日加トゥデイ読者の皆さま、
明けましておめでとうございます。
皆さまにおかれましては、輝かしい新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。
2024年を振り返りますと、カナダでは女子柔道オリンピック選手のクリスタ出口選手がカナダ柔道界初の金メダルを獲得したほか、両国に目を向けると、人工知能(AI)の父と称されるカナダのジェフリー・ヒントン・トロント大学名誉教授がノーベル物理学賞を、日本原水爆被害者協議会(日本被団協)がノーベル平和賞をそれぞれ受賞するなど、喜ばしいニュースがありました。特に、クリスタ出口選手は、日本にも深い繋がりのある選手であり、その活躍に注目しておりました。また、2024年のカナダにおける世論調査によれば、カナダ国民にとって最も好感度が高い国は日本とのことです。日本大使として大変嬉しいニュースとして受け止めています。
世界を見渡すと様々な厳しい事態が各地で発生しており、刻々と変化する世界情勢の中、日本とカナダは、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有する極めて重要な二国間のパートナーとして、また、G7メンバーとして、緊密な協力を行ってきています。
今日の日加関係は、外交、安全保障、政治、経済、文化交流の各分野において、協力の進展が確認されています。この1年間で首脳会談が3回実施され、インド太平洋情勢への対応や電気自動車やLNG等の経済分野での両国の連携強化を確認しました。また、両外相においても、相互の訪問を含め、頻繁に会談を行い、有意義な意見交換を重ねています。
2023年9月の経済産業大臣のオタワ訪問時に行われた、蓄電池サプライチェーン及び量子・AI等の産業技術に関する協力覚書の署名を契機として、2024年は日本企業によるカナダでの投資も様々な動きが見られました。例えば、世界が2050年ネットゼロ社会の実現を目指す中での重要な取組として、旭化成を含むホンダのカナダにおける電気自動車に係わる包括的バリューチェーン構築構想は、カナダにとって史上最大規模の投資プロジェクトでもあり、非常に大きな存在感を示しています。
2025年はカナダがG7議長国を務めますが、激動の国際社会において一層重要な役割を果たすことを期待しています。また、日本から首脳・閣僚を含む多くの関係者がカナダを訪れる機会にもなりますので、この機会を生かして、両国の様々な交流が更に深化することを期待しています。
また、日本では2025年大阪・関西万博が開催されます。カナダは「再生」(Regeneration)をコンセプトとした、春の訪れをイメージした素敵なパビリオンを出展されます。パビリオン内ではカナダ人の温かさ、開放性、前向きな姿勢が表現され、カナダの革新性、多様性、創造性、持続可能な社会に関する取組を体験できるとのことです。カナダからの訪日観光客数は年々増加していますが、更に多くの方々に訪れていただき、ここから新たな日本とカナダのコラボレーションのきっかけが生まれ、日加関係が一層深まることに期待したいと思います。
2025年においても、日本とカナダとの関係を更なる高い次元に引き上げられるよう、日本大使館としても、より一層力強く取り組んでまいります。