
ファンが3階席まで埋め尽くし、 BCプレースが熱気と水色に染まった。10月26日、MLSカップ・プレーオフの1回戦が行われ、バンクーバー・ホワイトキャップスFCがFCダラスを3対0で完封した。
観客動員数は32,066人と、ホワイトキャップスのMLSカップ・プレーオフでのホーム記録を更新。悲願のMLSカップ制覇へ向けて、力強い一歩を踏み出した。
10月26日(BCプレース:32,066)
バンクーバー・ホワイトキャップス 3 – 0 FCダラス
前半から主導権を握り、試合をコントロール
試合序盤からホワイトキャップスが主導権を握った。左サイドのアリ・アーメドが積極的に仕掛け、攻撃のリズムをつくった。
43分、セバスチャン・ベルハルターが右サイドへ展開。アーメドが素早くクロスを送り、リオスが力強く頭で合わせて先制した。リオスは今季全大会を通じて4得点目を記録。

後半に入っても流れは変わらず、エマニュエル・サビが前線で躍動。ドリブルで相手DFセバスティアン・イベアガと競り合いペナルティエリア内でPKを獲得。サビがPKを誘うのは2試合連続で、試合後にソレンセン監督が「相手の背後を常に脅かしていた」と称賛するほど、終始攻撃の軸として存在感を見せた。
PKはトーマス・ミュラーが右上に決め、リードを2点に広げた。ミュラーは加入後9試合で9得点。ホワイトキャップスでの公式戦PKは6本全て成功している。
そして83分、途中出場の18歳ライアン・エルーミが果敢なドリブルでゴールライン際を突破。倒されながらも低いクロスを送り、これを同じく途中出場で日本生まれの日系ペルー人選手ケンジ・カブレラが滑り込みながら押し込み、3対0。若手の活躍で試合を締めくくった。

ミュラーは試合後、「最初から試合をコントロールできた」と振り返った。攻守のバランスや相手のカウンターへの備えなど、試合の戦い方に手応えを感じたという。そして、「まだ1勝を手にしただけで、2勝目が必要」と次戦への意気込みを語った。
安定感ある守備でチームを完封勝利に
守備ではチーム全体が冷静に最終ラインを支え、相手に決定機を与えなかった。FCダラスのシュート数は0本と、完璧に封じ込めた。GK高丘は大きなセーブを要する場面は少なかったものの、安定感ある守備でチームの完封勝利に貢献。
試合後には、「前半からボールをちゃんと握ってコントロールできましたし、チャンスも作っていた。3点取って勝てたのは大きいと思いますし、無失点で抑えられたのは良かったかなと思います」と手応えを話した。

また、「相手の狙いは僕らの背後のスペースだったので、そこの管理を意識していました。ボールを足で扱う場面も多かったけれど、プレッシャーをうまく受けながら対応できたと思います」と自身のプレーを振り返った。
次戦アウェーは「0対0からのスタート」と高丘
ソレンセン監督にとって、北米でのプレーオフは今回が初めて。「旗や歓声、チームへの愛情があふれていて、本当に特別な夜になった」と語り、「観客に最高の試合を見せることができてうれしい」と感謝した。
今月18日に行われたレギュラーシーズン最終戦では、やはりBCプレースで同じくダラスと対戦し敗れている。ソレンセン監督は、「1週間前の試合で得た情報をもとに修正できた。集中して、狙ったテンポで試合を進められた」と振り返った。
高丘はプレーオフへの意気込みについて、「2年連続でこのラウンド1で負けていたので、悔しさは持っています。今年はチームの状態もいいですし、MLSカップを取れるように1試合ずつ勝っていきたい」と力を込めた。そして第2戦に向けては、「アウェーでも0対0からのスタートになる。1週間良い準備をして、また集中して臨みたいと思います」と気を引き締めた。
この日の観客動員数は32,066人、ホワイトキャップスのMLSカップ・プレーオフでのホーム記録を更新した。高丘も、「観客の後押しをすごく感じました。今季は満員の試合も多く、年々熱が上がってきていると思います」と話す。
ホワイトキャップスはこれでシリーズ1勝。次戦は11月1日午後6時30分(太平洋標準時)、アメリカ・テキサス州のトヨタ・スタジアムで行われる第2戦に臨む。勝てば準々決勝進出が決まり、シリーズが第3戦にもつれた場合は11月7日に再びBCプレースで行われる。

(取材 田上麻里亜/写真 斉藤光一)
合わせて読みたい関連記事


























