山野内勘二駐カナダ特命全権大使より新年のごあいさつ

 明けましておめでとうございます。日加トゥデイ読者の皆様におかれては、健やかな新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。

 昨2023年は、日本とカナダにとって重要な年であったほか、世界的にも歴史的な転換点となった年でもありました。1月に岸田総理がカナダを訪問してトルドー首相との間で行われた首脳会談は、G7議長国である日本にとって完璧なスタートとなりました。4月のG7外務大臣会合の際のジョリー外務大臣訪日を経て、5月に行われたG7広島サミットで、日本は、ロシアによるウクライナ侵略をはじめとする国際社会が直面する危機に先頭に立って取り組む姿勢を内外に力強く示しました。G7広島サミットで各国首脳らは、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の堅持、核軍縮・不拡散、グローバル・サウスとの関係強化といった課題について協議しました。また、その際の日加首脳会談では、日加関係やG7の関心事項について議論を深めました。

 2023年、日本とカナダは、外交関係樹立から95周年を迎えました。日本大使館は9月に、カナダ連邦議会の加日議員連盟と共に外交関係樹立95周年記念レセプションを開催し、日加関係の進展を祝い、より良い世界と二国間関係の更なる拡大・深化に向け努力を重ねていく決意を表明しました。このレセプションは、オタワの日本大使館にとっては初開催となる自衛隊記念日のレセプションでもありましたが、自衛隊とカナダ軍の音楽隊の共演により奏でられたハーモニーは、日加安全保障協力の具体的進展を象徴するものとなりました。

 日加協力の進展は、経済分野でも顕著です。2023年9月には、経済産業大臣がオタワを訪問し、関係閣僚との会談を行い、蓄電池サプライチェーン及び量子・AI等の産業技術に関する協力覚書の署名が行われたほか、蓄電池サプライチェーンに関する官民ラウンドテーブルに出席しました。10月のG7大阪・堺貿易大臣会合には、イン輸出促進・国際貿易・経済開発担当大臣が出席しました。イン大臣はこの訪日の際にカナダ企業160社250人から成る「チーム・カナダ」代表団を率いて大阪と東京を訪問。また、マッコーリー農業・農産食料大臣のほか、カナダ商工会議所及びカナダ・ビジネス評議会の関係者も、それぞれ同時期に日本を訪れています。歴史的に見ても最大規模のカナダ・ビジネス代表団の訪日が実現しました。

 さて、2024年の日加関係は、こうした様々な前向きな流れが更に勢い付いて、一層緊密なものとなると確信しています。そのベースとなるのは両国間の人の往来ですが、これは既に大きな盛り上がりを見せており、2023年1月~10月の統計によれば、コロナ禍前の数字を上回る35万人以上のカナダ人が訪日しています。また、カナダ人にとっての日本の好感度が、英国と並ぶ1位となっているとの嬉しい世論調査結果もあります。カナダにおいて日本を売り込んできた私としては、本当に嬉しいことです。引き続き、数字にあぐらをかくことなく一層気を引き締めて、日本の良い所や日加間の協力の可能性と潜在力をカナダの人々に分かっていただくための努力を続けていく所存です。

 2024年は、東京にカナダ公使館が開設されてから95周年、横浜にカナダ貿易事務所が開設されてから120周年、日加通商協定締結から70周年、日本人に馴染みの深い『赤毛のアン』作者のL.M.モンゴメリ生誕から150周年です。さらにバンクーバーについて見ると、1889年に大日本帝国領事館が設置されてから135周年、1954年に日系カナダ市民協会が設立されてから70周年、1994年に日系カナダ文化センターが開館してから30周年という年でもあります。こうした様々な歴史の節目に照らすと、わずか百数十年の期間とはいえ、日本とカナダの間には豊かな関係が築かれてきたことに驚くばかりです。

 日加関係は「新たな章」に突入しています。これまで両国が共に培ってきた両国関係の歴史の上に更なる発展を遂げるため、日本大使館としても、様々な分野・レベルにおける日加間の協力と信頼関係が深まるよう、日々取り組んで参りたいと思います。

 本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

令和6年元旦