「七五三*お寺の前で深御辞儀」

カナダde着物

第53話
*こどもの晴れ着*

 境内の銀杏が黄色く色づきますと、毎年、9月頃からお参りと記念の写真撮影をされたいご家族が来られます。

 お寺ではこどもたちの声が響き、晴れ着姿の幼子は、ハロウィンのコスチュームを着るかのようにはしゃぎます。

 コロナ禍の後、若いご家族が多くお参りに来られるようになりました。
 七五三に限らず、初参り、百日祝い、お食い初め、など3歳になる前に行われる儀式をお寺やご自宅でされるようです。

 昨今、世の中は不安を煽るニュースばかりです。
 家族が集い、神仏の前で手を合わせることは「目先のことしか見えない、わからない、われわれの小さな判断を、大きく超えるご神仏にまかせきる」という意味があると聞きます。

 どんな時でも心を整えることが出来たら、自分の思い込みや他人の言葉に振り回されることはないでしょう。

 こどもたちと横に並び、同じ目線で話し、一緒に何かをすることで安心感を持てるような、そのような場所が家庭以外でもあればと思います。

「晴れ着姿で七五三祝い@東漸寺」写真:コナともこ/平鍋ユキオ
「晴れ着姿で七五三祝い@東漸寺」写真:コナともこ/平鍋ユキオ

*今日の着物*Today’s Kimono

「昨今の晴れ着」

 着物は伝統文化ですが、ファッションとして愉しむ一面もあります。
 インターネットで日本の晴れ着を検索しますと、様々なデザインや色の着物や小物が出てきて華やかな気分になります。販売だけでなく、比較的安価でレンタルも出来ますから、日本へ里帰りしてお祝いをされているご家族も多いでしょうか。
 最近の主流は「くすみ色」です。トーンを落とした暖かい色です。その傾向は、ウェディングドレスや車の色でも見ることが出来ます。

 時代や流行はいつも変わりますし、世代により色の好みや自身が持つイメージが違うのは、当たり前ですね。

 ただ流行はいつも戻って来ますので、今お気に入りの着物は孫世代に引き継いでもらえる?かも知れません。大事に着ていきたいものです。

「晩秋の七五三祝い@東漸寺」コナともこ
「晩秋の七五三祝い@東漸寺」コナともこ

*今日の和の学校*Today’s Gathering

「お寺で合同の七五三祝い」

 11月12日の日曜日、毎年恒例の合同七五三祝いが東漸寺本堂にて行われました。
 例年より参加されたご家族は少なかったですが、ゆったりとした中、お子様のお名前を読み上げ、お経読みがありました。

 小さいお子さんが、きちんと座布団の上に座り、真っ直ぐ前を向いている姿を見ると、前途洋々で頼もしく、とても嬉しくなります。
 そして、こどもたちからも私たちは多くを学んでいると気が付きます。

 お子様の健やかなる成長を心よりお祈り申し上げます。

「七五三祝い@東漸寺 5歳の男の子 本堂にて」Photo by Manto Artworks
「七五三祝い@東漸寺 5歳の男の子 本堂にて」Photo by Manto Artworks
「コキットラム市にある東漸寺」Photo by Manto Artworks
「コキットラム市にある東漸寺」Photo by Manto Artworks
「和の仲間 七五三祝い@東漸寺2023 秋」Photo by Manto Artworks
「和の仲間 七五三祝い@東漸寺2023 秋」Photo by Manto Artworks

七五三 
 数え年で、男の子は5歳(地方によっては3歳も)、女の子は3歳と7歳に、晴れ着を着て神社やお寺に参拝して、その年まで無事成長したことを感謝し、これから将来の幸福と長寿をお祈りする行事。
 もともとは宮中や公家の行事だったが、江戸時代には一般的に広く行われるようになった。
 3歳の髪置き(かみおき)の儀、5歳の袴着(はかまぎ)の儀、7歳の帯解き(おびとき)の儀の儀式が由来となっている。
 11月15日に祝うことになったのは、江戸時代の五代将軍徳川綱吉が、子である徳松の祝いを天和元年11月15日に行ったことからとされている。
 また、旧歴のこの日が二十八宿の鬼宿日(きしゅくにち)にあたり、婚礼以外は何事の祝い事にも吉とされていることに加え、11月は秋の実りを神に感謝する月だったので、その月の満月にあたる15日に、氏神に収穫を感謝すると共に子供の成長の感謝・祈願をしたものと思われる。
 七・五・三はいずれも陽数で、縁起の良い数字とされている。

千歳飴
 江戸時代、七兵衛という浅草の飴売りが、長生きするようにと縁起をかついで「千年飴」と名づけて売ったのが始まりといわれている。

参照
日本の行事・暦:http://koyomigyouji.com/index.html
きもの大辞典:https://www.someoriren.jp/dictionary/index.html
晴れ着の丸昌:https://www.hareginomarusho.co.jp/contents/irotomesode/222/

「着物語り」
コナともこさんが着物の魅力をバンクーバーから発信する連載コラム。毎月四季折々の着物やカナダで楽しむ着こなしなどを紹介します。
2020年8月から連載開始。第1回からのコラムはこちらから

コナともこ
アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
13年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。

年間を通じて季節の行事に加え、お寺での初参り、七五三祝い、十歳祝い、元服祝い、二十歳祝い、結婚式、生前葬、お葬式などの設えと装いのお手伝いもさせていただいております。

*詳しくはコナともこ までお問い合わせ下さい。tands410@gmail.com
東漸寺は非営利団体で、和の学校の収益は東漸寺の活動やお寺の維持の為に使われています。

カナダ人の夫+社会人と大学生の3人娘+老犬1匹(昨年末、虹の向こうへ)がおり、バンクーバー近郊在住。

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