日本語教師 矢野修三
遅ればせながら、明けましておめでとうございます。今年は午年、多くの方と馬が合い、何事もウマくいきますように、本年もよろしくお願いいたします。
なおその上、今年は丙午(ひのえうま)である。この「ひのえうま」と聞いて、「あらー」と反応する人はそれなりのお年の方であり、若者世代は「なにそれー」。でも60年に一度やってくる、いわく付きの年なので、ニュースなどにも取り上げられ、気になっている方も多いのでは。
この「丙午(ひのえうま)」を理解するには、「十干・十二支」の知識が必要である。はるか昔、古代中国で、年や時間、方位や占いなどに作られたもので、日本には飛鳥時代ごろ伝わったとされ、時代とともに、日本文化として定着し、江戸時代ごろから一般庶民にも大いに親しまれたようである。
先ず、十干(じっかん)だが、これは「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」である。しかし我がおじさん世代でも、甲・乙・丙・丁ぐらいは学校で習った記憶はあるが、他の漢字は読むことも難しい。因みに、甲は音読み「こう」で、訓読みは「きのえ」。丙は音読みが「へい」で、訓読みが「ひのえ」。最後の「癸」は「き」と「みずのと」だが、ほぼ馴染みなし。
一方、十二支(じゅうにし)は年賀状などでお馴染みの「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」であるが、これも若干ややこしい。これが作られた古き中国において、漢字など分からない一般大衆も馴染めるように、十二支の漢字に、身近な動物を「ねずみ」から順番に、それぞれの漢字に割り当てたとのこと。それゆえ、例えば、今年の「午」と動物の「馬」は全く関係なし。でも動物の「馬」がこの「午」に割り当てられたので、十二支の上では「午=馬」の特別な関係になり、日本式読み方は両方「うま」である。
この「十干」と「十二支」が組み合わさって、暦が成立した。甲子(こうし・きのえね)から始まり、癸亥(きがい・みずのとい)まで60通り、すなわち60年で生まれた年に戻る、いわゆる「還暦」である。つまり、干支(えと)とは十干(じっかん)の「干」と十二支の「支」であり、今年西暦2026年がこの丙午(ひのえうま)の年である。
実は、江戸時代に八百屋お七という女性の放火騒動があり、気性が激しく、災いを招くなどの俗信が広まり、このお七が丙午生まれだったようで、丙午の年に女の子を生んではダメ、こんな迷信が近代でも根強く残り、1906年や1966年の丙午の年は出生数がかなり落ち込んだのは事実。さて、2026年はどうなるか・・・。
ともあれ、正式な干支(えと)とは「十干・十二支」であり、明治ごろまでは、ちゃんと両方使っていた。例えば1868年の戊辰戦争は「戊辰(ぼしん・つちのえたつ)」の年であり、1924年は「甲子」の年で、この年に出来た野球場を「甲子園」と命名した。なるほど。ついでに、我が干支は甲申(こうしん・きのえさる)なり。
しかし、昭和に入り、「十干」はややこしく、だんだん使われなくなり、干支といえば十二支だけになってしまった。当然、「丙午」などお呼びでなく、そんな迷信を信じる若者カップルなど、恐らくいないであろう。令和の「丙午」、むしろ、ウマく出生数が増えることを願いたい。

「ことばの交差点」
日本語を楽しく深掘りする矢野修三さんのコラム。日常の何気ない言葉遣いをカナダから考察。日本語を学ぶ外国人の視点に日本語教師として感心しながら日本語を共に学びます。第1回からのコラムはこちら。
矢野修三(やの・しゅうぞう)
1994年 バンクーバーに家族で移住(50歳)
YANO Academy(日本語学校)開校
2020年 教室を閉じる(26年間)
現在はオンライン講座を開講中(日本からも可)
・日本語教師養成講座(卒業生2900名)
・外から見る日本語講座(目からうろこの日本語)
メール:yano94canada@gmail.com
ホームページ:https://yanoacademy.ca
日本語教師として37年、81歳になって
初めて、平仮名「あいうえお」の
素晴らしさ、奥深さを悟りましたよ。
愛情、いっぱいで、生まれ
あ い う
笑顔で、終える。
え お
素晴らしきかな「あいうえお」






















