Skytrain in Vancouver, British Columbia; File photo © Japan Canada Today
メトロバンクーバーを走るスカイトレイン。 File photo © Japan Canada Today

 トランスリンクはバスやスカイトレインを利用する乗客にマスクもしくはフェースシールドやバンダナなどの顔を覆う物の着用を義務付けると発表した。

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州メトロバンクーバーを網羅する公共交通機関を運営するトランスリンクは、新型コロナウイルス感染拡大防止策として、これまでマスク着用については推奨するが義務化はしないとの姿勢を示してきた。

 一方で、春には実施していた利用できる座席を限定するフィジカルディスタンス対策はバスとスカイトレインですでに終了している。それでも現在の利用率は通常の約40パーセントという。

 こうした中で利用者のマスク着用義務化を求める署名運動が起こるなど、市民の声が大きくなったことを受けて決定したと説明。さらに9月から新学期が始まることもあり、利用者が増加すると見込まれることでフィジカルディスタンスがますます取りにくくなることも理由にあげた。

 マスク着用義務化実施は8月24日から。トランスリンクCEOケビン・デズモンド氏は当面は罰則などを設けず、トランジット警察とも協力して義務化の必要性を周知するという。ただ必要な時期がくれば、罰則を設け違反切符を切ることも検討していると語った。

 疾患がある人や5歳以下の子どもなどはマスク着用が免除される。

BC州以外の州ではマスク着用義務化が一般化

 BC州で公共施設でのマスク着用が義務化されたのはこれが初めてとなった。

 今回の決定に、BC州衛生管理局長ボニー・ヘンリー博士は6日の記者会見で歓迎する意向を語った。

 しかしヘンリー博士は学校や公共施設でのマスク着用義務化には消極的だ。会見のたびに記者からマスク着用義務化を何度質問されても笑顔で反論。マスクは必要な新型コロナ感染防止策の一つに過ぎないとの姿勢を貫いている。

 一方でBC州以外の州では、早くからマスク着用義務化に動いている。オンタリオ州トロント市では6月に公共施設でのマスク着用義務化を発表した。

 アルバータ州でもカルガリー市のほか、人気観光地バンフでは屋内だけでなく屋外でも一部マスク着用を義務化している。

 学校でのマスク着用は、低学年を除いてオンタリオ州などで発表。アルバータ州でも同様の対策が見られる。

 カナダでは新型コロナウイルス感染状況は、各地で規制緩和が進み、急増こそしないものの7月に入りじわじわと増加し始めている。

 一方でマスク着用義務化に反対するグループは、着用義務化は「自由意志の侵害」と反対運動を続けている。

 新学期再開まであと1カ月。経済活動もますます活発になっていくことが予想される中、マスク着用については今後も議論が起こりそうだ。

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