カナダ「はしか排除国」認定を失う

 カナダ公衆衛生局(PHAC)は11月10日、カナダが麻疹(はしか)排除国の認定を失ったと発表した。

 決定はパンアメリカ保健機関(PAHO)の審査結果に基づいたもの。カナダ国内で、同じ株の麻疹ウイルスによる持続的な感染伝播が1年以上続いていることが確認された。

 PHACの声明によると、カナダでは2024年10月からはしかの流行が始まり、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州を含む9州と1準州にまで拡大。最近は感染の拡大ペースがやや鈍化しているものの、流行は予防接種率が低い地域を中心に継続している。

 2025年カナダ国内の感染者数は11月10日まで5,162件。最も多いのはオンタリオ州で2,393件、次いでアルバータ州1,946件、BC州336件と続く。

 BC疾病管理センター(BCCDC)によると、BC州では11月6日時点で9件だったという。BC州の副主席医務官マーティン・ラヴォワ医師は、CBCニュース電子版に州内の感染例の大半が州北部で発生、感染者の96%が予防接種を完全に受けていなかったと指摘した。

 カナダでは2020年から23年までは感染者は0、24年に147件が確認されている。25年は1月から感染者が確認されていたが、春に急増した。

 専門家によると、急増した主な要因はワクチン接種率の低さで、ワクチンに対する不信感や宗教などさまざまな理由でワクチンを接種しない人が増えたことが考えられるという。

 PHACは現在、PAHOや連邦、州、準州の各政府と協力し、ワクチン接種率の向上やデータ共有の強化などに取り組んでいる。「はしか排除国」の地位回復には、国内で同じ株の麻疹ウイルスの感染連鎖を12カ月以上遮断することが必要だという。

(記事 高城玲)

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