
ラボルダのシュートが決まった瞬間、5万4千人の大歓声でBCプレースが揺れた。9人で守り切った延長戦の先に勝利が待っていた。
11月22日(BCプレース:53,957)
バンクーバー・ホワイトキャップス 2-2(PK4-3) ロサンゼルスFC
先制はホワイトキャップス。39分にMFサビが決め1-0。前半アディショナルタイムにはラボルダがゴールして2-0とリードして折り返した。後半に入りLAFCが60分にFWソンが混戦を制し2-1。後半のアディショナルタイムにはフリーキックのチャンスにソンが直接左隅に決めて2-2となった。延長30分でも決着がつかず、PK戦へ。LAFCは最初に蹴ったソンがポール直撃、3番手は上に大きく外し、ホワイトキャップス5番手のラボルダのシュートが決まり決着した。
GK高丘「延長戦を守り切れば勝てると思っていた」
試合前からボルテージは最高潮だった。西カンファレンス準決勝の舞台でLAFCに今季途中で移籍した韓国代表キャプションのソンが初めてバンクーバーでプレーする。GK高丘とも、MFミュラーとも初対決だ。

最初のゴールはGK高丘から始まった。高丘が縦に大きく上げると待っていたサビが受け取り、そのままゴール。高丘に今季初のアシストが付いた。ホワイトキャップスでは2023年7月8日以来。「あれは相手との戦術的な噛み合わせの中で、空いてくるっていうのは分かっていたので、それがうまくいってよかったです」と作戦勝ちだったようだ。
ただ、後半に2失点。「前半2-0で終えて90 分間で決着つけたかったですけど」と反省したが「チームが後半追いつかれてから見せたスピリットっていうのはすばらしいものだと思います」と振り返った。
後半のアディショナルタイム、93分に2枚目の警告でホワイトキャップスの守りの要DFブラックモンが退場となった。その直後のフリーキックをソンが決め2-2に追いつかれた。その後も容赦なくLAFCの攻撃が噛みつく。延長戦ではDFハルボニがけがで退場。9人となったキャップスだったが、高丘の好セーブと2度、3度とポールに弾かれるLAFCのシュートで、同点のまま守り切った。
「PK戦まで粘れれば勝てると思ってたんで」と高丘。9人になっても守り切ってPKでの勝利。「勝てて良かったです」と涼しい笑顔を見せた。
韓国代表ソンとの直接対決

2失点はいずれもソンのゴールだった。1点目は一度高丘が弾いたボールを結果的にソンが押し込んだ。2点目はフリーキックでここにしか決められないという左上隅にアニメのシュート場面のような弧を描いて決まった。PKでは1番手に登場したがポールに当てて失敗。結果的にここが勝利の分かれ目だった。
高丘はソンの印象について「世界のトッププレーヤーの1人ですし、プレミアリーグで結果を残した選手がMLSでプレーしていて同じアジア人として誇りに思います。そういった選手と同じピッチでやれたっていうのは僕にとっても大きな経験です」と語った。そして「フリーキックをしっかり止めれるようにしたいなと思います」と付け加えた。
会場にはソンを一目見ようと韓国系ファンが多く詰めかけていた。フリーキックが決まった瞬間、ため息ともどよめきともつかない歓声がスタジアムを覆った。
会場は5万4人の超満員、次戦はサンディエゴで決勝に挑む
お祭りムード漂う試合後のBCプレースだが、まだここで終わりではない。次はホワイトキャップスにとってさらに未知の領域となる西カンファレンス決勝。

高丘はキーパーとして「プレーオフのゲームは自分が力を発揮しないといけないし、ゴールキーパーのプレーで試合を勝たせることもできると思うので」と気合十分。この日2点失したことは悔しがったが、「次のラウンドに進むということで1週間空くので、良い準備してま次に向けてやっていきたいなと思います」と次の試合を見据えた。
11月24日にサンディエゴFCがミネソタ・ユナイテッドFCに1-0で勝利したことで、ホワイトキャップスは今季プレーオフで初めてアウェイとなる。
この日は約5万4千人がホワイトキャップスに声援を送った。「すばらしかったですし、クラブとしての一体感っていうのはすごい感じました。後押しはすごいもらったと思います」と感謝。
次は敵地に乗り込んでMLS決勝を目指す。MLS西カンファレンス決勝は11月29日、サンディエゴのスナップドラゴンスタジアムで6時キックオフ。すでにチケットは完売しているという。
そしてMLS決勝は12月6日。東カンファレンスではインテル・マイアミとニューヨーク・シティFCが決勝に進んでいる。

(取材 三島直美/写真 斉藤光一)
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