ヒルマン駐米カナダ大使、CUSMA交渉本格化前に退任へ

 カナダ政府は12月10日、カーステン・ヒルマン駐米大使が2026年初めに退任することを明らかにした。ヒルマン氏は2019年に臨時大使として着任し、2020年トルドー政権時に正式任命。初の女性駐米大使となった。以降、ワシントンでカナダ外交を担ってきた。

 ヒルマン大使は声明で「加米関係のこの重大な時期に仕え、カナダとカナダ国民を代表することが私の外交官人生において最大の特権でした」と振り返った。

 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の首席交渉官も務め、この協定はアメリカが離脱後、カナダと日本がけん引し、包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)として出発した。

 退任についてヒルマン大使はCBCの番組でのインタビューで、今年の春にはマーク・カーニー首相に2026年に退任する意向を伝えていたと明らかにした。理由は2026年に始まるCUSMA交渉だと言う。「カナダにとって不利益になる決断を下すことはありません。今回の決断は、これからの交渉を最後までやり遂げられるチームへと移行できる時期と思っている」と語った。

 カーニー首相は「ヒルマン大使はカナダ史上最も長く務めた駐米大使の一人であり、経済・安全保障関係の強化に大きな役割を果たした」と功績を称賛。特に2026年に予定されるアメリカ・メキシコ・カナダ協定(CUSMA)の見直しに向けた基盤作りを評価した。

 後任には、カナダ年金投資委員会の元トップで、アメリカ投資会社ブラックロック幹部を務めたマーク・ワイズマン氏が有力視されている。

(記事 北野大地)

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