トランプ大統領、カナダへの関税を35%に引き上げ

 アメリカのドナルド・トランプ大統領は7月31日、カナダ製品への関税を35%に引き上げる大統領令に署名した。

 ホワイトハウスの声明によると、今年3月から25%に設定されていた関税は、警告通り8月1日から35%に引き上げられる。その理由については、カナダがフェンタニルなど違法薬物の流入抑制に協力せず、アメリカに対して報復措置を取ったためとしている。ただし、カナダ・アメリカ・メキシコ協定(CUSMA)の条件を満たす製品は含まれないため、カナダからの輸出の大部分は引き続き関税対象外となる。

 カーニー首相は30日に「パレスチナ国家を承認する意向」を発表したが、それが貿易協議に影響を与えたかと問われたトランプ大統領は「発表された内容は気に入らなかった」と言ったが、「取引の決裂要因ではない。今日はカナダとは話していない。彼(カーニー首相)からは連絡があったので、どうなるか様子を見よう」と答えた。首相事務所はホワイトハウスへの連絡の有無や交渉の詳細について明らかにしていない。

 オンタリオ州ダグ・フォード州首相は今回の関税引き上げについて懸念を表明。連邦政府に、アメリカ産鉄鋼・アルミニウムに50%の報復関税をかけるべきだと主張した。アメリカは世界中から輸入する鉄鋼・アルミニウムに50%の関税を課している。アメリカにとってカナダは両製品の最大の輸入先となっている。

(記事 高城玲)

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