春爛漫、バンクーバーで桜めぐり

バンクーバーの桜 Photo by Keiko Nishikawa
バンクーバーの桜 Photo by Keiko Nishikawa

 街のあちこちにある桜が春の訪れを告げるバンクーバー。横浜市と神戸市の市長がスタンレーパークの日系カナダ人戦没者記念慰霊碑に桜の木を寄贈したのが、バンクーバーの桜の始まりという。1930年代初旬のことで、500本の桜が贈られた。(www.vcbf.ca

 今では50種類を超える約4万3000本の桜が市民を楽しませてくれる。

 ということで、今が見頃、バンクーバーの桜の名所とおおよその開花時期を紹介しよう。開花時期については、バンクーバーチェリーブラッサムフェスティバルのウェブサイトを参照した。http://maps.vcbf.ca/map/

スタンレーパーク

 シェークスピアガーデン、ローズガーデン、テニスコートやロストラグーン周辺とパーク内の数カ所に桜があり、3月下旬ごろから4月にかけて楽しむことができる。

 スタンレーパークの桜は、主にダウンタウンからの入り口に近いロストラグーンからランバーマンズアーチの辺りで、東側に集まっている。

 日系カナダ人戦没者慰霊碑のそばには4月初めから中旬ぐらいに見頃を迎える淡紅色の大提灯のほか、遅咲きの白普賢や白妙が4月下旬から5月にかけて開花する。

 大提灯は名前どおり、大きな花が提灯のように吊り下がるように咲く。

ボリュームのある八重桜。「ボタン桜」とも別名では呼ばれているという。 © The Vancouver Shinpo

コールハーバー

 カナダプレースからスタンレーパークにかけてのコールハーバーも、曙、松月などが美しい。

 スタンレーパークの入り口に近いジョージアストリート沿いのデボニアンハーバーパークの桜のうち3本は、HIV/エイズで亡くなった人たちを追悼して植えられた。開花は3月下旬から4月中旬。

オッペンハイマーパーク

 パウエルストリートフェスティバルの会場オッペンハイマーパークには曙やソメイヨシノが例年3月下旬から4月第1週にかけて見頃を迎える。

 これらの桜は1977年に日系移民百年祭の祝賀行事のひとつとして植樹されたもの。しかし、2008年にバンクーバー市がダウンタウンイーストサイド活性化計画として公園の再開発計画を発表、桜の木は伐採の危機にさらされた。そこで、日系人を中心とした有志が『遺産桜を守る会』を立ち上げて守ったという経緯がある。たくさんの人の思いが込められた桜だ。

バラード駅

 3月下旬から4月初旬にかけて、バラード駅のコンコースの曙が花を咲かせる。一重咲きの中輪で上品な佇まい。

 バラード駅のコンコースは、例年だとバンクーバーチェリーブラッサムフェスティバルのチェリージャムの会場となるが、2021年は残念ながら休止。

キツラノ

 ダウンタウンから入り江をはさんで対岸、グランビルアイランドとキツラノビーチの間にあるベニエパークの桜は3月下旬から4月初旬にかけてが見頃。バンクーバー博物館、マックミラン・スペースセンター、海洋博物館周辺のソメイヨシノや曙が、春を感じさせてくれる。

 さらに、キツラノビーチ沿いにも、ソメイヨシノ、曙、真っ白な大島桜などが3月下旬から4月初旬に辺りを淡いピンク色に染める。

新渡戸記念庭園周辺の桜©The Vancouver Shinpo
新渡戸記念庭園周辺の桜©The Vancouver Shinpo

UBCキャンパスと新渡戸記念庭園

 ジョージア海峡に面した緑豊かなブリティッシュコロンビア大学(UBC)キャンパスにも、新渡戸記念庭園をはじめ、花見スポットが数カ所。

 ローワーモールのソメイヨシノは4月初旬。

 日本庭園の新渡戸記念庭園には遅咲きの大提灯、寒山、松月、滝匂が見られる。庭園は3月20日現在オープンしているが、要予約。大人5ドル。https://botanicalgarden.ubc.ca/visit/admission/

 ボタニカルガーデンの太白は4月中旬に純白の花を咲かせる。

 リージェントカレッジそばには、真っ白な大輪の花が人目を惹く白妙が約60本。(4月初旬から中旬)

クイーンエリザベスパーク

 バンクーバー市のリトルマウンテンと呼ばれる、高台に位置するクイーンエリザベスパーク。ノースショアの山並みとダウンタウンの眺望が美しい。

 33rd Avenue入り口に近い、キャンビーエントランスに曙、ダックポンド(池)の南側には真っ白で一重の海猫が3月下旬から4月初旬にかけて花を咲かせる。

 一方、37th AvenueとColumbia Streetのドッグパークそばには、遅咲きの寒山(4月下旬)、薄紅色の八重桜だ。

バンデューセン植物園

 キバナフジで有名なバンデューセン植物園は桜も美しく、例年だとサクラデイズ・ジャパンフェアの会場となっている(今年はバーチャル)。

 面積22ヘクタールの園内全体に24種類100本以上の桜がある。Honorable David C. Lam Cherry Groveの紅枝垂が人気のほか、Rhododendron WalkやMeadow Ponds、Sino-Himalayan Garden周辺にも桜の木がある。

サクラデイズ・ジャパンフェアに多くの人が訪れたバンデュ―セン植物園 ©The Vancouver Shinpo
サクラデイズ・ジャパンフェアに多くの人が訪れたバンデュ―セン植物園 ©The Vancouver Shinpo

キャリスパーパーク

 ヘイスティングパーク内PNE・パシフィックコロシアムの西側のキャリスパーパーク(Kaslo Street & Cambridge Street)の桜は白普賢が中心。開花すると、花色が純白となる豪華な桜だ。八重桜なので、開花は4月中旬から下旬にかけて。

チャイナクリークサウスパーク

 マウントプレザント地区にあるチャイナクリークサウスパークは八重桜が中心。開花は遅めの4月下旬。黄色っぽいウコンや濃紅色の関山が並ぶ。ウコンは香辛料のウコンに似た萌黄色になることから名付けられたという。

シャンプレインハイツパーク

 サウスバンクーバーのシャンプレインハイツパークにある小学校とコミュニティセンターのそばに曙。(3月下旬から4月上旬)

カナダでも学校周辺で桜をよく見かける ©The Vancouver Shinpo
カナダでも学校周辺で桜をよく見かける ©The Vancouver Shinpo

ギャリーポイントパーク

 日系人とのつながりが深いリッチモンド。特にギャリーポイントパークでは、2000年から和歌山県人会が創立35周年を記念して桜の植樹を開始。今では新しい桜の名所となり、リッチモンド・チェリーブラッサム・フェスティバルも開催される。(2020年は中止、2021年はバーチャルの予定)

 海に面していて潮風に晒されるという土地柄、寒さに強い曙が訪れる人を楽しませてくれる。リッチモンド市によると255本。開花は3月下旬から4月初旬。

ギャリーポイントパークでは、和歌山県人会が創立35周年を記念して、2000年から桜の植樹を開始した。© The Vancouver Shinpo

バーナビーマウンテン

 標高370メートルのバーナビーマウンテンパーク。バーナビー市と姉妹都市の北海道釧路市が贈ったトーテムポールが並ぶ辺りからは、ダウンタウンの眺望が素晴らしい。ローズガーデンそばのピクニックエリアにソメイヨシノがある。開花は3月下旬から4月初旬。

日系文化センター・博物館周辺

 日系文化センター・博物館前の道路沿いの桜並木。若木ながら曙が3月下旬から4月初旬にかけて見事な花を咲かせてくれる。

日系文化センター・博物館周辺は桜が多い © The Vancouver Shinpo
日系文化センター・博物館周辺には桜が多い © The Vancouver Shinpo

 そのほか、リッチモンドのミノルパークのミノルチャペルそばの白妙や、バンクーバー空港そばのMiller Roadの寒山、空港のあるシーアイランドの桜も美しい。

(取材 西川桂子)

合わせて読みたい関連記事