7月の失業率はほぼ横ばいも、景気後退の前兆を示す

 カナダ統計局は8月4日、7月の雇用統計を発表した。7月の雇用者数は6,400人減のほとんど変化なしと報告。ただ、失業率は0.1ポイント悪化の5.5%となり、3カ月連続で上昇した。

 業種別では、建設業(45,000人、2.8%減)、行政(17,000人、1.4%減)、情報・文化・娯楽業(16,000人、1.8%減)、運輸・倉庫業(14,000人、1.3%減)の4業種で雇用者数が減少した。一方で、医療・社会補助(25,000人、0.9%増)、教育サービス(19,000人、1.3%増)、金融・保険・不動産・賃貸・リース(15,000人、1.1%増)、農業(12,000人、4.6%増)の4業種では雇用が増加した。

 地域別では、アルバータ州(12,000人、0.5%増)、ニューブランズウィック州(4,200人、1.1%増)、プリンスエドワード島州(1,500人、1.7%増)で雇用が増加したが、マニトバ州(6,400人、0.9%減)、サスカチュワン州(5,700人、1.0%減)では減少した。その他の州では、ほとんど変化がなかった。

 統計局によると、1月から7月までの月間平均雇用者数は22,000人増加したが、1月から7月にかけての雇用率は0.5ポイント下降しているという。理由については、この期間に、人口の1.4%伸びに対して、雇用は0.7%しか伸びなかったためと説明している。人口が増加した理由はカナダ政府による移民受け入れ増加のためで、移民者の中心的労働年齢層の就職率は昨年同期比で2.3%減少したと報告している。

 失業率は5月の0.2%、6月0.2%に続き、7月も0.1%上昇した。失業率が3カ月連続で上昇したのは、新型コロナウイルス感染拡大初期の数カ月以来とも報告している。

 TDの最新予測によれば、景気は減速を続け、2024年第4四半期の失業率は6.5%まで上昇するという。

 カナダ銀行はインフレ率を抑えるために7月には政策金利を5%に引き上げた。金利引き上げの影響は徐々に国民の生活に影響を与えていくと専門家は予測している。

 カナダ銀行の次の発表は9月。今回の雇用統計がどのように影響するか注目されている。

(記事 編集部)

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