カーニー首相 ダボス会議でカナダの立場を主張、国際秩序衰退に危機感

 マーク・カーニー首相は1月20日、スイス・ダボスで開かれた世界経済フォーラム年次総会で演説した。その中で、これまでのルールに基づく国際秩序は衰退し、「超大国はやりたい放題に振る舞い、中堅国家は耐えるしかないという現実が広がっている」と主張、カナダのような中堅国はこの新しい現実に適応しなければならないと述べた。

 背景には、大国間の対立、アメリカのドナルド・トランプ大統領による貿易問題やグリーンランド問題などがある。カーニー首相は「近年、超大国は経済的統合を武器に、関税を圧力の手段に、金融インフラを強制の道具に、サプライチェーンを脆弱性として利用し始めている」と指摘した。

 カナダについては、これまでの「地域的な有利性や同盟関係が自動的に繁栄と安全をもたらす」という前提は通用しないとし、いち早く戦略を大きく転換させたと述べた。

 具体例として、税制の見直し、州間貿易の障壁撤廃、エネルギー・AI・重要鉱物などへの投資の加速、防衛費の増額を挙げた。対外的な取り組みとしては、EU(欧州連合)との包括的戦略パートナーシップ締結、6カ月で4大陸12件の貿易・安全保障協定を締結したことを挙げ、さらにこの数日間における中国やカタールとの新たな戦略パートナーシップなどについても言及した。

 カナダの国際的な課題解決に向けては、ウクライナを支援、グリーランド問題についてはグリーンランドとデンマークを強く支持するとして、NATO(北大西洋条約機構)条約第5条への誓約は揺るがないと強調した。

 今年の世界経済フォーラムには65カ国・地域から代表が集まり、カーニー首相のほか、トランプ大統領、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相、中国の何立峰副首相らも演説した。

 カーニー首相の演説全文(英語)https://www.pm.gc.ca/en/news/speeches/2026/01/20/principled-and-pragmatic-canadas-path-prime-minister-carney-addresses

(記事 高城玲・北野大地)

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