「日本語に思いを乗せて」第38回BC州日本語弁論大会開催

髙橋総領事と出場者が揃って。2026年3月7日、バンクーバー市。撮影 三島直美/日加トゥデイ
髙橋総領事と出場者が揃って。2026年3月7日、バンクーバー市。撮影 三島直美/日加トゥデイ

 第38回ブリティッシュ・コロンビア(BC)州日本語弁論大会が3月7日、ブリティッシュコロンビア大学(UBC)アジアンセンターで開催された。在バンクーバー日本国総領事館とBC州日本語弁論大会実行委員会の共催。

 午前に高校生の部(初級、中級、オープンの3カテゴリー19人)、午後に大学生の部(初級、中級、上級・オープンの3カテゴリー11人)が行われ、発表者は日頃の練習の成果を存分に発揮して、それぞれの思いを熱く語った。

 参加者はBC州とユーコン準州に居住する日本語を母国語としない人が対象。高校生の部は、初級・中級が各3分、オープンが4分、大学生の部は、初級・中級が各4分、上級・オープンの部は各5分の持ち時間となる。

 時間内に終えることはもちろん、内容や言語的正確さ・流ちょうさに加え、表現力も駆使しながら、聞く人にいかに分かりやすく伝えるかという高度な技術が要求される。大学生でも初めから流ちょうに話していても、残り時間を告げられると急に詰まったりすることがあり、制限時間を意識しながら伝えることの難しさを示していた。

 大学生の部の各カテゴリー優勝者は3月29日にアルバータ州エドモントン市のアルバータ大学で開催されるカナダ全国日本語弁論大会に出場する。

 大学生の部ともなると、初級の参加者ですら、日本語の流ちょうさもさることながら、内容も「人生とは」といった哲学的なものが多くなる。日本滞在中に出会った人から学んだ人生で大切なもの、ハーモニカを演奏しながら大好きなブルースともののあわれに共通する沈黙が果たす役割、失敗を恐れて行動をためらっていた自分が出合った手書きのおもしろさが変えた人生、日本語を学んだからこそ見えたカナダのすばらしさ、不正に声を上げ立ち上がる勇気など、言葉の壁を越えた普遍のテーマを外国語である日本語で語る姿は誰もが優勝者だった。

「自信を持ってがんばってください」とエールを送ったバンクーバー領事館・髙橋総領事。2026年3月7日、バンクーバー市。撮影 三島直美/日加トゥデイ
「自信を持ってがんばってください」とエールを送ったバンクーバー領事館・髙橋総領事。2026年3月7日、バンクーバー市。撮影 三島直美/日加トゥデイ

 バンクーバー総領事館・髙橋良明総領事はあいさつで言葉は文化への理解を深める大切な手段であると同時に「自己表現の手段でもあるということで、本日は自分らしさや思いを伝える絶好の機会だと思います」と激励した。この日の出場者はまさにその通りに外国語である日本語で自分らしさや思いをそれぞれに発信した。

 審査は難しかったようで予定よりも時間がかかり、審査員を代表してあいさつしたUBCのクリスティナ・イー氏は「ほんとに僅差でした」と参加者の努力を称えた。

 大学生の部各優勝者は、初級がイリア・パルナシュビリさん「どうして言語を学ぶのでしょうか」。スピーチでは「四国から来て岡山でフランス語を習っていたおじいさんとの出会いで携帯に頼らずに自分の言葉で話す心が大切と感じた」経験を語った。
 中級はケリー・デンさん「そばに、何がある?」。昨年日本に旅行した時の「大阪で友達のように過ごしたガイドとの2日間も楽しかったが、そのあとの一人旅も楽しかった、それは自分と仲良くなれたからで、人生もそうかもしれない、自分自身はいつも自分のそばにいる」と発見した思いを発表した。
 上級・オープン優勝はサイラス・ワインバーグさん「おにぎり」。大きな身振り手振りで「日本に行っておにぎりを毎日食べたいと思っていた小学生の頃から日本語を習い、日本に高校留学した。打ちのめされることもあったけど夢を忘れかけた時、おにぎりのことを思い出した、今も日本語学習を継続している。皆さんも目的や夢を思い出して進んでください」と語りかけた。

大学生の部で優勝した3人。左から、ワインバーグさん、デンさん、パルナシュビリさん。2026年3月7日、バンクーバー市。撮影 三島直美/日加トゥデイ
大学生の部で優勝した3人。左から、ワインバーグさん、デンさん、パルナシュビリさん。2026年3月7日、バンクーバー市。撮影 三島直美/日加トゥデイ

 全国大会に向けて、パルナシュビリさんは「全国大会でもっとたくさんの人の前でスピーチできることを楽しみにしていますし、もっと深く日本語を学んでいきたいと思います」と意気込みを語った。

 デンさんは2024年に大学生の部初級で優勝し全国大会に出場、今回は2回目という。発表した内容に触れ、「これからも自分自身と丁寧に向き合い、楽しく旅を続けていきたいと思います」と日本語で語った。

 3人に自身の名前の日本語表記を聞くと、それぞれがカタカナで書いたが、ワインバーグさんは漢字の当て字があると「最来寿・葡萄酒蟲(サイラス・ワインバーグ)」と披露した。スピーチでも語ったようにと前置きして「これからも(日本語を)続けていきたいし、もっと広げていきたい」と話し、全国大会に向けては「すごくいい機会だと思っているし、楽しみたい。こんな機会を得られて感謝しています」と語った。

 この日は、全国大会に出場する優勝者だけではなく、高校生・大学生の各部門上位3人も表彰された。BC州日本語弁論大会は、UBC、UBCアジア研究学科、バンクーバーの日系企業・団体、日本の姉妹都市(安中市、千葉市、釧路市、さいたま市)が協力している。

第38回BC州日本語弁論大会 
高校生の部優勝者

初級(Beginner)
Sophie Kucherenko「虫の人生」

中級(Intermediate)
Alison Shirran「言葉の壁」

オープン(Open)
Keira Ho「グローバル化の中で、私たちは何を失いつつあるのか」

表彰式終了後、審査員やUBCアジア研究学科長のシャラリン・オルバー教授らと一緒に。2026年3月7日、バンクーバー市。撮影 三島直美/日加トゥデイ
表彰式終了後、審査員やUBCアジア研究学科長のシャラリン・オルバー教授らと一緒に。2026年3月7日、バンクーバー市。撮影 三島直美/日加トゥデイ

(取材 三島直美)

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