終活は新しい大人のマナー
叶多範子
気づけば、もう10月。秋の風が心地よく感じられるようになりました。
ふと足を止めて空を見上げると、日差しの角度までやさしく変わっていることに気づきます。そんな季節の変わり目は、自分の心や暮らしを見つめ直すのにもぴったりですね。
さて、先月のコラムでご紹介した「私活(わたしかつ)」について、「もっと詳しく聞きたい!」という嬉しいメッセージをいただきました。今回はその“私活”を、少し深掘りしてお話しします🌸
実は「私活」とは、私の造語なんです。(今、試しに「私活(わたしかつ)」で検索してみたら、出てくるのは全部、私のブログとこの連載ばかりでした)
私が考える終活は「死や終わりの準備」ではなく、“これからを自分がどう生きたいか”に焦点を当てる活動のこと。
先日、あるオンライン対談で、教育の現場で長く活躍されている方が、こんな言葉を口にしました。
「私は今が一番幸せ!地に足がどーんと着いてる!自分を満たすことが幸せ!!」
その瞬間、心の中で拍手したくなりました。あぁ、これこそ“私活”だなって。「誰かのため」だけに生きるのではなく、ちゃんと“自分の軸”をもって生きている。
私たちはつい、家族のことや人の目を優先して、自分の想いを後回しにしてしまいがちですよね。でも、ふと立ち止まって考えてみてほしいんです。
・どんな暮らしをしたい?
・自分が本当にしたいことは何?
・今、幸せって自信をもって言える?
この問いに素直に答えられたら、きっとそれが“私活”の第一歩。人の期待や常識に流されず、自分の人生のハンドルをしっかり握ること。それが「私を生きる」ということ。
でも現実は、そう簡単じゃないですよね。
仕事、家族、健康、お金、環境、、、、どれも大切。だからこそ、やりたいことを後回しにしたり、今すぐには動けないこともあります。私自身も、「やりたいけど、今は無理かも」と感じる瞬間が何度もあります。
でも最近気づいたんです。「できない理由」を一枚裏返すと、そこには本当の「夢」が隠れている。
たとえば「時間がない」は、「本当はもっと自分の時間を大事にしたい」、「家族が反対する」は、「本当は応援されるくらい自分を信じたい」。実はそんな願いの裏返しだったりするのです。
だから、“私活”は完璧じゃなくていい。
現実と理想のあいだで揺れながらも、「私はどう生きたい?」と自分に問い続けることが、すでに“私を生きる”ことなんだと思います。
終活=私活。
それは「人生の終わり」を整えることではなく、「これからの人生をどうデザインし、どんな未来を描くか」を考えることです。
年齢を重ねても、「私、今が一番幸せ」と言える自分でいたい。そのために、日々の暮らしの中で小さな“私活”を積み重ねていきたい。
今日も、自分の人生を自分らしくデザインしていきましょう!
Let’s 私活!
*ご感想・ご質問は、メールにてお気軽にどうぞ。voice@shukatsu.ca
本コラムは終活に関する一般的な情報提供を目的としています。内容には十分配慮しておりますが、必要に応じてご自身での確認や、専門家へのご相談をおすすめします。なお、本コラムをもとに行動されたことによる不利益については、免責とさせていただきます。

「Let’s海外終活~終活は新しい大人のマナー」の第1回からのコラムはこちらから。
叶多範子(かなだ・のりこ)
グローバルライフデザイナー/海外終活アドバイザー
カナダ・バンクーバー在住。
カナダで親しい友人を突然亡くしたことをきっかけに、終活の大切さを実感。
相続専門の弁護士アシスタントとしての経験をもとに、海外を含むさまざまな場所で暮らす日本人の終活を、学びの視点から支えている。
エンディングノートの活用や家族との対話を通じて、「自分らしくこれからを生きる」ヒントを共有する活動を続けている。
「終活」を、これからの人生を見つめ直す機会ととらえる——そんな“私活(わたしかつ)”という考え方も、大切にしている。
家族は、カナダ人の夫、2人の息子、愛猫1匹。
ホームページ:https://www.shukatsu.ca