マーク・カーニー首相は、CUSMA(カナダ・アメリカ・メキシコ協定)の対象となっているアメリカ製品への関税を全て撤廃すると22日の会見で発表した。アメリカの対応に歩調を合わせると説明。9月1日から実施する。
カーニー首相事務所は前日の声明で、21日にアメリカのドナルド・トランプ大統領と電話会談したと明らかにした。内容について詳細には触れていないが、「建設的で、幅広い内容について話ができた」とし、貿易上の課題、経済・安全保障、ウクライナ問題などに及んだと説明していた。この電話会談に先駆け、アニタ・アナンド外務大臣が21日にワシントンD.C.でアメリカのマルコ・ルビオ国務長官と会談していた。
アメリカとの関税をめぐる交渉は、7月末の期限で合意に達することができなかったため、トランプ大統領は8月1日からカナダからの輸入品への関税をさらに引き上げた。一方カナダも対抗措置を継続している。
カーニー首相は、アメリカからの鋼鉄、アルミニウム、自動車関連への関税は引き続き維持するとし、報復関税を全廃したわけではないことを強調した。会見では、アメリカの関税対応に弱腰になっているのではないかとの質問も出たが、CUSMA内のカナダからアメリカへの輸入品は無関税となっていることに歩調を合わせたものだと説明。報復関税撤廃でアメリカとの交渉再開が約束されたのか問われると「イエス」と答えた。
2026年にはCUSMAの交渉が控えている。カナダ政府は、来年予定されているCUSMAの見直しに向けた準備のため9月からカナダの優先事項などについて協議を開始するとも発表した。現在カナダとアメリカの貿易は85%がCUSMAによって無関税となっている。
21日の声明では、「両首脳は近く再び会談を行うことで合意した」としている。
(記事 北野大地)
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