カナダ国家元首のイギリス・チャールズ国王が5月27日、オタワの上院議場で第45回議会の開会を宣言し、施政方針演説を読み上げた。施政方針演説は、首相とその側近が執筆し通常はカナダ総督が代読する。イギリス王室による施政方針演説は史上3回目で、1957年と1977年の過去2回は故エリザベス女王が行った。
チャールズ国王はカナダ勲章を首からかけて演説。与党・自由党の政策方針を説明する一方で、アメリカのドナルド・トランプ大統領による関税問題や「51番目の州」発言にも間接的に触れた。
国王は、母・エリザベス女王が約70年前の演説で当時の国際情勢を受けて「どの国も、その国だけで生きることはできない」と述べたことに触れ、「カナダがその行動と価値観において世界の模範であり続けてきたことを私は誇りに思う。国歌のように真の北国は強く自由です」と語った。
今回の国王訪問はマーク・カーニー首相の要請によるもので、アメリカとの緊張が高まる中で実現した。選挙期間中、カーニー首相はトランプ大統領に立ち向かう存在として自身を位置づけ主権を守る姿勢をアピールしてきた。
オタワ市ウェリントン・ストリートには、馬車で演説に向かう国王夫妻を一目見ようと数千人が詰めかけた。国王は儀仗兵を閲兵し、観客と笑顔で交流した。演説の後は戦没者慰霊碑を訪れ「永遠の記憶を込めて。チャールズ」と書かれた花輪を捧げた。
(記事 高城玲)
合わせて読みたい関連記事