンクーバーの自宅は夫名義のみでした。ブリティッシュコロンビア州の裁判所への手続き費用や支払いは予想以上に高額で、弁護士への依頼費用だけでCAD 5,000(約50万円)以上かかりました」

主な困難:

  • カナダの相続法制度や手続きの理解、専門用語を含む英語でのやりとりによる負担
  • 欧州在住の息子との連絡調整(時差・仕事の都合)
  • 相続分配で生じた家族間の意見調整

◻️精神的・経済的な二重の負担

「夫を失った悲しみの真っ只中で、こうした手続きに追われる日々。書類の山と格闘しながら、『なぜもっと早くに準備しておいてもらわなかったのか』『本人も含め、家族で前もって話し合っておけばよかった』と何度も後悔しました。でももっとも悔いたのは、ほとんど夫に頼って任せてばかりで、自分がほとんど何も知らないでいたことです」

**実際にかかった費用(概算)**

  • 弁護士費用を含む手続き費用:CAD 55,000(約550万円)
  • 交通費・通信費:CAD 3,000(約30万円)
  • 日本の相続手続き関連費用:CAD 800(約80万円)
  • 手続きに費やした時間:約300時間

◻️教訓として学ぶポイント

1. 財産管理の見直し
・夫婦でのJoint Account(共同名義口座)の設置
・主要な支払い口座の確認と整理

2. 重要書類の作成と整理
・Will(遺言)やPower of Attorney(委任状)の作成
・保険証券や契約書類の保管場所の共有
・デジタル資産を含む財産目録の作成

3. 家族間での事前対話
・相続に関する希望の共有
・カナダと日本、両国での必要手続きの確認と役割分担

◻️痛恨の教訓を次世代へ

諸々が終わったあとに、「『終活』という言葉は前から耳にしていました」と橋本さんは静かな声で話してくれました。「漠然と、いつかはしなければと思っていました。でも、私も夫も健康で、まだするには早い(若い)。遺言を作るのも、葬式やお墓の話をするのはずっと先でいいんだと、高を括っていたんです」

橋本さんは言葉を探すように少し間を置きました。

「まさか自分が、こんな形でやっておかなかったツケを払うことになるとは思ってもみませんでした。共働きが長かったため、せめて銀行だけでも共同名義の口座にしておかなかったのが悔やまれます」と、目を伏せながら語り始めた橋本さん。「でも残念ながらきっと、私のように大なり小なり後回しにしてしまう人が多いのではないでしょうか。だからこそ、終活をすることには大きな意味があると思います。これからも、一人でも多くの方に、先送りせず、今できる準備をすることの大切さを知ってほしい」

自らの経験を踏まえたその言葉には、切実な思いと、同じ轍を踏まないようにと、後に続く人たちへの温かなエールが込められているのを感じました。

大切な人との死別は、残された家族にとって深い悲しみを伴う出来事です。その困難な時期に、相続手続きという冷静な判断と多大な労力を要する作業に直面することになります。しかし、事前の準備や家族との話し合いがあるかないかで、精神的にも身体的にも、その負担は大きく変わってきます。

だからこそ、年齢に関係なく、今日からできる終活の第一歩を踏み出すことが、自分自身と残される家族への最大の思いやりとなるのではないでしょうか。

*このコラムは終活に関する一般的な知識や情報提供を目的とするものです。内容の正確さには努めておりますが、必要に応じてご自身で確認、または専門家へご相談ください。このコラムを元にして起きた不利益は免責とさせていただきます。

「Let’s海外終活~終活は新しい大人のマナー」の第1回からのコラムはこちらから。

叶多範子(かなだ・のりこ)

海外終活アドバイザー・弁護士アシスタント
「終活をせずに亡くなった!認知症になって困った!途方に暮れた!!」を、「終活しておいて良かった!」「終活してくれていて、ありがとう!」に変えたい!そんな思いから2020年に終活アドバイザー資格を取得。海外在住の日本人向けの「海外終活」についての講座や説明会、ご相談はブログやFacebookなどのSNSをご覧ください。家族はカナダ人の夫+息子2人+猫1匹、バンクーバー在住。

ブログ: https://globalmesen.com/
Facebook: https://www.facebook.com/noricovancouver
Instagram: https://www.instagram.com/norikocanada/
Line公式: https://line.me/R/ti/p/%40490fuczh
その他SNS: https://lit.link/norikocanada
著書「海外在住日本人のための50代からの終活」:​​https://a.co/d/ad4OeLw

第17回 おひとりさまが終活をしないと、どうなる?! Pさんのケース 最終回~Let’s 海外終活~

終活は新しい大人のマナー

叶多範子

秋の気配が漂い始めたと思ったら、急に冬の気配もしてきました。特にバンクーバーの季節の移り変わりは少々気まぐれで、かなり肌寒い日もあり、気温の変化に戸惑う日々が続いています。

我が家の庭の家庭菜園も、そろそろ秋の収穫期の終わりを迎えようとしています。来年に向けて畑を休ませるための準備を始める時期となりました。夏の喧騒が徐々に落ち着き、屋内で過ごす時間が少しずつ増えてくるこれからの季節。ふと、こんな時期だからこそ、人生や将来について深く考える良い機会なのではないかと思いました。

さて、4回に渡りお届けしてきたこのPさんのお話も今回で最後となります。

QさんがPさんの死後、日本にいるPさんのご遺族のために尽力されたことは、細かい事柄まで書き出したら、キリがないためかなり省略してお伝えしてきましたが、結局、Qさんが相続やPさんに関連する全ての事柄を終えるのに、約2年半かかったそうです。

Qさん自身が仕事や子育てなどで忙しくなければ、もう少し早く終わったかもしれなませんが、大役をこなしたPさんは遺産の約5%を謝礼として受け取ったそうです。

Qさん自身の沢山の時間と労力を使ったので、謝礼があったのは喜ばしいことですが、「また同じことがあったら、引き受けますか?」という質問には、「おそらく無言で首を振られることでしょう。

このPさんの話で、多くの方に教訓になると思われることが2つあります:

1. 遺言などの法的書類の必要性
いざというときのための書類がないと、後を任される人が困難を極めます。

2. エンディングノートの必要性
使っているメールアドレス、利用しているサービス、葬儀やお墓などの希望がわからないと、コンパスなしで航海に出るようなもので、あちこち探したり推測しながら進めるしかないため、非常に難しい状況に陥ります。

これらの教訓を踏まえ、私たちは自分自身の「終活」について真剣に考える必要があります。突然の不幸は避けられないかもしれませんが、準備をすることで、残された人々の負担を軽減することができます。

もっと具体的には、以下の行動をお勧めします:

1. 遺言書や委任状の作成:法的に有効な遺言書を作成し、定期的に更新する。

2. エンディングノートの準備:重要な情報や希望をまとめたノートを作成し、信頼できる人に場所を知らせておく。

3. デジタル遺産の整理:オンラインアカウントやデジタル資産の管理方法を決めておく。

4. 保険や資産・負債の確認:生命保険や資産の状況を定期的に確認し、必要に応じて見直す。

5. 家族や友人との対話:自分の希望や考えを大切な人たちと共有しておく。

これらの準備は、決して楽で楽しいばかりの作業ではありませんが、自分自身と愛する人たちのために必要不可欠なことだと考えています。Qさんの経験から学び、私たち一人一人が責任を持って行動することで、残された人々の負担を軽減し、自分の人生を締めくくる準備をすることは、間違いなく価値あることだと言えるでしょう。

終活は、単なる人生の終わりへの準備ではなく、自分の人生を振り返り、大切な人たちへの最後の贈り物を用意する機会でもあります。もしもまだ始めていない方がいらっしゃれば、今日から少しずつでも取り組んでみることをお勧めします。

*このコラムは終活に関する一般的な知識や情報提供を目的とするものです。内容の正確さには努めておりますが、必要に応じてご自身で確認、または専門家へご相談ください。このコラムを元にして起きた不利益は免責とさせていただきます。

「Let’s海外終活~終活は新しい大人のマナー」の第1回からのコラムはこちらから。

叶多範子(かなだ・のりこ)

海外終活アドバイザー・弁護士アシスタント
「終活をせずに亡くなった!認知症になって困った!途方に暮れた!!」を、「終活しておいて良かった!」「終活してくれていて、ありがとう!」に変えたい!そんな思いから2020年に終活アドバイザー資格を取得。海外在住の日本人向けの「海外終活」についての講座や説明会、ご相談はブログやFacebookなどのSNSをご覧ください。家族はカナダ人の夫+息子2人+猫1匹、バンクーバー在住。

ブログ: https://globalmesen.com/
Facebook: https://www.facebook.com/noricovancouver
Instagram: https://www.instagram.com/norikocanada/
Line公式: https://line.me/R/ti/p/%40490fuczh
その他SNS: https://lit.link/norikocanada
著書「海外在住日本人のための50代からの終活」:​​https://a.co/d/ad4OeLw

第16回 おひとりさまが終活をしないと、どうなる?! Pさんのケース その3~Let’s 海外終活~

終活は新しい大人のマナー

叶多範子

秋の気配が少しずつ感じられ始める今日この頃。みなさんは思い思いの夏を楽しめたでしょうか? 夏の喧騒が遠のき、静かに秋が忍び寄る季節の変わり目。カナダの長い冬がまた始まると思うと、心に重みが感じられる瞬間もあります。しかし、その前に訪れる秋の輝きは、私たちに最後の華やかな贈り物をしてくれるようです。メープルの葉が赤や黄金に染まり、澄んだ青空との対比が心を躍らせます。この数少なくなってきた晴れやかな日々を、一瞬一瞬大切に味わいたいものです。

さて、前回からの続きです。

妹さんの帰国により、Qさんの肩にのしかかる責任が一層重くなりました。Pさんの遺産整理が本格化する中、持ち家だったことが幸いし、即座の退去は免れました。しかし、新たな問題が次々と浮上します。

まず直面したのは、マンションの保険切れでした。保険会社に連絡すると、「空き家」扱いとなるため、Pさんが加入していた保険の継続は不可能だと告げられます。水回りトラブルへの不安から、可能な限りの保険に加入しましたが、それは新たな重荷となりました。保険会社の担当者から「毎日の部屋チェック」を強く要求されたのです。

Qさんには自身の生活があり、Pさんの家からも遠距離に住んでいたため、毎日の訪問は現実的ではありません。結局、週に1度の換気を兼ねた訪問で妥協することになりました。

しかし、最大の難関がまだ待っていました。それは、デジタル資産へのアクセス問題です。Pさんは銀行取引から公共料金の支払いまで、すべてをオンラインで管理していました。どの金融機関や事業者と取引があったのかを把握するため、Qさんは古い通帳や明細書を必死に探し出さねばなりませんでした。

Pさんは一人暮らしだったせいか、パスワードやユーザー名の記録を残していませんでした。見つかったメモは判読困難な走り書きで、どのアカウントに対応するものかも不明でした。結果として、Qさんは各機関に個別に問い合わせるという煩雑な作業を強いられることになりました。

もしパスワードが判明していれば、Pさんのメールアドレスにアクセスでき、取引先や親しい知人への連絡もスムーズだったはずです。しかし、それも叶わず、Qさんの苦労は続くことになります。

この経験は、デジタル時代における「おひとりさま」の終活の難しさと、事前準備の重要性を浮き彫りにしました。パスワード管理や緊急時のアクセス権設定など、デジタル資産の承継計画が不可欠であることを、Pさんのケースは如実に物語っているのです。

幸いにも残っていたマンションのローンは生命保険で完済されたため、Pさんには大きな借金はないことは確認することができました。でも、もしかしたら誰も把握していないPさんの資産があったかもしれませんが、それはもう知る由がありません。

さらにQさんが直面した重要な課題の一つが「グラント」の取得でした。このグラントとは、裁判所が発行する遺産管理権を認める不可欠な法的文書です。Qさんは弁護士事務所に手続きを依頼しましたが、Pさんの事案が通常とは異なる少し複雑なケースだったため、この相続手続きにおいて重要なグラントの入手に約1年以上もの時間を要しました。これが出たら、すぐに銀行がお金を払い戻してくれるのかと思いきや、なかなか手続きをしてくれません。Pさんに関する税金の支払いもわからないため、会計士さんにお願いすることになりました。

Pさんの遺産整理は、想像以上に複雑で時間のかかる作業でした。管理費の未払い金の精算、滞納していた税金の支払い、さらには裁判所や弁護士事務所への対応など、次々と浮上する問題に、Qさんは粘り強く取り組みました。

マンションの片付けも大きな仕事でした。長年の生活で蓄積された私物の整理、不用品の適切な廃棄、そして部屋全体の徹底的な清掃。これらの作業を終えてようやく、マンションを売却に出すことができたのです。幸いにも、Pさんがマンションを購入した際の不動産業者の協力を得られ、比較的短期間で買い手を見つけることができました。

QさんがPさんとそのご家族のために尽力したことは、ここに書ききれないほど多岐にわたります。その献身的な姿勢と、惜しみなく費やした時間と労力には、聞いた誰もが頭が下がる思いでした。

続く

*このコラムは終活に関する一般的な知識や情報提供を目的とするものです。内容の正確さには努めておりますが、必要に応じてご自身で確認、または専門家へご相談ください。このコラムを元にして起きた不利益は免責とさせていただきます。

「Let’s海外終活~終活は新しい大人のマナー」の第1回からのコラムはこちらから。

叶多範子(かなだ・のりこ)

海外終活アドバイザー・弁護士アシスタント
「終活をせずに亡くなった!認知症になって困った!途方に暮れた!!」を、「終活しておいて良かった!」「終活してくれていて、ありがとう!」に変えたい!そんな思いから2020年に終活アドバイザー資格を取得。海外在住の日本人向けの「海外終活」についての講座や説明会、ご相談はブログやFacebookなどのSNSをご覧ください。家族はカナダ人の夫+息子2人+猫1匹、バンクーバー在住。

ブログ: https://globalmesen.com/
Facebook: https://www.facebook.com/noricovancouver
Instagram: https://www.instagram.com/norikocanada/
Line公式: https://line.me/R/ti/p/%40490fuczh
その他SNS: https://lit.link/norikocanada
著書「海外在住日本人のための50代からの終活」:​​https://a.co/d/ad4OeLw

第15回 おひとりさまが終活をしないと、どうなる?! Pさんのケース その2~Let’s 海外終活~

終活は新しい大人のマナー

叶多範子

皆さまは、それぞれに楽しい夏の思い出を刻んでいることでしょう。一方、私の7月は「天中殺」とでも言うべき試練の連続でした。特に前半の2週間は、まるで嵐の中にいるかのようでした。何十年ぶりかで、アスファルトの上で前のめりに転倒。腕と足に大きな擦り傷を作ったのが序章でした。息子たちの野球シーズン真っ只中で、突然決まった配偶者の長期出張。送迎を一人でこなし、時には助けを借りてのやりくり。泊まりがけでの長男の野球チームの州大会。そんな中、愛猫の緊急治療や介護、長男の健康不安も重なり、まさに八方ふさがりの状態。ここに書ききれないほどの出来事が、まるで雪崩のように押し寄せてきました。

普段は穏やかな日常や喜ばしい出来事をお伝えしていますが、人生にはこのような停滞期や困難な時期もあるものです。8月は穏やかに過ごせることを祈るばかりです。

さてここからは前回の続きです。

Pさんの妹さんは、突然の知らせに大きなショックを受けていました。彼女は自分が家庭を持ってからも仕事を続けていたこともあり、カナダへ行った兄とはあまり頻繁にやりとりをしていなかったそうです。最後の肉親を失った悲しみに打ちのめされていましたが、カナダにある兄の遺体や財産の処理という現実的な問題に直面し、気を取り直してすぐに行動を起こしました。忌引き休暇を取り、家族や仕事のスケジュールとも折り合いをつけカナダに来れたのが、連絡が取れてから5日後のことでした。

やっと日本にいるPさんの妹さんと連絡が取れた、と責任が軽くなるのを喜んだQさんがほっとするのも束の間。妹さんがカナダに滞在できるのは、なんとたったの1週間。人が亡くなった後のことを手伝うのは、Qさんにとっても全く初めての経験だったため、ましてやそれが日本でのことではなく、カナダでのことだったため、人から聞いたアドバイスなどを元に、腹を括ってとにかく1つずつやっていくしかありませんでした。

一方、それと同時にQさんはPさんの会社や顧客への対応を行う必要がありました。Pさんが一人で経営していた翻訳会社には、進行中の仕事がいくつもあり、突然、Pさんと連絡が取れなくなり、パニックに陥っていた取引先があったため、それらを適切に処理する必要がありました。Qさんは、自身の仕事をこなしながら、Pさんの仕事の整理にも奔走します。

Pさんの遺体は、妹さんの到着を待って火葬されることになりました。しかし、カナダでの火葬手続きや、遺骨の日本への持ち帰りなど、妹さんにとっても初めての経験ばかり。また長時間フライトの疲れがあったり、言葉の壁もあることから、結局はQさんが中心となりその都度、大使館、現地の葬儀社、航空会社に確認し、妹さんと相談しながら進めていく必要がありました。

Pさんの相続手続きを進める上で様々な障壁に直面することになり、弁護士を雇う必要性も出てきてましたが、後にこれは賢明な判断だったとわかることになります。

なぜなら、日本へ戻るQさんの代わりにPさんが代理人として、今後のことをカナダで進めていくためには委任状の作成が必要だったからです。また銀行口座や貴重品が入った貸金庫の存在も判明しましたが、それらへアクセスする際にも銀行から弁護士の立ち会いを求められたりしたからです。Pさんが生前に何も準備していなかったため、すべての手続きが通常よりも複雑になっていたのです。

終活ポイントアドバイス
①上記のような場合の他に、認知症や植物人間状態などの不測の事態に備えて、元気なうちに委任状を作成しておくことをお勧めします。
なぜなら、家族であっても法的な代理権を自動的に持つとは限らないからです。正式な代理人として行動するためには、通常、委任状(Power of Attorney)が必要です。また、委任状には通常、委任者(指名する人)と受任者(指名される人)の両方の署名が必要です。多くの国や地域では、委任状の有効性を確保するために、公証人や弁護士の立ち会いのもとでの署名が求められます。

貸金庫は開けられたものの、これは遺言があるかの確認作業だけしか許されず、金庫内にあったものは何も手に取ることが出来ませんでした。裁判所の手続きを経て、Grant(グラント)というものをもらわない限り、金庫のものは出せないと言われてしまいます。結局、Pさんは遺言を残していないことがわかり、弁護士事務所にこの手続きも依頼することになりました。

このような状況の中、妹さんは短いカナダでの滞在中にQさんと協力して、唯一の身内として問題に対処していきました。妹さんとQさんは、お互いに初めての見知らぬ者同士でしたが、Pさんとの思い出を共有しながら、目まぐるしい1週間を共に乗り越えたのでした。

妹さんが、ようやくPさんの遺骨を日本に持ち帰ることができたのはPさんが亡くなってから約3週間後のことでした。

続く

*このコラムは終活に関する一般的な知識や情報提供を目的とするものです。内容の正確さには努めておりますが、必要に応じてご自身で確認、または専門家へご相談ください。このコラムを元にして起きた不利益は免責とさせていただきます。

「Let’s海外終活~終活は新しい大人のマナー」の第1回からのコラムはこちらから。

叶多範子(かなだ・のりこ)

海外終活アドバイザー・弁護士アシスタント
「終活をせずに亡くなった!認知症になって困った!途方に暮れた!!」を、「終活しておいて良かった!」「終活してくれていて、ありがとう!」に変えたい!そんな思いから2020年に終活アドバイザー資格を取得。海外在住の日本人向けの「海外終活」についての講座や説明会、ご相談はブログやFacebookなどのSNSをご覧ください。家族はカナダ人の夫+息子2人+猫1匹、バンクーバー在住。

ブログ: https://globalmesen.com/
Facebook: https://www.facebook.com/noricovancouver
Instagram: https://www.instagram.com/norikocanada/
Line公式: https://line.me/R/ti/p/%40490fuczh
その他SNS: https://lit.link/norikocanada
著書「海外在住日本人のための50代からの終活」:​​https://a.co/d/ad4OeLw

第14回 おひとりさまが終活をしないと、どうなる?! Pさんのケース その1~Let’s 海外終活~

終活は新しい大人のマナー

叶多範子

​​7月になり、バンクーバーでは、やっとバンクーバーらしいカラッと気持ちの良い気候になってきました。この時期は、青空が広がり、爽やかな風が吹く日が多く、外で過ごすのがとても気持ち良いですね。短いカナダの夏を思い思いに楽しみましょう。私はビーチでのんびり過ごしたいところですが、息子たちの野球で、ほぼ野球場で過ごしています。

いきなりですが以前、私が会った人の中に、こんなことをおっしゃった方がいらっしゃいました。「自分は配偶者もいないし、子供もいないおひとりさまだから、終活はいらないと思っている。だって自分が死んだ後のことは自分がやることじゃないから、わざわざ高いお金を払ってまで遺言も作りたくない。正直に言って、本当に興味も関心もない!今を生きることで精一杯!」と言われた方がいらっしゃいました。誰もが自分の人生をどう生きるかは自由です。ただ終活の観点から見れば非常に残念だと言わざるを得ません。自分がいなくなった後に残された人たちがどうなっても構わないと言っているようなものだからです。

私は終活は自分や周りの人への「思いやり」だと思っています。自分自身も悔いなく、周りの人への感謝も込めて行うのが終活なのですが、頑なに「自分は必要ない!やらない!」という方がいらっしゃることも事実です。

では、実際にこのような方が終活をされないとどんなことが起こりうるのか、私の経験も織り交ぜて具体例を挙げて、みなさんと一緒に考えてみたいと思います。

Pさんのケース

Pさんは50代のカナダ在住の日本人男性。翻訳会社の社長(社員はPさんのみ)で独身・子なし。20代でカナダに移民し、両親はなく日本に妹が1人いる。趣味は節約とジョギング。Pさん名義の不動産あり。(自作の架空人物です。実在の人物や会社とは関係・関連ありません)

もしもPさんが突然亡くなったら、どうなる?

Pさんの仕事仲間で友人でもあるQさんが、何度メールしても、携帯に電話してもPさんが出ません。不審に思ったQさんは、数日後にPさんの住むマンションの管理人と一緒にPさんの部屋へ行くと、部屋の中でPさんが亡くなっていました。QさんはPさんの日本の家族に連絡しなければと思いますが、連絡先を知りません。共通の友人に尋ねても誰も知らないため、Qさんは途方に暮れてしまいました。

終活ポイントアドバイス
①Pさんが日本とカナダにいる家族や友人の名前や連絡先をあらかじめ伝えておけば良かった
②おひとりさま同士の安否確認ネットワークのようなものを作っておけば良かった

個々ではお互いのメールアドレスや携帯電話番号を知っていても、その家族や周りの人の連絡先を知らせ合っていないことが多々あります。近所の人が異臭に気づき、警察へ連絡したときにはすでにかなり日数が経っており、正確な死亡日を特定できないこともあります。Pさんのケースでは少なくともQさんがPさんの住所を知っていて、そこまで遅くならずにPさんの状況を確認できたのは良かったですね。

また、以前は会社に出勤してこないので会社の人が気が付くというケースが多かったのですが、最近では自宅で仕事をしているスタイルの人が増えているので、これに自分が当てはまると思われた方はぜひすぐに対策を講じていただきたいと思います。

家族や友達の連絡先を交換しておいても、安否確認ネットワークを作っても、もしかしたら全く使わないかもしれません。使わないならそれはそれで、「お金のかからない保険」と思うのはいかがでしょうか?使うことがなければそれは幸いなことですし、万が一のときには「あって良かった!」ときっと思うことでしょう。

結局、Pさんの日本の家族の連絡先がわからず、思い余ったQさんは日本大使館に相談しました。大使館を通じてPさんの妹さんに連絡を取ってもらいましたが、QさんがPさんの妹さんと話せたのは、Pさんの死亡が確認されてから3日後のことでした。その間、カナダの警察、葬儀社、マンションの管理会社などとの対応に追われたのはQさんでした。

まさかこんな形でカナダと日本両方の政府機関にお世話になり、迷惑をかけることになるなんて、きっと亡くなったPさん自身は思いもよらなかったはずです。また、「早く知らせてあげたい」、「もっと早く知りたかった」といったQさんとご遺族の気持ちの葛藤もあったはずです。

続く

*このコラムは終活に関する一般的な知識や情報提供を目的とするものです。内容の正確さには努めておりますが、必要に応じてご自身で確認、または専門家へご相談ください。このコラムを元にして起きた不利益は免責とさせていただきます。

「Let’s海外終活~終活は新しい大人のマナー」の第1回からのコラムはこちらから。

叶多範子(かなだ・のりこ)

海外終活アドバイザー・弁護士アシスタント
「終活をせずに亡くなった!認知症になって困った!途方に暮れた!!」を、「終活しておいて良かった!」「終活してくれていて、ありがとう!」に変えたい!そんな思いから2020年に終活アドバイザー資格を取得。海外在住の日本人向けの「海外終活」についての講座や説明会、ご相談はブログやFacebookなどのSNSをご覧ください。家族はカナダ人の夫+息子2人+猫1匹、バンクーバー在住。

ブログ: https://globalmesen.com/
Facebook: https://www.facebook.com/noricovancouver
Instagram: https://www.instagram.com/norikocanada/
Line公式: https://line.me/R/ti/p/%40490fuczh
その他SNS: https://lit.link/norikocanada
著書「海外在住日本人のための50代からの終活」:​​https://a.co/d/ad4OeLw

第13回 終活IQと終活をしてもらいたい人~Let’s 海外終活~

終活は新しい大人のマナー

叶多範子

​​6月の風が心地よく吹き抜ける季節となりました。4月末から我が家の小さな庭の雑草抜きや、トマトなどを育てるための土作りに励んできましたが、なかなか暖かくならないので心配していました。このままバンクーバーのいつもの6月らしい、からっとした暖かな気候と天気が続くことを期待しています。

私は、このコラムを初回からこの回まで読んでくださっている読者の皆さんは、終活IQがぐっと上がっていると思っています。

終活IQというのは、私が勝手に作った造語で終活の知識が高い人のことを指します。(「終活IQ」という言葉は2024年6月8日の時点で、私がネットで検索し調べた限り、見つけることができませんでした)

私がここまで書いてきたことを「ほとんど全部知っていた!無意識だったが、やっていた!!」という方がいらっしゃったら、まさに「お見事!」です。

そんな素晴らしい方へはお世辞でも嫌味でもなく、私は心からの賞賛と拍手を送りたいです。ただ残念ながら、そのような方はほんのごく一部で、ほとんどの方が「知らなかった!」「そんなふうに思ったことや考えたことがなかった」のではないでしょうか?

大丈夫です!これからも少しずつでも終活IQをあげていきたいと思われましたら、ぜひこのコラムを毎月、ご愛読の上、ご自身のできることから始めてみてください。

でも実は、終活IQを上げて終活してほしいのは自分ではなく、〇〇なんです!という方も多いのではないでしょうか。

同様に「〇〇に終活してもらうにはどうしたらいいですか?」という質問は、私への質問やご相談でもトップ5に入ります。

そして、この〇〇に入る言葉のトップ2は、「親」または「配偶者」です。

そう、「母親にしてほしい!」「旦那がやってくれないと困るのに、やってくれない」と言われる方が多いのです。

たとえば、おいしいパン屋さんやラーメン屋さんを教えて!と聞かれたら、自分が実際に食べておいしかったところをおすすめしますよね?自分が食べたことのないパン屋さんやラーメン屋さんのおいしさや良さを伝えるのは難しいです。終活もこれと同じです。まずは自分自身が終活IQを増やし、終活をしてみてください。やったことがない人に対して、どんなに必要性や重要性を訴えても、心に響かないものです。

なので、まずはご自身でやってみてくださいとお伝えしています。

私がいくらこの紙面で終活の大切さや効果をお伝えしても、実際にやってみない限り、多くの方にはなかなか実感がわかないでしょう。しかし、実際に終活を始めることで、これまでお伝えしてきたことが具体的に理解できるようになります。点と点が繋がり、線となるように、すっと腑に落ちる瞬間がきっとあるはずです。

終活をしたことで、「話題が増えた」「夫婦で考える機会が増えた」「相手がやってくれない場合に備えて、自分が困らないようにするための必要最低限のことが分かった」といった声が多く寄せられています。こういった終活の効果の広がりを、ぜひご自分から始めることで実感してみてください。

*このコラムは終活に関する一般的な知識や情報提供を目的とするものです。内容の正確さには努めておりますが、必要に応じてご自身で確認、または専門家へご相談ください。このコラムを元にして起きた不利益は免責とさせていただきます。

「Let’s海外終活~終活は新しい大人のマナー」の第1回からのコラムはこちらから。

叶多範子(かなだ・のりこ)

海外終活アドバイザー・弁護士アシスタント
「終活をせずに亡くなった!認知症になって困った!途方に暮れた!!」を、「終活しておいて良かった!」「終活してくれていて、ありがとう!」に変えたい!そんな思いから2020年に終活アドバイザー資格を取得。海外在住の日本人向けの「海外終活」についての講座や説明会、ご相談はブログやFacebookなどのSNSをご覧ください。家族はカナダ人の夫+息子2人+猫1匹、バンクーバー在住。

ブログ: https://globalmesen.com/
Facebook: https://www.facebook.com/noricovancouver
Instagram: https://www.instagram.com/norikocanada/
Line公式: https://line.me/R/ti/p/%40490fuczh
その他SNS: https://lit.link/norikocanada
著書「海外在住日本人のための50代からの終活」:​​https://a.co/d/ad4OeLw

第12回 終活ノートを書いた後はどうするの??~Let’s 海外終活~

終活は新しい大人のマナー

叶多範子

​​いきなりですが、私にとって5月といえばゴールデンウィークです。カナダに住んでから、日本のほうが祝日が多少なりとも多いことに気づいたのは私だけではないでしょう。調べてみたら日本では16日、カナダでは州や祝日の定義により異なりますが、10日〜13日でした。日本では祝日が多く、連続して休めるゴールデンウィークのような長期休暇がありますが、カナダでは祝日は少ないものの、有給休暇を取りやすいため、どちらも一長一短と言えるでしょうか。

さてこれまでに、何回もに渡りエンディングノート(終活ノート)の必要性と重要性に触れてきたので、そろそろそれ以外のお話を聞きたい方も多いかと思います。

私の中で、ノートをほぼ書き終えたら終活の半分が終わった!と言えると思っています。

今日はその残りの半分についてのお話をしたいと思います。

残りの半分の2つのうちの1つは、もしまだあなたが遺言や委任状などの公的書類を作成していないなら、ぜひ前向きに検討の上、できるだけ早く作ってください。

こんな事例があります。

生前、とても愛情深かったお父さんが複雑な事情があったのにも関わらず、遺言を残さなかったため、子供たちが神経を病むほどの相続問題を繰り広げることになってしまいました。せめて遺言にきちんと誰にどれだけ相続させたいのかが書いてあれば、お父さんの意思を尊重する方向で協力し合えたかもしれないのに、それができなかったのは本当に残念なことだと思います。問題が解決した後、1人の娘さんが「お父さんの愛情を疑ったことはないが、本当に私たちのことを考えていてくれていたら、遺言を作っていてくれたはずだという思いが何度もよぎった」と言った言葉が忘れられません。

どんなに家族を愛していても、周りの人に迷惑をかけたくないという気持ちがあっても、その思いを実現するための公的な書類がなければ、片手落ちになってしまうことをくれぐれも忘れないでください。

そして2つ目は自分の思うまま楽しく好きに人生を送ってください。

え、それだけ?そう、それだけです。

それだけなんですが、後者の「自分の思うまま楽しく好きに生きる」というのが実はなかなか容易ではないことがあります。

例えば、以下のような状況です。

・突然失業した
・重い病気にかかった
・親の介護が始まった
・人間不信に陥った
・大きなミスを犯してしまった
・経済的な不安を抱えている

など、人それぞれ悩みや抱えている問題は異なります。

今は何もなくても、これからこういった悩みや問題に直面する可能性は誰にでもあり、予想だにしなかった事態が起こることがあります。問題が発生した際には、怖がらずに現実を直視できる勇気、柔軟さ、立ち向かう強さ、そして前向きさも必要になってきます。

なので、もし今、幸運にもあまり制約がなく、自分の好きなこと、やりたいこと、叶えたいことができる状況であるなら、後悔のないようにぜひ「今」を謳歌して人生を満喫してくださいね。

「Let’s海外終活~終活は新しい大人のマナー」の第1回からのコラムはこちらから。

叶多範子(かなだ・のりこ)

海外終活アドバイザー・弁護士アシスタント
「終活をせずに亡くなった!認知症になって困った!途方に暮れた!!」を、「終活しておいて良かった!」「終活してくれていて、ありがとう!」に変えたい!そんな思いから2020年に終活アドバイザー資格を取得。海外在住の日本人向けの「海外終活」についての講座や説明会、ご相談はブログやFacebookなどのSNSをご覧ください。家族はカナダ人の夫+息子2人+猫1匹、バンクーバー在住。

ブログ: https://globalmesen.com/
Facebook: https://www.facebook.com/noricovancouver
Instagram: https://www.instagram.com/norikocanada/
Line公式: https://line.me/R/ti/p/%40490fuczh
その他SNS: https://lit.link/norikocanada
著書「海外在住日本人のための50代からの終活」:​​https://a.co/d/ad4OeLw

第11回  終活ノートは書いてなんぼです!~Let’s 海外終活~

終活は新しい大人のマナー

叶多範子

​​2017年以来、北米で約7年ぶりの皆既日食が観測されたのはつい先日の4月8日でしたが、残念ながらバンクーバーでは雨で見ることができませんでした。しかし、他の地域では観測できた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

さて前回までに4回にわたり、エンディングノート(終活ノート)の必要性と重要性をお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?

日本では多くの書店で様々な終活ノートが売られているため、もしかすると既に持っている方もいらっしゃるかもしれませんね。

しかし「そのノートは書いて埋められていますか?」

この質問をすると、ほとんどの方が言葉を濁すか、正直に「実はほとんど書いていない」と答えます。

ノートを持っていなくても、パラパラとページをめくったことがある人ならご存じかもしれませんが、ほとんどの市販されている終活ノートはそれほど厚くはないものの、中を見るとかなりの項目があります。それを見て、「思ったよりも書くことが多くて驚いた」とおっしゃる方が意外と多くいらっしゃいます。

終活ノートは、あなたのこれまでの人生を振り返る履歴書であり、これからの希望や夢を描く未来への羅針盤でもあります。書く内容が難しいわけではありませんが、始めることが難しい、または続けることができないという方が多くいらっしゃるのも事実です。

その主な理由は以下の通りです。

  • 家事、仕事、子育て、介護などに時間を取られ、終活ノートを書くことが後回しになってしまう。
  • 期限が設けられていないため、「いつか」と思いながらも結局は手をつけない。
  • 一人で取り組むことが楽しくなく、やる気が続かない。
  • 書き進める中で疑問が生じ、調べているうちに書くのが億劫になる。
  • 途中でわからないことが出てきた際に、その点でつまずいてしまう。
  • 若さや健康を理由に油断してしまい、必要性を感じない。

このように、人によっては書き終えるまでのハードルが意外と高いんです。

終活ノートを作ることは確かにいくつかの挑戦を伴いますが、それでも自分や家族のためにとても有意義なことです。このプロセスを経ることで、自分の人生を振り返り、これから先、本当にしたいことは何か、どう生きていきたいかをじっくり考える良い機会にもなります。

私が今までに経験してきた中で、終活を行わなかったため、本人や家族が非常に困難な状況に陥ったケースを数多く目の当たりにしてきました。

痴呆症になった後や亡くなった後に、家族間での争いが起こったり、責任を押し付けあったり、途方に暮れるなど、様々な問題が生じています。これらの残念な例は、終活の重要性を物語っています。

ですので、せっかくの終活ノートを宝の持ち腐れにせず、ぜひ活用してくださいね!

*このコラムは終活に関する一般的な知識や情報提供を目的とするものです。内容の正確さには努めておりますが、必要に応じてご自身で確認、または専門家へご相談ください。このコラムを元にして起きた不利益は免責とさせていただきます。

「Let’s海外終活~終活は新しい大人のマナー」の第1回からのコラムはこちらから。

叶多範子(かなだ・のりこ)

海外終活アドバイザー・弁護士アシスタント
「終活をせずに亡くなった!認知症になって困った!途方に暮れた!!」を、「終活しておいて良かった!」「終活してくれていて、ありがとう!」に変えたい!そんな思いから2020年に終活アドバイザー資格を取得。海外在住の日本人向けの「海外終活」についての講座や説明会、ご相談はブログやFacebookなどのSNSをご覧ください。家族はカナダ人の夫+息子2人+猫1匹、バンクーバー在住。

ブログ: https://globalmesen.com/
Facebook: https://www.facebook.com/noricovancouver
Instagram: https://www.instagram.com/norikocanada/
Line公式: https://line.me/R/ti/p/%40490fuczh
その他SNS: https://lit.link/norikocanada
著書「海外在住日本人のための50代からの終活」:​​https://a.co/d/ad4OeLw

Today’s セレクト

最新ニュース