【インドから帰国した写真家、30年の悲願達成】斉藤光一

先月、私は30年越しでインドへの旅を果たしました。愛用のカメラと動画撮影用にiPhoneを携え、インドのガンジス川を主な舞台にした小説、遠藤周作の「深い河」の文庫本を手に持っての旅でした。

30年前、ワーキングホリデーでバンクーバーに降り立ち、当初は北米から、ヨーロッパそしてインドへの旅行計画を抱えていました。しかし、様々な事情からインド行きを果たせず、カナダからの帰国後は仕事と家庭に忙殺され、その夢は遠のいていました。

バンクーバーのワーキングホリデー時代に出会った当時学生の古賀義章さんとは、友人関係が今も続いています。彼は世界中のメディアから記事を厳選し、日本語に翻訳して掲載する雑誌「クーリエジャポン」の発案者であり、初代編集長となりました。また、バンクーバーでも3度講演会を開催しています。現在はJICAとの協力でインドでジェンダーに関する漫画を制作中です。彼の熱心なインドへの誘いに、インド行きを決意しました。

「数週間だけのインド滞在で何が分かる?」と言われるでしょうが、インドではシンプルに光と美しさを、カメラのファインダーを通して夢中で追い続けていました。人種のモザイクと言われるカナダに長く住んでおり、そこで培った経験が影響したのか、私がインドで撮った写真は、普段バンクーバーで撮る写真同様に、様々な人に分かりやすい写真が多かったようです。 今回、そこにビデオを組み合わせることで、インドへ行きたくても行かれない人にも、その場の雰囲気をより伝えることが出来ればと思っています。

30年の歳月を経て、果たした悲願の旅。これからも独自の手法で世界を切り取っていくことを私自身期待しています。

講談社国際ライツ事業部担当部長古賀義章さん(左)と写真家斉藤光一。インド、バラナシ、ガンジス川で。
講談社国際ライツ事業部担当部長古賀義章さん(左)と写真家斉藤光一。インド、バラナシ、ガンジス川で。

(寄稿 斉藤光一)

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