カナダ統計局が12月17日に発表した2025年第3四半期(7月1日から10月1日まで)の人口速報値によると、カナダの人口は同局が比較可能な統計を始めた1971年以降の第3四半期と比べると最も減少幅が大きかったという。
10月1日時点のカナダの人口は推計41,575,585人で、第3四半期に約76,068人(0.2%)減少した。要因は非永住者(non‑permanent residents)の急減で、176,479人減少。7月1日時点では3,024,216人(7.3%)だった非永住者は、10月1日時点では2,847,737人(6.8%)となっている。
地域別では、オンタリオ州が最大で107,280人減少、次でブリティッシュ・コロンビア(BC)州で26,242人、ケベック州15,989人、アルバータ州10,605人だった。
減少した非永住者の主な内訳は、留学生(学生ビザのみ)が73,682人、就労+就学許可保持者67,616人、就労許可のみ35,231人。留学生が多いオンタリオ州で47,511人減、BC州で14,291人減と顕著だった。
第3四半期には、339,505件の一時滞在許可(temporary permits)が失効したが、新規発行は163,026件にとどまった。
人口減少の大きな要因にはカナダ政府の移民政策がある。カナダ政府はジャスティン・トルドー政権の2024年以降、非永住者(留学生・一時労働者・難民申請者)の受け入れを制限する政策へ転換。2025年春に就任したマーク・カーニー首相も移民を「コントロール下に置く」と明言。11月の予算案では、非永住者の受け入れ数を2026年には385,000人、その後2年間は各370,000人にすると発表している。
住宅価格・家賃の高騰、医療・教育など公共サービスの逼迫、若年層の失業率上昇という経済的な理由に加え、移民受け入れへの支持が30年で最低という国民の意志も反映しているという。
一方で、永住権者の受け入れは102,867人と例年並みで、今後もこうした状況が続くと見られている。
(記事 北野大地)
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