アメリカのドナルド・トランプ大統領は7月10日、マーク・カーニー首相あての書簡でカナダからの全輸入品に35%の関税を課すと警告した。関税35%は8月1日に発効予定で、カナダが報復措置を取れば税率をさらに引き上げるとしている。
アメリカは現在、カナダ・アメリカ・メキシコ協定(CUSMA)に含まれないカナダ製品に25%、エネルギーとカリ鉱石には10%の関税を課している。報道各社はトランプ政権の高官の話として、今回の関税35%については現行の25%の対象品のみに課税される予定だが最終決定は下されていないと報じている。
カーニー首相とトランプ大統領は今年6月アルバータ州で開催されたG7(先進7カ国)首脳会議での直接交渉以来、7月21日までの合意を目指して貿易交渉を続けていた。カナダ政府は6月30日には、交渉打ち切りを示唆したトランプ氏の要求に応じて導入直前だったデジタルサービス税を撤回、交渉が再開されたところだった。
カナダ製の鉄鋼、アルミ、自動車への関税は、すでにカナダ経済に大きな打撃を与えているという。トランプ大統領はさらに、銅の輸入にも50%の関税を検討していると発表した。2023年実績でカナダの銅と銅製品の輸出は約93億ドル、そのうち52%がアメリカとなっている。
トランプ大統領は今回も「フェンタニルがカナダからアメリカへ大量に流入している」と主張、またカナダのサプライチェーン制度にも不満を表している。
これを受けてカーニー首相はソーシャルメディアに「カナダの労働者と企業を守ることに全力を尽くす」と投稿。アメリカとの交渉を継続する一方で「世界中で貿易パートナーシップを強化していく」としている。
(記事 高城玲)
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