カナダ政府がワーキングホリデー制度を一部変更し、2025年4月1日からは日本人の滞在が最長2年までとなった。制度変更についてカナダに滞在する日本人留学生に話を聞いた。
カナダ滞在期間、最大2年間に延長
カナダ政府は2024年4月1日から、18歳から30歳(申請時)までを対象とするワーキングホリデー(正式名称 International Experience Canada: IEC)の改定を実施した。これまで、同制度の申請は原則1回に限られ最長1年間の滞在しか認められていなかったが、今回の変更により条件を満たせば2回目の申請が可能となり、最大で合計2年間の滞在できるようになる。
「ワーホリ」と呼ばれて浸透しているワーキングホリデーは、2国間の協定に基づき18歳から30歳までの若者が相手国で働きながら生活することができる制度。基本は「ホリデー」での滞在という位置づけだが、生活費のための就労(ワーキング)が許可されているのが特徴。日本とカナダは1986年から開始。若者による両国の相互理解を深め、交流を促進する目的で導入された。
一方で、カナダ政府は移民対策として、2024年3月「2025~2027年移民レベル計画」を発表。2025年から永住者や一時滞在者の受け入れ数を段階的に減少する方針を示している。
一時滞在者全体をカナダ人口の5%まで抑えることを目標として、労働者や留学生の新規受け入れ数にも上限が設けられている。ただ「すでにカナダ国内に滞在している一時滞在者の永住権取得を優先する」としていて、永住権申請者のうち2025年の永住権取得者は国内滞在者が約40%を占める予定と移民省が発表している。
【留学生の声】選択肢が広がったと実感

矢部史華さん(21歳)は、大学を休学し、2024年11月からワーキングホリデーでバンクーバーに滞在中で、今回の制度変更は友人のSNSを通じて知ったという。
「もともとは1年で帰国する予定だったが、現地での生活を経験して、延長するか悩んだ」と話す。結局、周囲に相談した結果、いったん大学を卒業することに決めた。「今までなら1回きりのチャンスだったが、卒業後にまたカナダで挑戦できる。選択肢が一気に広がったと感じた」と語った。
移民政策が厳しくなる一方で、制度が緩和されたことには「率直に驚いた」とも。今後は大学卒業後、就職活動などを通じて将来のキャリアを模索する考えだ。
【留学生の声】現地就職も視野に入れる

大川菜々子さん(26歳)は、2024年2月にUIデザイン関連の1年間のコースでカナダにコープ留学。留学前から日本企業と業務委託契約を結び、デザイン業務に携わっていた。コープ留学中は現地就職も考えたが、ハードルの高さを実感し、日本企業とのフリーランス契約を続けたという。
「現地の就職は想像以上に難しい。特に移民としての立場で働く場合、日本のように会社の雰囲気やポジションを選ぶ余地は少ない」と語る。
現在は、日本企業から受注するデザイン業務を中心に、週末はレストランでも働いている。2025年6月からはワーキングホリデービザを取得して滞在を延長している。
「ワーホリの制度が変更になったと知り、現地就職ももう一度視野に入れようかなと思った」と話す。カナダでの生活基盤を整えつつ、滞在期間が延びることで、より多くのキャリアの可能性を探れると期待している。
(取材 田上麻里亜)
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