平野のゴールでチームが勢いづいた。2−2に追いつかれた1分30秒後の第2ピリオド中盤、絶好のポジショニングで左隅からシュートしゴール。3−2とリードすると、その6分後には4点目をアシストして、4−2とコロラド・イーグルスを引き離した。

 しかし、チームは第3ピリオドに2点を奪われ、試合はOTへ。最後はFWドライズ(#15)が決めカナックスが5−4で勝利した。

 平野はこの試合でAHLに昇格して初のマルチポイントを獲得、セカンドスターとPlayer of the Gameにも選ばれた。

第2ピリオド7:16、今季3つ目のゴールを決めた瞬間、喜びを爆発させる平野選手。2022年3月13日、アボツフォード・センター。コロラド・イーグルス戦。Photo by ©︎Koichi Saito/ The Vancouver Shinpo
第2ピリオド7:16、今季3つ目のゴールを決めた瞬間、喜びを爆発させる平野選手。2022年3月13日、アボツフォード・センター。コロラド・イーグルス戦。Photo by ©︎Koichi Saito/ The Vancouver Shinpo

3月13日 アボツフォード・センター
アボツフォード・カナックス 5-4 コロラド・イーグルス
ゴール:
アボツフォード Rathbone、Neilsen、Hirano、Bowey、Dries
イーグルス Megna、Wagner、Sikura、Kaut

積極的なネット前での戦いを意識してゴールに

ネット前での攻めを常に心がけていると言う平野選手(#71)。2022年3月13日、アボツフォード・センター。コロラド・イーグルス戦。Photo by ©︎Koichi Saito/ The Vancouver Shinpo
ネット前での攻めを常に心がけていると言う平野選手(#71)。2022年3月13日、アボツフォード・センター。コロラド・イーグルス戦。Photo by ©︎Koichi Saito/ The Vancouver Shinpo

 「試合前からコーチからゴール前の戦いをしっかりしなければ点数も入らないし、そこがポイントだという話があった」と試合後に語った。この日はネット前で相手ディフェンダーに競り勝つ場面が目立った。「普段から意識していること」を積極的に実践した成果だ。「いい形で(ポジショニングができて)ディフェンスがシュートを打ったものが自分のスティックに当たって入ったので、結果としてよかったと思います」と1月23日以来のゴールを振り返った。

 「チームにも自分がゴール前で戦えるんだということを見せれば、チームも勢いに乗ると思うので」と意識して戦っている。

 プロは結果がすべて。2月終わりごろからはしばらく出場機会がなかった。「スクラッチという試合に出れない時期もあったり、スタメンで出るのが簡単なものではないので、自分が出たときにしっかりと結果を出して、チームの勝利に貢献できるようにするのが一番のアピールだと思う」。3月9日から試合に復帰して、11日には1アシストを、そしてこの日は1ゴール、1アシストと爆発した。第1ピリオドには激しいボディチェックも見せた。猛アピールだ。

 トレント・カルHC(ヘッドコーチ)は、「彼は体が大きいし、ボディチェックもかなりいい。ほかのプレーヤーを見てプレーできるところがいいと思うし、プレーヤーのこともよく把握している」と評価。ECHLから上がってきて2カ月半、まだ伸び代があると見ている。

 今の好調を維持して「積極的に自分が持ってるものを見せていきたい」と平野選手。残りは19試合、自身にとっても、チームにとっても、重要なレギュラーシーズン終盤戦となる。

ボディチェックもアピールポイント、一戦一戦を大事にさらに上を目指して

相手からの激しいボディチェックを受ける平野選手(右)。2022年3月13日、アボツフォード・センター。コロラド・イーグルス戦。Photo by ©︎Koichi Saito/ The Vancouver Shinpo
相手からの激しいボディチェックを受ける平野選手(右)。2022年3月13日、アボツフォード・センター。コロラド・イーグルス戦。Photo by ©︎Koichi Saito/ The Vancouver Shinpo

 試合後に会見上に姿を現した平野選手の印象は「でかい」だった。チームの公式プロフィールでは身長6フィート(約183センチ)、体重216ポンド(約97キロ)。本人は身長185センチはあると言っていた。身長もさることながら、やはり体格がいい。

 この体から繰り出した、第1ピリオドで見せたボディチェックは大迫力だった。会場も一気に沸点に達した。氷上の格闘技ともいわれるホッケーでボディチェックは「華」でもある。

 「結構ここ数年ああいうディフェンスに対してのプレッシャーをかけるという部分はずっとやってきてるので。ああいう形で、チームの勢い、ひとつのヒットだけで流れって変わるので、ああいうところで見せれてよかった」と狙った会心のヒットだったようだ。ただ直後の同じ状況では相手にゴールを許した。「あそこで自分がブロックしなければいけない。何回同じシチュエーションがきても、同じことができるようにこれから修正していきたい」と1点目を許した場面の反省も忘れなかった。

 チームは現在ウエスタン・カンファレンスのパシフィック地区5位につけている。対戦相手だったイーグルスは同3位。11日には負けている相手。上位でのプレーオフを狙うには同チーム2連敗は痛い。カルHCも、この日の勝利は大きい、全員でつかんだ勝利だったと振り返った。

 平野選手は残り試合も「今日と変わることなく、しっかり自分の名前を見てもらえるように、自分らしいプレーをしてチームに勢いを一つでもつけられるように」とこの日の活躍に浮かれることなく冷静に前を向く。「上位のチームといっても、プレーオフにはポイントで競り合ってるので、しっかりひとつでも上に行って、ホームからスタートできれば自分たちにとってはすごくいいと思います。そこを意識しながら一戦一戦大事に戦っていきたいと思います」と語った。

バンクーバーの日系コミュニティとの交流も楽しみに

試合後の会見のあとで。2022年3月13日、アボツフォード・センター。Photo by ©︎Koichi Saito/ The Vancouver Shinpo
試合後の会見のあとで。2022年3月13日、アボツフォード・センター。Photo by ©︎Koichi Saito/ The Vancouver Shinpo

 1月に移籍して以来、アボツフォードでホッケー漬けの毎日を送っている。バンクーバーにもなかなか出向いて行く機会がないと言う。それでも、日系コミュニティとの交流を楽しみにしていると笑顔を見せた。

 アボツフォード・センターに応援に行けば、試合後にはいわゆる「出待ち」でサインをもらえる機会もあるとか。

 とにかく今はがんばっている姿を見てもらいたいと活躍を誓った。

(取材 三島直美 / 写真・映像 斉藤光一)

3試合連続で第2ラインで出場した平野裕志朗選手。2022年3月13日、アボツフォード・センター。コロラド・イーグルス戦。Photo by ©︎Koichi Saito/ The Vancouver Shinpo
3試合連続で第2ラインで出場した平野裕志朗選手。2022年3月13日、アボツフォード・センター。コロラド・イーグルス戦。Photo by ©︎Koichi Saito/ The Vancouver Shinpo
平野選手(#71)、相手ネット前でGKと一騎打ち。2022年3月13日、アボツフォード・センター。コロラド・イーグルス戦。Photo by ©︎Saito Koichi/ The Vancouver Shinpo
平野選手(#71)、相手ネット前でGKと一騎打ち。2022年3月13日、アボツフォード・センター。コロラド・イーグルス戦。Photo by ©︎Saito Koichi/ The Vancouver Shinpo
フェイスオフ!2022年3月22日、アボツフォード・センター。コロラド・イーグルス戦。Photo by ©︎Koichi Saito/ The Vancouver Shinpo
フェイスオフ!2022年3月22日、アボツフォード・センター。コロラド・イーグルス戦。Photo by ©︎Koichi Saito/ The Vancouver Shinpo

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