ラグーンに閉じ込められた子どものシャチ、救出活動続く

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバー島北部ゼバロスで、子どものシャチがラグーン(外海から隔てられた水深の浅い場所)から抜け出せなくなっている。地元の先住民と海洋哺乳類の研究者、カナダ漁業・海洋省(DFO)の救出活動が続いているが難航している。

 地元先住民によってkʷiisaḥiʔis(クイザヘイエス、勇敢な小さなハンターの意)と名付けられた2歳のシャチは、3月23日に母親と共にラグーンにいるのが発見された。救出活動にもかかわらず、母親は数日後にラグーンの出口となる砂州に乗り上げて死亡した。

 クイザヘイエスが海に戻って群れと再合流するには、母親が乗り上げた狭く浅い砂州を通り抜けなければならない。3月28日にはボート約10隻が出動し、オイコミパイプと呼ばれるツールで音を鳴らしながらラグーン出口まで導いたが、クイザヘイエスはラグーンに戻ってしまい失敗に終わった。他にも録音されたシャチの鳴き声や先住民のドラムなどを使った救出活動が行われているが、いずれも成功していない。

 DFOはクイザヘイエスが狩りをしている様子はなく、母親の検死からまだ母乳を飲んでいたと考えられるとの見解を示している。救出にかかわっている地元先住民によれば食べ物がなくても子どものシャチは2週間は生存できるという。

 キリスト教の復活祭(イースター)の週末は潮位が十分に高くならないため、救出活動は一旦中止となった。必要になればクイザヘイエスを捕獲して海に放流する、より危険度の高い救出法の検討もするという。

 4月1日現在も救出活動は続いている。

(記事 編集部)

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