バンクーバー市チャイナタウンで2023年に起きた刺傷事件の裁判で、被告の弁護士が被告には神からの指示以外に動機はなく、精神障害のため刑事責任は問えないと主張したことが分かった。カナディアンプレスが伝えた。
2023年9月、ブレア・ドネリー被告はチャイナタウンのフェスティバルで、女性2人、男性1人を刺してけがを負わせ、3件の加重暴行罪で起訴された。被告は裁判の中で当初はコキットラム市のカフェに自転車で行くつもりだったが、「神に促されてチャイナタウンに行き、人を傷つけた」と証言した。
ドネリー被告は犯行自体は認めているものの無罪を主張している。争点は事件当時の精神状態にあるという。
ドネリー被告の弁護士グレン・オリス氏は9月18日のブリティッシュ・コロンビア州最高裁判所での最終弁論で、同被告は精神疾患により「自らの行為が間違っているかどうかを理解できなかった」とし、「彼の行為は、神の命令、意志、示唆のようなものに突き動かされた」と述べた。
法廷では、ドネリー被告が統合失調症であること、さらに、精神科医が最近になって「双極性を伴う統合失調感情障害」と診断していたことが明らかにされた。この疾患は宗教的妄想を伴うという。
一方、マーク・マイレ検察官はドネリー被告が「責任能力なし」とされる法的基準を満たしていないと反論した。
ドネリー被告は2006年に娘を刺殺した事件と、2017年に他の精神科患者をバターナイフで襲った事件で、すでに責任能力なしと判断されている。チャイナタウンの事件当日はBC州精神医療病院から付き添いなしで外出していた。
この事件の判決は10月24日に言い渡される予定だという。
(記事 高城玲)
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