スティーブストン日本語学校は1960年に創立され、2020−2021年に創立60年を迎えました。本校は創設以来、日本語学習者と地元コミュニティーに向けて、日本の言語と文化を発信する役目を果たしてきました。
しかし、創立60周年を迎えた2020年3月、新型コロナウィルス感染拡大により、学校での対面授業が行えないという非常事態を迎えました。(2020年4月より、授業はZoom にて行われています。)
2020年1月、学校では様々な60周年記念行事を企画していましたが、それも全て中止となり、寂しい60周年となっています。
そこで、別の形での記念として、2020年10月より2021年6月まで、2ヶ月に一回保護者・生徒に向けて60周年記念ニュースレターを発行し、学校の歴史を伝えていくことにしました。
今回、「バンクーバー新報」にもその記事を投稿することになりました。一人でも多くの方に本校の歴史とコミュニティーへの貢献、そして本校の存在意義を知っていただけることを願います。
第2回:学校バザー(1961年〜2003年)
1960年9月、スティーブストンコミュニティーセンター内に、スティーブストン日本語学校が正式に開校しました。建物の使用に関しては、日系カナダ人家庭に限らず、いかなるバックグラウンドの生徒も受け入れることを条件にその使用が無料となり、そのおかげで、開校当時から1979年までの授業料は月にわずか1ドルに抑えることができました。
生徒・保護者にとっては幸運なことでしたが、学校としては授業料収入がなく、人件費や学校運営費などの財源を他の方法で求める必要がありました。そのため、年に一回学校バザーを開催して資金を集めることとなったのです。
当時はこのバザーが唯一の財源であり、教師、生徒、保護者、地元のボランティアなど、数多くの関係者が協力してバザーの開催が実現されました。
1961年2月に始まったバザーは、スティーブストンコミュニティーセンター全体を使用して盛大に行われました。下階の体育館では歌や踊りなどのパフォーマンスが催され、上階ではうどんやお饅頭などの日本食品が販売されました。
多くの食品は、数日間に渡って準備をした教師や保護者などのボランティアによる手作りのものでした。当時は日本のレストランが少なく、日本食品もなかなか手に入らない時代で、バザーで売られる日本食品は、住民に大変喜ばれました。
また、日系以外の住民にとっては、日本の文化に触れる貴重な機会でもありました。1994年の学習発表会用に当時の7・8年生が書いた原稿にも、「毎年2月の終わりに行われるバザーは、今ではリッチモンド市の年中行事になり、市の人々から喜ばれています。」とあります。
長年バザーに協力した参加者は、懐かしい思い出を以下のように語っています。
「スティブストンの日系の方々のたくましさを知りました。卒業した生徒やその父兄に会えた事、スティブストンコミュニティの方々が協力してくださった事が嬉しかったです。」
「一番の思い出はおまんじゅう作りです。仏教会婦人会の方々に手ほどきをいただき、初めておまんじゅうを作りました。買う物と同じ物ができることに驚きと嬉しさでした。バザーの良き思い出と美味しい収穫でした。」
バザーはリッチモンドの人気行事となり、収益金は、ビジネス界や日系団体からの寄付金も含め、多い時で1万5千ドルから2万ドルにもなりました。
この様に多くの地元住民に親しまれたバザーでしたが、学校の規模が大きくなり、生徒の家庭環境も多様化するにつれ、参加できるボランティア数が減少していきました。
その結果、バザー開催が困難となり、2003年3月のバザーを最後にその幕を閉じました。
あれから20年近くが経ちますが、スティーブストンの多くの住民にとってバザーは特別な思い出であり、学校の成功とコミュニティーのために尽力したボランティアに敬意を表するものとして、今でもそれぞれの心に大切に刻まれているのです。
参考文献:
本校ウェブサイト
本校文集「しおかぜ」、「しおかぜ2」
斉藤美代前校長「スティーブストン日本語学校の思い出」
入学並びに編入をご希望の方は、本校のウエブサイトwww.sjls.ca をご覧になって下さい。
住所:4111 Moncton Street, Richmond, BC (SCC と同じ住所)
電話:604-274-4374
(スティーブストン日本語学校ニュースレター委員会)