マーク・カーニー首相は5月6日、ホワイトハウスでアメリカのドナルド・トランプ大統領と会談した。その前に大統領執務室で行われた会見では、これまでカナダを激しく批判してきたトランプ大統領だが今回はカーニー首相に友好的な態度で接し「非常に有能ですばらしい人物」と称賛した。
記者団が「カナダ併合」について質問した際には、トランプ大統領がカナダはアメリカになった方がカナダ国民にとって有益だと述べたことに対して、カーニー首相は「カナダは売り物ではない」と明言。首相は「(トランプ大統領は)不動産ビジネスをやっているからお分かりでしょうが、決して売りに出ない場所というものがあるのです」と述べ、「数カ月の選挙活動期間中にカナダの『オーナーたち(国民)』と会いましたが、カナダは売り物ではないし、これからも絶対にそうはならない(ことを確認しました)」と話した。これに対しトランプ大統領は「いつか実現するかもしれない」「絶対はない」などと反論したが、カーニー首相は「絶対にない」と強調した。
またトランプ大統領はカナダの雇用や輸出に悪影響を与えている関税について撤回する考えがないことを示唆。カナダの自動車産業を排除すると脅したり、「アメリカは年間2,000億ドルもカナダを補助している」と根拠のない主張を繰り返す場面もあった。
会談後、カナダ大使館で行われた記者会見でカーニー首相は「非常に建設的な会談だった」とし、両国関係の現状について前向きに感じていると話した。また、新たなカナダ・アメリカ間の貿易協定について交渉を行うとの確約をトランプ大統領から取り付けたこと、昼食会の際にも「51番目の州」のコメントをやめるよう求めたことについても述べた。
両首脳は、今後数週間にわたって協議を継続することで合意した。6月にアルバータ州カナナスキスで開催されるG7サミットで、再び対面する予定となっている。
(記事 高城玲)
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