アルバータ州でダニエル・スミス州首相への市民リコール運動が正式に進められている。州選挙管理当局(Elections Alberta)がスミス州首相の選挙区(ブルックス-メディスンハット)で提出された請願を12月3日に承認したことで、州政史上まれな州首相リコールが現実のものとなった。
アルバータ州では2021年に「リコール法」を制定、州民が議員の解職を求める請願を提出できるようになった。25年には改定され、条件を緩和。それでも、成立には対象選挙区有権者60%以上の署名が必要でハードルは高い。
請願者はスミス州首相が地域に根ざしていないことや住民の声を十分に反映していないことを批判。さらに教育・医療制度改革、障害者支援(AISH)の削減、私立学校への資金配分など政策面への不満も背景にある。トランスジェンダー児童の権利制限を含む法案や教師のストライキにも発動した「ノットウィズスタンディング条項(例外条項)」の乱用も反発を招いている。
スミス州首相だけでなく、与党UCP(United Conservative Party of Alberta)の議員20人がリコール対象で、レベッカ・シュルツ環境相やネイト・グルビッシュ技術革新相も含まれている。野党NDP(新民主党)議員も1人が対象となり、与野党を超えた動きとなっている。
スミス州首相は「地域は忘れられていない」と強調し、道路整備や学校・医療施設の改善を進めてきたと反論する声明を12月9日に発表。また「リコール制度が抗議運動に乱用されている」として、民主制度を弱体化させる危険性を指摘している。
請願が成立すれば、州首相の議席が失われる前例のない事態となり、州政に大きな混乱をもたらす可能性がある。しかし必要署名数は多く、実際に成立するかは不透明。
スミス州首相と言えば、11月にマーク・カーニー首相とアルバータ州からブリティッシュ・コロンビア州沿岸までのオイルサンド用パイプライン建設に関する覚書に署名して話題になったばかり。また今年に入りアルバータ州でくすぶる独立運動を後押しするような法整備を続けている。
アルバータ州首相が市民リコール運動の対象となるのは極めて異例で約90年ぶりという。
(記事 北野大地)
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