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「アワ・レディ・ピース」音楽の楽園〜もう一つのカナダ 第40回

はじめに

 日加関係を応援頂いている皆さま、音楽ファンの皆さま、こんにちは。

 10月の声を聞くと一気に秋が深まり既に冬の予兆を感じます。先日、朝起きたら気温は1℃。日課のウォーキングに出かけた訳ですが、近所の公園に通じる遊歩道では前日の雨で出来た水たまりに薄っすら氷が張っていました。紅葉が進み、落ち葉も目立って来ました。空気が澄んで、遠くの景色も輪郭がはっきりと見えます。

 こんな初冬の季節には、自分を元気付けるために、芯の強いロック・ミュージックを聴きたくなります。商業化されたロックではなく、ウッドストックの頃の熱量と創造性を放射するような21世紀のロックです。

 そこで、今月の「音楽の楽園」はアワ・レディ・ピース(Our Lady Peace)です。敬愛を持ってOLPと呼ばれています。1992年にトロントで結成。以来、ヴォーカル兼ギター兼ソングライターのレイン・メイダを核として30年を超えて今も現役です。カナダのオルタナ/グランジ系ロックの象徴的な存在です。現在、「OLP30」と銘打ったコンサート・ツアーを敢行中で、12月にはトロントやバンクーバーでその勇姿が観れます。

名は体を表す

 ロック史を紐解くと、幾つかの偉大なバンドはアルファベット3文字の略称を持っています。ファンにとっては、その3文字が楽団の音楽性を表すだけでなく、歴史をも語りかけるのです。例えば、ELP(Emerson, Lake & Palmer)、ELO(Electric Light Orchestra)、BST(Blood, Sweat & Tears)、BBA(Beck Bogert & Appice)等々です。そんな、ロック烈伝にOLPも列せられています。

 そこで、まず疑問が沸くのはOLPという名前の由来です。Our Lady Peace、訳しようによっては「平和の聖母」です。決してロック・バンドっぽくはありません。しかし、ビートルズもローリング・ストーンズも楽団名には強烈なメッセージが含まれています。「平和の聖母」にもバンドの思いが込められているのです。

 時は、1991年。トロント大学で犯罪学を専攻していたレイン・メイダは、英国出身のギタリストのマイク・ターナーと出会い新しいバンドを結成。「As If」と名乗り、トロント近郊のオシャワを拠点に活動を開始します。やがて、音楽プロデューサーのアーノルド・ラニと出会い、オリジナル曲を軸に活動を本格化させ、音盤制作も視野に入れていきます。必然的に、バンド名をもっと印象深く主張の明確なものに変更しようとなるのです。

 そこで、メンバー間で相談している中で、行き着いたのが詩人・作家マーク・ヴァネ・ドレンの1924年の詩集「Spring Thunder」に収録された詩『Our Lady Peace』です。ドレンは、米国イリノイ州出身で長くコロンビア大学で教鞭を取り1940年にピューリッツァー賞を受賞。アレン・ギンズバーグやジャック・ケルアックらビート世代に影響を与えています。この詩は、人間社会の混乱や戦争、暴力の中に精神的な救済を求める内容で、Our Ladyは聖母マリアの慈愛を暗示し、Peaceは魂の安寧を志向しています。

 文学的かつ哲学的で精神的な内容である上に、その響きの美しさに惹かれて、バンド名に採用したと云います。メイダ自身も「宗教的な意味はなく、混沌とした中にある平和の感覚を表したかった」と語っています。OLPは30年以上に及ぶ活動の中で進化していますが、人間の孤独、精神的苦悩、社会への問いかけが音楽の根底にあり、このバンド名は正に「名は体を表す」を地で行っている訳です。

OLP始動

 音楽に限らず、文学でも映画、絵画、ファッション等の芸術では、時として、デビュー作品に作家の核心が表れるものです。OLPも例外ではありません。

 デビュー盤「ナヴィード(Naveed)」は、ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムというロック・バンドの黄金律が生むシンプルにしてパワフルな直裁な音楽です。1994年3月にリリースされましたが、今聴いても荒削りな中に虚飾を排した原初的ロック・ミュージックの輝きが眩しいです。音盤の表題ナヴィードとはペルシャ語で「良い知らせ」或いは「福音」を意味し、メイダが書いた歌詞には形而上学的な要素が潜み、救済と破滅の間の緊張感、希望と現実の間に引き裂かれる孤独のような二律背反がテーマになっています。哲学的な主題が荒々しいロックのリズムに乗って歌われ、聴く者の胸にダイレクトに迫ります。特に、メイダの声は、一度聴くと耳に残ります。村上龍の最高傑作「コインロッカー・ベイビーズ」の主人公ハシを彷彿させる屹立した声と言うべきでしょうか。U2のボノに近い声質です。

 「ナヴィード」には全11曲が収録されています。これらの楽曲は、1992年にOLPが結成された直後から書き溜め、デモ・テープを作って、独立系のレコード・レーベルに売り込みをかけていたものです。1993年4月に最大手ソニー・ミュージックのカナダ会社と契約。以後、デビュー盤の本格的制作に入ります。リハーサル・スタジオを借り切り、演奏力を鍛えると同時に、楽曲の完成度を高めます。この段階で加入したドラム奏者ジェレミー・タガートは100人を超えるオーディション参加者の中から選ばれた弱冠17歳の神童です。

 デビュー盤の11曲に響く全ての音はOLPの4人のものです(但し、7曲目『Denied』のリードギターだけ例外的に。後にボンジョビのギタリストに就任するフィルXがゲストで弾いた)。バンド・メンバーだけで全て録音するというのは、巨大な産業と化し専門の職業的スタジオ・ミュージシャンが録音するのが普通の音楽業界では稀有なことです。バンドの息づかいや皮膚感覚が1ミリも違うことなく伝えられるのです。

 地元トロント周辺の好事家には知られていても一般には全く無名の新人バンドOLPでしたが、デビュー盤「ナヴィード」はカナダの若者の心を掴みました。グランジ系のロックが商業的な成功に繋がる例は多くないのですが、この音盤からは5曲がシングル・カットされ、1994年に10万枚以上が売れました。カナダのグラミー賞とも言うべきジュノー賞のデザイン部門も受賞しました。この音盤のちょっと変なジャケットが評価されたのです。

 そして、OLPはロック・レジェンドの心も掴むのです。あのレッド・ツェッペリンのロバート・プラントとジミー・ペイジが結成した「ペイジ&プラント」のコンサート・ツアーに同行してオープニング・アクトを務めることになったのです。これは凄いことです。実力が認められたということです。前座と書くと軽く見られがちですが、超大物を目当てに来た聴衆を前に演奏出来るのですから、新人バンドにとっては絶好の機会です。時には、主役を食うほどの盛り上がりを見せたと云います。更に、ヴァン・ヘイレンのツアーにも同行することになりました。英米の最高峰バンドのツアーへの同行は、評判を呼び、「ナヴィード」は米国でも英国でもリリースされることになりました。

 2021年11月の段階で「ナヴィード」はカナダだけで40万枚を売り上げたと公式に確認されています。

次作への挑戦

 OLPは、1992年の結成から2年後にデビュー盤をリリースし、英米の伝説的トップ・バンドのツアーに同行。1995年には、当時人気絶頂のアラニス・モリセットのツアーにも参加しています。瞬く間にカナダ有数のバンドへと成長した訳です。

 そうなると、当然ながら次回作への期待が否が応でも盛り上がります。しかし、事はそう簡単ではありません。人によっては、その期待をプレッシャーと感じることもあるでしょう。演奏ツアーを続けながら、バンドとしての統一感を維持した上で前作を超える質を達成し、時代を先取るのは、言うは易く行うは難しです。でも、OLPは“一発屋”で終わらず、“ちゃんとアルバムを作るバンド”であることを証明したいのです。

 まず、バンドの要ベースがダンカン・クーツに交代します。そして、1996年1月、新アルバム制作の準備のために、オンタリオ州マスコーカにあるクーツの山荘に楽器と録音機材を持ち込んで約1か月間籠ります。全くのトリビアですが、マスコーカは2010年のG8サミットが開催された場所で、私も代表団の一員で参加しましたが、周りに何も無い、大自然の懐に抱かれた地でした。要するに、OLPの4人のメンバーとプロデューサーのラニーは、家族・友人・レコード会社関係者・メディアから完全に隔離された環境に身を置き合宿した訳です。しかも1月の厳冬期です。曲づくりに集中するしかありません。休憩にアイスホッケーで気分転換したそうですが。結果、20曲の新曲が出来上がりました。ほぼ毎日、新曲が出来上がった訳です。

そして、最高傑作

 1996年2月、OLPはトロントのスタジオに参集。マスコーカで出来たばかりの新曲20曲をブラッシュアップして録音します。その中からベスト・テイク11曲が厳選されます。

 そうして第2弾音盤「クラムシー」が1997年1月にリリースされました。カナダのアルバム・チャートでは初登場1位を獲得。米国でもリリースされ、ビルボード誌アルバム・チャートにも入りました。「クラムシー」はカナダと米国でもそれぞれ100万枚ずつ売り上げています。音盤の質を売上枚数で示すのは商業主義的過ぎるかもしれませんが、マスコーカの音楽三昧の合宿生活で生み出された曲は、前作「ナヴィード」を超える佳曲揃いです。今回も完全にメンバー4人のみの録音でしたが、メイダはピアノ・キーボードも弾いて、バンド・サウンドに厚みを加えています。高速のドライブ感もあればスローなバラード調もあります。メイダの声も七変化。曲想の幅が大きく1枚の音盤の中に極上のロック宇宙が拡がっています。OLPの最高傑作にして、北米におけるグランジ系ロックの最良の1枚と言えると思います。

 そんな名盤の生まれた瞬間をメイダが次のように語っています。

 「その時までの曲は全部置いていって、まったくゼロから始めたんだ。MTVもMuchMusicも、メディアもマネージャーもいない。ただ音楽を演奏して、作曲しただけだった・・・朝起きた誰かがアコースティック・ギターを手に取って、自然に曲が生まれていく。また、“音楽を楽しむ”という感覚を取り戻せたんだ・・・何かを楽しみ始めると、もう他人がそれを好きかどうかなんてどうでもよくなる。そうやってプレッシャーが完全に消えたんだ。(エドモントン・ジャーナル紙)」

継続はチカラ

 OLPは、その後もコンスタントに音盤を発表しています。

 2000年の「スピリチュアル・マシーンズ」は、未来学者レイ・カーツワイルの著書に触発された音盤です。近未来にAIが人間の知能を超える特異点が来る可能性を念頭に、改めて人間とは何かを問う傑作。バンドの生音と電子音が共存するサウンドも象徴的です。

 2002年には、創設メンバーのマイク・ターナーが抜けて、バークレー音楽院出身の米国人ギタリストのスティーブ・マズールが加入。OLPは、新たな高みを目指します。グランジ系の荒々しいサウンドからストリングスも大胆に取り入れてより洗練されたサウンドへと進化して行きます。メイダの声もかつての高音域から中音域を主体に深みのある歌唱法へと変化していきます。音盤「グラビティ」には、結成から10年を迎えたOLPの新しい面が見えています。

 2003年には「Live」をリリース。結成以来の幾多の演奏ツアーで鍛えられたライブでの実力を余すことなく見せつけます。全く私事ですが、ノイズ・キャンセリング・ヘッドホンで大音量でこのライブを聴きながらウォーキングをすると自然とチカラが沸いて来ます。ちょっと面倒くさく錯綜する難問も、きっと何とかなるとポジティブに捉えられるのが不思議です。

結語

 最新作は2025年7月に発表された「Whatever(Redux)」です。ここには、結成から33年を経ても、OLPの核にある社会の現実に関する透徹した認識と人間への温かい眼差しがあります。

 この曲は、カナダ出身でWWE所属のプロレス世界ヘビー級王者クリス・ベノワの応援歌として2002年に誕生。ベノワ入場のテーマ曲でした。「Live」にも収録されたヘヴィー・ロックの佳曲です。が、クリス・ベノワは長年のトレーニングと試合で慢性外傷性脳症を患い、2007年に悲劇的最後を迎えました。衝撃的事件でした。

 初出から23年を経て、OLPは、改めて自殺予防とメンタルヘルスへの意識を広げるために、斬新なアレンジで再録音したのです。この曲のストリーミング収益は全て北米各地の自殺防止活動に寄付すると云います。

 私達は、地球温暖化と厳しい地政学と人工知能の時代に生きています。過酷な現実の中、絶望と諦観、救済と希望を示すOLPの音楽が必要だと実感します。

(了)

山野内勘二・在カナダ日本国大使館特命全権大使が届ける、カナダ音楽の連載コラム「音楽の楽園~もう一つのカナダ」は、第1回から以下よりご覧いただけます。

音楽の楽園~もう一つのカナダ

山野内勘二(やまのうち・かんじ)
2022年5月より第31代在カナダ日本国大使館特命全権大使
1984年外務省入省、総理大臣秘書官、在アメリカ合衆国日本国大使館公使、外務省経済局長、在ニューヨーク日本国総領事館総領事・大使などを歴任。1958年4月8日生まれ、長崎県出身

日本のアコースティック・デュオTOW(とう) のカナダ初公演ライブ

日本のアコースティック・デュオTOW(とう)のカナダ初公演となるツアーが、2025 年 11 月に開催されます。歌声、ギター、アコーディオンを融合させたシネマティックなサウンドで知られる TOW は、日本国内のみならず海外でも、幻想的かつ物語性に富んだ音楽で観客を魅了してきました。

今回のカナダツアーは、ブリティッシュ・コロンビア州内 3 つの会場で TOW の没入型パフォーマンスを体験する貴重な機会となります。

  • 11 月 6 日— バンクーバー|R. マクミラン・スペースセンター

プラネタリウムドームの下、 音と映像が 360 度に広がる圧倒的な没入空間で、TOWのシネマティックな音楽をお楽しみいただけます。

この特別公演には、サザンウェーブ沖縄の唄と踊り愛好会の皆さんをお迎えします。伝統と現代アートが交差する舞台をお楽しみ下さい。

  • 11 月 9 日— ミッション|クラーク・シアター

ツアーの最終公演となるミッションでは、ライティングとプロジェクション・デザインにより、幻想的で特別な劇場空間を体験いただけます。

TOW のステージは単なる音楽にとどまらず、ライブ映像やナレーションを取り入れることで、言語や文化を超えた体験を創り出します。さらに、今回の 2025 年ツアーは、Studio Snowblind による新作アクションアドベンチャーゲーム『Glaciered』のサウンドトラック制作と時期を同じくしてお り、彼らの多彩な表現力を改めて示すものとなっています。

チケット情報および詳細は、https://powellstreetfestival.com/tow-canada-tour-2025/、または各会場の公式サイトをご覧ください。

H-Martラングレー店内にダイソーがオープン

DAISOカナダのスタッフが揃って、H-Martラングレー店で。写真提供 H-Mart。
DAISOカナダのスタッフが揃って、H-Martラングレー店で。写真提供 H-Mart。

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバー市を中心に展開しているアジア系スーパーマーケット、H-Martのラングレー店内に日本のダイソーが9月24日にオープンした。

 H-Martラングレー店は、現在メトロバンクーバーでも急速に発展しているバンクーバー市郊外のラングレー市にある。

 今回のオープンについてダイソーカナダは、「この度、ラングレーのH-Mart様の店内にDAISO店舗をオープンさせていただきました。H-Martラングレー店の開店により5店舗体制となります。ラングレー地区は人口の増加が進んでおり、当社としてもぜひ出店をしたいと考えていた地区でございます」とコメント。

 H-Mart店内への出店については、「H-Mart様の高い運営能力と商品力、当社の商品との親和性に期待して出店の相談をさせていただきました。開店にあたり多大なるご協力を賜り、当社の通常の店舗と同水準の品揃えで開店させることができました。同地区の消費者の皆さまに日本品質のDAISO商品を提供できる機会を与えていただいたことに心より感謝しております。また、新しい商品の導入や品揃えの改善などを進めてまいりますので今後ともご愛顧のほどよろしくお願いいたします」と相乗効果を期待した。

 H-Mart担当者は、「H-Martラングレー店内に、5店舗目となるDAISOが9月24日(水)にオープンいたしました。オープン前から大きな注目を集め、当日には多くのお客様にご来店いただきました。ダイソー様の商品は、低価格でありながら品質にもこだわり、一定水準以上の機能性やデザイン性を備えております。これにより、地域のお客様にもご満足いただけるものと確信しております」と語っている。

 H-Martは1982年にアメリカで創業。カナダでの1号店は2002年BC州コッキトラム市。以来、バンクーバー・ダウンタウン店などメトロバンクーバーに8店舗、BC州では9店舗目となるビクトリア店が今年5月22日にオープンした。国内では、アルバータ州に4店舗、オンタリオ州7店舗、ケベック州で3店舗を展開している。

 ダイソーはカナダで初めての直営店を2021年4月1日にバンクーバー市ダウンタウンのグランビルストリートにオープン。当時は新型コロナウイルス禍にもかかわらず、オープン時には長蛇の列ができた。現在は、バンクーバー市ダウンタウン、バーナビー市メトロタウン、サレー市ストロベリーヒル・ショッピングモール、リッチモンド市ランズダウンセンターに展開。ラングレー市H-Martラングレー店内で5店舗目となる。

「キッチン用品や文具などの生活必需品に加えて、各種公式キャラクターグッズも豊富に品揃えしています」というH-Martラングレー店内。写真提供 H-Mart
「キッチン用品や文具などの生活必需品に加えて、各種公式キャラクターグッズも豊富に品揃えしています」というH-Martラングレー店内。写真提供 H-Mart

(記事 三島直美)

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第29回 私活(わたしかつ)=「私を生きる」って、どういうこと? ~Let’s 海外終活~

終活は新しい大人のマナー

叶多範子

気づけば、もう10月。秋の風が心地よく感じられるようになりました。

ふと足を止めて空を見上げると、日差しの角度までやさしく変わっていることに気づきます。そんな季節の変わり目は、自分の心や暮らしを見つめ直すのにもぴったりですね。

さて、先月のコラムでご紹介した「私活(わたしかつ)」について、「もっと詳しく聞きたい!」という嬉しいメッセージをいただきました。今回はその“私活”を、少し深掘りしてお話しします🌸

実は「私活」とは、私の造語なんです。(今、試しに「私活(わたしかつ)」で検索してみたら、出てくるのは全部、私のブログとこの連載ばかりでした)

私が考える終活は「死や終わりの準備」ではなく、“これからを自分がどう生きたいか”に焦点を当てる活動のこと。

先日、あるオンライン対談で、教育の現場で長く活躍されている方が、こんな言葉を口にしました。

 「私は今が一番幸せ!地に足がどーんと着いてる!自分を満たすことが幸せ!!」

その瞬間、心の中で拍手したくなりました。あぁ、これこそ“私活”だなって。「誰かのため」だけに生きるのではなく、ちゃんと“自分の軸”をもって生きている。

私たちはつい、家族のことや人の目を優先して、自分の想いを後回しにしてしまいがちですよね。でも、ふと立ち止まって考えてみてほしいんです。

 ・どんな暮らしをしたい?
 ・自分が本当にしたいことは何?
 ・今、幸せって自信をもって言える?

この問いに素直に答えられたら、きっとそれが“私活”の第一歩。人の期待や常識に流されず、自分の人生のハンドルをしっかり握ること。それが「私を生きる」ということ。

でも現実は、そう簡単じゃないですよね。

仕事、家族、健康、お金、環境、、、、どれも大切。だからこそ、やりたいことを後回しにしたり、今すぐには動けないこともあります。私自身も、「やりたいけど、今は無理かも」と感じる瞬間が何度もあります。

でも最近気づいたんです。「できない理由」を一枚裏返すと、そこには本当の「夢」が隠れている。

たとえば「時間がない」は、「本当はもっと自分の時間を大事にしたい」、「家族が反対する」は、「本当は応援されるくらい自分を信じたい」。実はそんな願いの裏返しだったりするのです。

だから、“私活”は完璧じゃなくていい。

現実と理想のあいだで揺れながらも、「私はどう生きたい?」と自分に問い続けることが、すでに“私を生きる”ことなんだと思います。

終活=私活。

それは「人生の終わり」を整えることではなく、「これからの人生をどうデザインし、どんな未来を描くか」を考えることです。

年齢を重ねても、「私、今が一番幸せ」と言える自分でいたい。そのために、日々の暮らしの中で小さな“私活”を積み重ねていきたい。

今日も、自分の人生を自分らしくデザインしていきましょう!

Let’s 私活!

*ご感想・ご質問は、メールにてお気軽にどうぞ。voice@shukatsu.ca

本コラムは終活に関する一般的な情報提供を目的としています。内容には十分配慮しておりますが、必要に応じてご自身での確認や、専門家へのご相談をおすすめします。なお、本コラムをもとに行動されたことによる不利益については、免責とさせていただきます。

「Let’s海外終活~終活は新しい大人のマナー」の第1回からのコラムはこちらから。

叶多範子(かなだ・のりこ)

グローバルライフデザイナー/海外終活アドバイザー
カナダ・バンクーバー在住。

カナダで親しい友人を突然亡くしたことをきっかけに、終活の大切さを実感。
相続専門の弁護士アシスタントとしての経験をもとに、海外を含むさまざまな場所で暮らす日本人の終活を、学びの視点から支えている。

エンディングノートの活用や家族との対話を通じて、「自分らしくこれからを生きる」ヒントを共有する活動を続けている。

「終活」を、これからの人生を見つめ直す機会ととらえる——そんな“私活(わたしかつ)”という考え方も、大切にしている。

家族は、カナダ人の夫、2人の息子、愛猫1匹。
ホームページ:https://www.shukatsu.ca

「赤毛のアン」の島、州首相が日本への輸出拡大を目指して豊かな食品PR トランプ米大統領復帰で「貿易不透明」の中で

2025年大阪・関西万博のカナダ館の赤くライトアップされた様子(大塚圭一郎撮影)
2025年大阪・関西万博のカナダ館の赤くライトアップされた様子(大塚圭一郎撮影)
2025年大阪・関西万博のカナダ館でのイベントでプリンスエドワード島(PEI)について紹介するロブ・ランツPEI州首相(大塚圭一郎撮影)
2025年大阪・関西万博のカナダ館でのイベントでプリンスエドワード島(PEI)について紹介するロブ・ランツPEI州首相(大塚圭一郎撮影)

 小説「赤毛のアン」の舞台として知られるカナダ東部プリンスエドワード島(PEI)州のロブ・ランツ州首相が来日し、ロブスターやサーモン、かき、ムール貝といった豊かな食品を紹介するイベントが2025年大阪・関西万博(大阪市)のカナダパビリオン(カナダ館)で9月20日、開かれた。最大輸出国となっているアメリカ(米国)のドナルド・トランプ大統領が輸入品への関税を引き上げるなど「アメリカとの貿易が不透明になっている」(ランツ氏)という中で、日本を含めた世界への輸出を拡大するのが狙いだ。

▽「タリフマン」が脅威に

 カナダは2024年のモノ(商品)輸出のうち約76%に当たる5474億カナダドル(1カナダドル=105円で57兆4770億円)を米国が占めている。私が2020~24年に駐在していた米ワシントン首都圏では、PEI産の新鮮なカキが「安心して食べられるブランド」として認知されて販売されていた。

 輸出の追い風になっているのは、カナダと米国、メキシコが結んでいる自由貿易協定(FTA)の「アメリカ・メキシコ・カナダ協定」(USMCA)で、魚介類や農産物の多くの品目について互いに輸入関税の適用を免除している。

 しかし、「タリフマン(関税男)」を自称するトランプ氏は、USMCAの大幅な見直しを迫っている。発効6年後となる2026年7月1日までに実施する共同見直しが迫る中で、カナダのムール貝漁獲量のうち約8割を占め、ジャガイモ生産量のうち約2割を賄うなど食品生産が活発なPEI州は懸念を強めている。

▽カナダ館政府代表「『カナダの食の島』という名にふさわしい」

 カナダ館のローリー・ピーターズ政府代表は「小説『赤毛のアン』の舞台であるPEIは赤い砂浜と肥よくな農地から世界的に有名なロブスター、ムール貝、ジャガイモに至るまでが送り出されているプリンスエドワード島は『カナダの食の島』という名にふさわしい存在だ」と紹介。

2025年大阪・関西万博カナダ館のローリー・ピーターズ政府代表(大塚圭一郎撮影)
2025年大阪・関西万博カナダ館のローリー・ピーターズ政府代表(大塚圭一郎撮影)

 PEI州のランツ州首相は「PEIの魚介類や農産品の高い品質の背景には漁師や農家のまごころ、何世代にもわたって海と大地で働いてきた家族の誇り、そして安全で持続可能、信頼される食料を生産するという確固たる決意がある」と強調した。

ロブスターロールを作るところを実演するシェフのアダム・ルー氏(大塚圭一郎撮影)
ロブスターロールを作るところを実演するシェフのアダム・ルー氏(大塚圭一郎撮影)

 イベントでは、バンズにロブスターの身を挟んだ「ロブスターロール」や生ガキ、蒸したムール貝の料理、揚げたジャガイモに載せたスモークサーモン、バターと香草で味を添えたズワイガニの料理、牛肉のバラ肉を焼いたステーキなどが出席者に振る舞われた。

 PEIのレストランで腕を振るうシェフのアダム・ルー氏は、持続可能な漁業をしていることを証明する国際認証制度「海洋管理協議会」(MSC)の認証を受けたロブスターを使ったロブスターロールを作る様子を実演した。

 また、PEIの州都シャーロットタウンにある「赤毛のアン」を題材にしたチョコレート店「アン・オブ・グリーンゲイブルズ・チョコレート」や、PEIにあるブルーベリー農園などの経営者らも会場で自社商品を売り込んだ。

【プリンスエドワード島】北大西洋に面したセントローレンス湾に浮かぶ島で、2025年4月1日時点の人口は18万29人。島を所管するプリンスエドワード島州はカナダの州としては最小で、州都はシャーロットタウン。赤い砂浜と灯台、瑠璃色の海で知られる保養地となっており、日本でもルーシー・モード・モンゴメリの小説『赤毛のアン』の舞台として広く知られている。

 カナダ連邦が誕生した1867年7月の約3年前、国家樹立について協議した最初の建国会議の舞台はシャーロットタウンだった。このためカナダ本土のニューブランズウィック州との間に1997年に架けられた橋は、連邦結成を意味する「コンフェデレーション橋」(全長12・9キロ)と名付けられた。橋は高速道路の一部となっており、片側1車線、計2車線の道路を通って自動車で直行できる。

バターと香草で味を添えたズワイガニの料理(大塚圭一郎撮影)
バターと香草で味を添えたズワイガニの料理(大塚圭一郎撮影)
2025年大阪・関西万博のカナダ館の赤くライトアップされた様子(大塚圭一郎撮影)
2025年大阪・関西万博のカナダ館の赤くライトアップされた様子(大塚圭一郎撮影)

(共同通信社経済部次長・日加トゥデイ連載コラム「カナダ“乗り鉄”の旅」執筆者・大塚 圭一郎)

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美しく、壊れて—福丸直子による金継ぎ

2025年10月14日〜2026年2月21日

オープニングレセプション&アーティスト・トーク
2025年10月11日(土)午後2時〜5時

金継ぎは、割れた陶磁器を漆と金粉で修復する500年の歴史を持つ伝統的な技法である。その修復跡を隠すのではなく、新しい景色にすることで、不完全さや時間の流れを美として称える。

バンクーバーを拠点に活動するアーティスト、福丸直子は金継ぎ技法を、単なる技術としてだけでなく、瞑想的なプロセスとしても捉えている。彼女の作品は、心の癒しに対する力強いメタファーを提示している。それは、割れた陶器と同じように、私たち自身の傷もまた、変容し、輝き、美しいものへと生まれ変わる、私たちの物語の一部となり得るということである。

福丸は、伝統的な素材と技法を尊重しながらも、本能的かつ革新的な技法によって、金継ぎの可能性を広げている。彼女のアプローチは、歴史と感情を結びつけ、ありのままでありながらも輝きを放つ作品を通じて、「修復」という行為の新たな意味を再定義する。

本展は、観る者に「美しく、壊れている」とはどういうことか、そして不完全さの中に強さと美しさを見出すことについて、深く考えるきっかけを与えてくれるであろう。

場所: 日系文化センター・博物館 (6688 Southoaks Cres. Burnaby.  Kingsway x Sperling) エドモンズ・スカイトレイン駅から徒歩またはバス (#119) でお越しいただけます。

七五三祝い@東漸寺2025 のお知らせ

七五三とは、三歳・五歳・七歳という成長の節目に、無事に成長できたことへの感謝と、これからの幸福・健康・長寿を祈る、日本の伝統的な行事です。
お寺でも七五三のお祝いができることをご存じでしょうか?

和の学校@東漸寺では、以下のサービスを随時承っております(いずれも有料・予約制です):

    お参り
  着物レンタル
    着付けサービス
    記念写真撮影

詳細・料金につきましては、ホームページ「お寺で七五三お祝いプラン」をご覧ください。

https://wanogakkou.jimdofree.com

※お席に限りがございますので、お早めのお申し込みをおすすめいたします。

どうぞお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ先:コナともこ(tands410@gmail.com)

<合同法要のお知らせ>

※日時などが変更となる場合がございます。事前にご確認いただけますと幸いです。

    日時:2025年11月16日(日曜日) 午前11時
    会場:東漸寺(Tozenji)本堂
    住所:209 Jackson St. Coquitlam, BC

<参加費およびお祝いサービス>

    合同法要へのご参加:$10〜(ドネーション)
    法要内でのお名前の読み上げをご希望の方:$30〜(ドネーション)
    着物レンタル・着付けサービス:$180〜
    記念写真撮影サービス:$250〜(カメラマンにより異なります。詳細はホームページをご確認ください)

※事前にお申し込みいただいた方、または着物レンタルをご利用の方へ:先着10名様に千歳飴をプレゼント!

どうぞよろしくお願いいたします。

コナともこ

和の学校@東漸寺

「カナダ“乗り鉄”の旅」第29回 大陸横断列車の至福体験にも、隣の芝生は青く見える一角!驚愕の「VIPコーナー」とは シリーズ「カナディアン」【3】

カナダ西部アルバータ州エドモントン駅に停車中のVIA鉄道カナダの列車「カナディアン」(大塚圭一郎撮影)
カナダ西部アルバータ州エドモントン駅に停車中のVIA鉄道カナダの列車「カナディアン」(大塚圭一郎撮影)

大塚圭一郎

 カナダ西部の主要都市バンクーバーを出発し、同国最大都市トロントへ4泊5日で向かうVIA鉄道カナダの夜行列車「カナディアン」は、アメリカの有力旅行雑誌「コンデナスト・トラベラー」の読者が選ぶ「世界の優れた鉄道旅行ランキング」で2024年に13位となったように世界屈指の人気列車だ。線路上の至福体験が待ち受けていることは、優れた鉄道旅行を表彰する「鉄旅オブザイヤー」の審査員であり、VIA鉄道の愛好家団体「VIAクラブ日本支部」の会員でもある私が太鼓判を押す。それでも編成の最後尾と後ろから2両目にひそかに存在する「VIPコーナー」に一瞬でも足を踏み入れると、隣の芝生は青く見える―。

▽最上級クラス、料金はエコノミークラスの13倍超!

 1954年デビューと「古希」を過ぎたステンレス製客車が連なるカナディアンにあって、原形をとどめないほどの変貌を遂げた「VIPコーナー」が存在する。それは2階部分がガラス張りのドーム状になっており、1階後方のソファからは流れゆく車窓も楽しめる展望車「パークカー」と、後ろから2両目の客車に計8室ある最上級クラス「プレスティージ寝台車クラス」だ。

VIA鉄道カナダの列車「カナディアン」の最上級クラス「プレスティージ寝台車クラス」の客室(VIA鉄道カナダ提供)
VIA鉄道カナダの列車「カナディアン」の最上級クラス「プレスティージ寝台車クラス」の客室(VIA鉄道カナダ提供)

 慢性的な赤字経営に陥っているVIA鉄道が高収益の顧客獲得を目指し、2015年に導入した。2人用の客室は広さが約6・5平方メートルと、私たちの家族が利用した通常の寝台車「寝台車プラスクラス」の2人用個室より約50%広い。日中は「L」の字になった長いすに腰掛け、他の客車より大きな窓からの眺望を楽しんだり、備え付けの大型テレビで好きな番組を視聴したりできる。

 利用者の要望を受け付けるコンシェルジュが乗務しており、夜になると壁から大きなダブルベッドを引き出す。各室にはトイレとシャワーも備えている。パークカーにはカクテルなどのアルコール類を楽しめるバーカウンターを設けた「ミューラルラウンジ」があり、プレスティージ寝台車クラスの利用者はミューラルラウンジと食堂車でアルコール類を無料で楽しめる。

VIA鉄道カナダの列車「カナディアン」のパークカーにある「ミューラルラウンジ」(大塚圭一郎撮影)
VIA鉄道カナダの列車「カナディアン」のパークカーにある「ミューラルラウンジ」(大塚圭一郎撮影)

 車両間にある仕切り扉もボタンを押せば自動で開閉し、手動で押して開けなければならない他の客車と差異化している。

 プレスティージ寝台車クラスにトロント―バンクーバーの全区間に乗った場合の2025年の繁忙期(5月1日~11月15日)の正規料金は、1人当たり6965カナダドル(1カナダドル=107円で約74万5千円)からという大枚をはたくことになる。

 寝台車プラスクラスの2人用個室利用は1人当たり3029カナダドル(同約32万4千円)からと値段が張るものの、プレスティージ寝台車クラスは2倍超だ。一方、背もたれが倒れる座席の「エコノミークラス」は1人の料金が514カナダドル(同約5万5千円)からで、同じ列車でもプレスティージ寝台車クラスの乗客は実に13倍超を支払っていることになる。

外から見たVIA鉄道カナダの列車「カナディアン」の「プレスティージ寝台車クラス」の客室(大塚圭一郎撮影)
外から見たVIA鉄道カナダの列車「カナディアン」の「プレスティージ寝台車クラス」の客室(大塚圭一郎撮影)

 このようにプレスティージ寝台車クラスの料金は断トツで高額なだけに、雲の上の体験を堪能してもらおうとさまざまな“特権”が用意されている。繁忙期にパークカーへいつでも自由に立ち入れるのはプレスティージ寝台車クラスの利用者だけで、寝台車プラスクラスの乗客は原則として午後7時~10時半の夜間しか入れない。

 これは車窓が真っ暗になるためパークカーで車窓を眺める乗客が減ることと、寝台車プラスクラスの乗客にミューラルラウンジでアルコール類を買ってもらいたいとの思惑があるからだ。

 私は「乗り鉄」なのはもちろん、鉄道関連の写真撮影をする「撮り鉄」、列車の走行音や車内放送を録音する「録り鉄」も兼ねているが、列車に乗ると必ず杯を傾ける「のみ鉄」というわけではない。ミューラルラウンジのアルコール類は結構な高額のため、2024年8月にバンクーバーからウィニペグまで乗車した際にパークカーに足を運ぶ機会は限られた。

VIA鉄道カナダの列車「カナディアン」のパークカーの最後尾に並べられたソファ(大塚圭一郎撮影)
VIA鉄道カナダの列車「カナディアン」のパークカーの最後尾に並べられたソファ(大塚圭一郎撮影)

 そこで今回は、閑散期の2023年12月にトロントからバンクーバーまで息子と2人で寝台車プラスクラスに乗車し、全線走破した際にパークカーで出会ったプレスティージ寝台車クラス利用者らの実像を紹介する。私にとっては、プレスティージ寝台車クラスが高嶺の花であることを実感するのに十分過ぎる体験だった…。

▽学会に合わせて北米を周遊する医師夫妻

 息子と一緒にパークカーのミューラルラウンジの座席に腰掛け、「アルコール類ではないため」無料で提供されているコーヒーをすすっていると優雅な雰囲気の女性がやってきた。目が合ったのであいさつし、会話をした。

 この女性はオーストラリア・クイーンズランド州の州都ブリスベンに住んでおり、医師の夫が学会に出席したのに合わせてカナダのモントリオールやトロント、バンクーバー、アメリカのシカゴ、サンフランシスコといった北米各地を周遊する旅行の最中だという。

 女性は「うちの夫は日本語も話せるのよ。日本のアニメや映画などのコンテンツに興味があり、個人レッスンで日本語を習得したの」と言い、個人レッスンの授業料は「とても高額だったのよ」と打ち明けた。

 かつて夫妻で訪日して「長野や新潟、札幌などに行った」とも話し、いずれも国立大学法人の有力医学部があるので学会で訪れたと私は推察した。

 すると、食堂車での夕食に向かうために女性を迎えに来た夫が現れた。夫は私たち親子を見るなり、「初めまして」と流ちょうな日本語で語りかけてきた。

 大枚をはたいて乗り込んでいるプレスティージ寝台車クラスの利用客は“破格の扱い”を受けられるものの、食堂車での夕食のメニューは寝台車プラスクラスの乗客と変わらない。異なるのはアルコール類が無料か、そうではないかという点だけだ。

 もっとも、「のみ鉄」の皆様は「タダ酒が振る舞われるかどうか、それが大きな問題だ」と声を張り上げるかもしれない。

▽バンクーバー島とウィスラーを両立する“魔法の杖”とは

 私たち親子はもっと後の時間帯に夕食を予約していたため、夫妻を見送った。次に現れたのはインド系とおぼしき男性で、バーカウンターで女性乗務員に「ジンを頼む」と注文した。

 続けて、これからが本題だと言わんばかりに「バンクーバーに着いた後に2日間でバンクーバー島やウィスラーなどを巡りたいんだ」と切り出した。

 そう、バーカウンターの向こうに立っている乗務員はバーテンダーの他にも「別の顔」も持つ。プレスティージ寝台車クラスの利用客の相談に乗るコンシェルジュの役割も担っているのだ。

 乗務員は「バンクーバー島を移動するには時間がかかり、ウィスラーはバンクーバー島から離れています」と解説し、どちらかに絞った方がいいことを暗に示唆した。

 立地するブリティッシュ・コロンビア州の皆様には釈迦(しゃか)に説法で恐縮だが、同じ「バンクーバー」の名前が付いていてもバンクーバー島は、北米大陸にあるバンクーバーから隔てられた西側にある島だ。バンクーバーから訪れるには船舶や水上飛行機、旅客機に乗る必要があり、世界で43番目に大きい島のため周遊するには時間を要する。

 一方、スキー場や宿泊施設が立ち並ぶ保養地のウィスラーはバンクーバーの北にあり、バンクーバー島とは方角が異なる。バンクーバーからバスで約2時間かかるため、往復して滞在を満喫するには少なくとも半日は必要だ。

 男性は、それらを両立させるために富裕層ゆえの“魔法の杖”を持っていた。「そこで、プライベートツアーを手配してもらえないだろうか」と要請したのだ。「バンクーバーでの短い時間を無駄にはできないのでね」とも付け加え、「TIME IS MONEY(時は金なり)」と顔に書かれている。

 乗務員は会得した様子で、手元の電子機器端末の操作を始めた。男性がジンのグラスを片手にくつろいでいると、「予約が取れました」という乗務員の声が響いた。

 プライベートツアーの手配を終えた男性の表情が、対照的な境遇の私には“ドヤ顔”に見えて仕方がなかった。男性の客室がプレスティージ寝台車クラスなのに対して私は寝台車プラスクラス、飲んでいるのはジンに対してコーヒー、そしてバンクーバー到着後の移動手段はプライベートツアーに対して鉄道やバスの公共交通機関なのだから…。

▽選んだ「理由があるんだ」という男性

 パークカーの2階には車窓を360度見渡すことができる展望用座席があり、ドーム形になった天井の付近まで窓が延びている。通路を挟んで左右二つずつの座席が6列、計24席あり、うち最前列の4席の上部には「プレスティージ客専用」と記した札が差し込まれていた。

VIA鉄道カナダの列車「カナディアン」のパークカーの2階にある展望用座席(大塚圭一郎撮影)
VIA鉄道カナダの列車「カナディアン」のパークカーの2階にある展望用座席(大塚圭一郎撮影)

 息子とともに2列目に座ると、1人の男性が札の差し込まれた最前列の座席に陣取った。男性はこちらを振り返り、笑みを浮かべながら「日本にはこんなにゆっくりではない、高速で走る新幹線があるよな。最高時速は何キロ出るんだっけ?」と尋ねてきた。息子と日本語で話していたので、日本人だと気づいたらしい。

 「最も速い東北新幹線の最高時速は320キロですね。最初に開業した新幹線の東海道新幹線の最高時速は285キロです」と答えると、男性は「僕も日本を訪れた時には東京から京都まで東海道新幹線に乗ったんだ。日本では鉄道で旅行をしたのに、自分の国で鉄道旅行をするのはこれが初めてなんだよ」と打ち明けた。

 当時71歳だった男性は西部アルバータ州カルガリーに住み、エレベーター大手フジテックのカナダ法人の元社員。「滋賀県の本社に呼んでもらった時に東海道新幹線に乗ったんだよ」と振り返り、バンクーバー国際空港とカルガリー国際空港のエレベーターやエスカレーター、動く歩道も「フジテック製が採用されているんだ」と教えてくれた。

 男性はカナダで初めての鉄道旅行をしたのも、最上級のプレスティージ寝台車クラスを選んだのも「理由があるんだ」と打ち明けた。妻が東部モントリオールで脚の手術を受けて自宅に戻る帰路だったため、リハビリを兼ねて適度に歩くことができ、快適に過ごせる移動空間を選んだというのだ。

 「料金は高かったけれども、妻が適度な運動ができて居住性が優れた客室を良いと考えたんだ」という男性の気遣いに私も大いに納得し、首を縦に振った。

 「それにこの列車に(アルバータ州)エドモントンまで乗り、帰宅すればクリスマスまでにカルガリーに着ける。だから、今年も家族が集まって一緒に過ごすことができるんだ」。そう言って目を細める男性の表情は、VIP待遇を超越した幸福感と期待感に満ちあふれていた。

VIA鉄道カナダの列車「カナディアン」のパークカーの最後尾にあるソファに座る筆者
VIA鉄道カナダの列車「カナディアン」のパークカーの最後尾にあるソファに座る筆者

【プレスティージ寝台車クラス】VIA鉄道カナダが夜行列車「カナディアン」だけに連結している最上級の2人用個室で、旅客機のファーストクラスに相当する。客室の広さは約6・5平方メートルあり、トイレとシャワーも備えている。日中は「L」字型になった長いすに腰掛けて広い窓からの景色や、大型テレビでの番組視聴を楽しめる。夜は壁からダブルベッドが出てくる。利用者の要望を受け付けるコンシェルジュがおり、展望車「パークカー」のバーカウンターや食堂車ではアルコール類も無料で注文できる。

共同通信社元ワシントン支局次長で「VIAクラブ日本支部」会員の大塚圭一郎氏が贈る、カナダにまつわる鉄道の魅力を紹介するコラム「カナダ “乗り鉄” の旅」。第1回からすべてのコラムは以下よりご覧いただけます。
カナダ “乗り鉄” の旅

大塚圭一郎(おおつか・けいいちろう)
共同通信社経済部次長・「VIAクラブ日本支部」会員

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学外国語学部フランス語学科を卒業し、社団法人(現一般社団法人)共同通信社に入社。2013~16年にニューヨーク支局特派員、20~24年にワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。24年9月から現職。国内外の運輸・旅行・観光分野や国際経済などの記事を多く執筆しており、VIA鉄道カナダの公式愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員として鉄道も積極的に利用しながらカナダ10州を全て訪れた。

 優れた鉄道旅行を選ぶ賞「鉄旅(てつたび)オブザイヤー」(http://www.tetsutabi-award.net/)の審査員を2013年度から務めている。共同通信と全国の新聞でつくるニュースサイト「47NEWS(よんななニュース)」や「Yahoo!ニュース」などに掲載されている連載『鉄道なにコレ!?』と鉄道コラム「汐留鉄道倶楽部」(https://www.47news.jp/column/railroad_club)を執筆し、「共同通信ポッドキャスト」(https://digital.kyodonews.jp/kyodopodcast/railway.html)に出演。
 本コラム「カナダ“乗り鉄”の旅」や、旅行サイト「Risvel(リスヴェル)」のコラム「“鉄分”サプリの旅」(https://www.risvel.com/column_list.php?cnid=22)も連載中。
 共著書に『わたしの居場所』(現代人文社)、『平成をあるく』(柘植書房新社)などがある。東京外大の同窓会、一般社団法人東京外語会(https://www.gaigokai.or.jp/)の広報委員で元理事。

10月9日、Vancouver Sake Fest ’25開催!〜100種類以上の日本酒と出会えるイベント〜

日本酒ファン必見!「Vancouver Sake Fest ’25」が、今年もバンクーバーにやってきます。日本酒・焼酎をはじめとする日本のお酒が勢ぞろい!

記念すべき第5回目となる今回は、昨年300名以上を魅了した盛り上がりを超える特別な一夜になること間違いなし。

普段はなかなか出会えない銘酒や限定酒を、食品スポンサー様ご提供の和牛やお刺身、ホテルシェフ特製の前菜とともに心ゆくまで味わえる特別な一夜。日本酒好きの方はもちろん、これから日本酒に触れてみたい方にもぴったりの機会です。

開催概要

<日時>2025年10月9日(木)18:00〜21:00(PDT)
<会場>Coast Coal Harbour Vancouver Hotel by APA(1180 West Hastings Street, Vancouver, BC V6E 4R5)

☆チケット購入はこちら:Eventbriteチケットページ

イベントの内容

*写真は昨年の酒フェスのもの

[100種類以上の日本酒・焼酎・梅酒・ビールをテイスティング!]
バンクーバーで大人気のお酒や、新商品など、100種類以上の日本酒、焼酎、梅酒、ビールなどを一堂に楽しめます。酒蔵の伝統と革新に触れながら、テイスティングを通して奥深い味わいと多様性を体験してください。

いろんな酒蔵の日本酒を飲み比べながら、それぞれの味わいや特徴を気軽に体験できます。会場では日本酒に詳しい人たちから、ちょっとした豆知識や、おすすめの飲み方も聞けます。

*写真は昨年の酒フェスのもの

[豪華な食事とペアリング]

今年は、スポンサー様からのご厚意で、和牛やお刺身も一緒にお楽しみいただけます!

日本酒に合うシェフ特製のおつまみもご用意。グラスを片手に、ぜひ自分だけのとっておきのペアリングを見つけてみてください。

チケット情報

Kanpai Pass(10杯分のドリンク+前菜やスナック付)$95
※19歳以上のみ入場可(ID必須)

大人気イベントのためお早めの購入をおすすめします!

下記よりチケット購入サイトにお進みください。

チケット購入はこちら:Eventbriteチケットページ

<日加トゥデイ読者の皆様に特別なオファー>

1.    Instagramで @sake_association_bc をフォロー&いいね
2.    DMで「SakeFest25」と送信
3.    割引チケット用プロモコードをゲットできます!

この秋、バンクーバーで最高の日本酒体験を。
ご友人や同僚を誘って、美味しいお酒と食事を楽しみにVancouver Sake Fest ’25に参加しましょう!当日会場でお会いできるのを楽しみにしています!

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アクシスプランニングのお酒を一部紹介!

今回紹介するすべての銘柄は10月9日にある酒フェスで飲むことができます!

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酒造名:人気酒造(福島県)
商品名:Rice Magic スパークリング RED

50%精米の酒造好適米人気酒造:REDと古代米「朝紫(あさむらさき)」を使用したスパークリング日本酒。グラスに注ぐときめ細やかでクリーミーな泡が立ち上がり、視覚的な美しさを演出します。さらに、繊細な発泡音が心地よく響き、五感で楽しめる特別な一本です。

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酒造名:油長酒造(奈良県)
商品名:風の森 山田錦807

山田錦を80%精米で仕込み、超低温でじっくりと時間をかけて発酵させることで、その持ち味を余すことなく引き出しました。低精白ならではの力強く厚みのある味わいに、個性的な酸が加わり、絶妙な調和を生み出しています。

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酒造名:出羽桜酒造(山形県)
商品名:桜花吟醸酒

この吟醸酒は、大吟醸クラスまで磨き上げた米を使用しています。なめらかで華やかな吟醸香と果実味が、多くの人を日本酒ファンへと惹き込んできました。花のような香り、桃のニュアンス、清らかな湧き水を思わせる澄んだ味わいが見事に調和し、口中では丸みのある上品な余韻が広がります。

IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2015年・2016年 ゴールドメダル受賞。

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酒造名:齊藤酒造(京都府)
商品名:英勲 純米大吟醸 水天一碧

最高級の酒米「山田錦」を原料に、40%まで丁寧に磨き上げて仕込みました。仕込水には、日本でも屈指の名水「白菊水」を使用。水天一碧は、繊細で上品な香りと、驚くほどなめらかで澄んだ味わいをお楽しみいただけます。

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酒造名:今代司酒造(新潟県)
商品名:IMA 牡蠣のための日本酒

近年注目を集めている「日本酒と牡蠣のペアリング」。本品は、その相性を最大限に引き出すために特別に仕込まれた純米酒です。

うま味の主成分であるアミノ酸を豊富に含む日本酒と牡蠣は、科学的にも理想的な組み合わせ。やさしい甘みとほどよい酸味、そして爽やかな後味が特長で、牡蠣はもちろん、さまざまな魚介料理との相性も抜群です。

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酒造名:チョーヤ梅酒(大阪府)
商品名:本格梅酒ソーダ

国産の梅を100%使用した人気の梅ソーダです。香料や着色料は一切不使用。梅の爽やかな香りと心地よい炭酸が、暑い夏の日のリフレッシュやお風呂上がりの一杯にぴったりです。ぜひお楽しみください。

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酒造名:霧島酒造(宮崎県)
商品名:黒霧島焼酎

南九州産の黄金千貫を原料に、霧島裂罅水という清冽な地下水で仕込んだ本格焼酎です。黒麹仕込みならではの豊かな甘みと、キレのある後味が特長で、深みと爽快感をあわせ持つ味わいをお楽しみいただけます。

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酒造名:北川本家(京都府)
商品名:本格米焼酎 はんなりGOLD

長年の清酒造りの技を活かして仕込まれた本格焼酎です。通常の焼酎では白麹や黒麹を用いるのが一般的ですが、本品は清酒と同じ黄麹を使用し、丁寧に醸すことで米の旨みを最大限に引き出しました。タンクと木樽でじっくりと熟成させることで、やわらかな風味を実現しています。

「はんなり30 ゴールド」は、3年以上樽で熟成させた本格焼酎のみをブレンドした逸品。奥行きのある味わいと、まろやかな余韻をお楽しみいただけます。

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酒造名:薩摩酒造(鹿児島県)
商品名: 神の河

二条大麦を100%使用し、単式蒸留で仕込んだ原酒をホワイトオーク樽で3年以上熟成させた琥珀色の麦焼酎です。長期熟成による豊かな香りと、まろやかで深みのある味わいが特長です。

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今回は一部の銘柄のみ紹介しましたが、イベント当日は上記銘柄を含む100酒類以上のお酒を楽しむことができます!

酒フェスについて

<日時>2025年10月9日(木)18:00〜21:00(PDT)
<会場>Coast Coal Harbour Vancouver Hotel by APA

1180 West Hastings Street, Vancouver, BC V6E 4R5

☆チケット購入はこちら:Eventbriteチケットページ
(リンク:https://www.eventbrite.ca/e/vancouver-sake-fest-25-tickets-1553364227219?aff=oddtdtcreator

アクシスプランニングのお酒をもっと知れるウェブサイト
SAKE MAGAZINE はこちら(リンク:https://sake.axisplan.com/sake-list/

モントリオールとその近郊の秋のイベント情報

モントリオール市役所前。2025年4月4日、モントリオール市。撮影 日加トゥデイ
モントリオール市役所前。2025年4月4日、モントリオール市。撮影 日加トゥデイ

令和7年度外務大臣表彰
8月28日外務省は令和7年度の外務大臣表彰者を発表しました。モントリオール関連の受賞者は長年、翻訳などで活躍されている角田実氏と、毎夏、植物園日本館での呈茶、オタクソン、お花見で呈茶をされている茶道裏千家淡交会モントリオール協会です。おめでとうございます。

・角田 実氏: ケベック・日本・ビジネス・フォーラム・名誉理事 カナダ国ケベック州モントリオール市、日本とカナダとの経済関係の促進
・茶道裏千家淡交会モントリオール協会: カナダ国ケベック州カークランド市、カナダにおける茶道の普及

日系カナダ人生存者健康福祉(JCSHWF)
2025年6月厳格な受給資格の条件に基づき、助成金1及び2の配布を終了。残りの資金で助成金3の配布が可能になりました。
緊急サポート:電話250-797-6300
トールフリー番号(北米)1-833-36 8-6462
メールアドレス:help@jcwellness.org

モントリオール近辺での日本人、日系カナダ人関連の催し物など、フェスティバル

モントリオール植物園 Montreal Botanical Garden, 4101 Sherbrooke E. https://espacepourlavie.ca/en/botanical-garden

日本庭園日本館:514-872-0607、9:00-17:00 https://espacepourlavie.ca/en/japanese-garden(植物園内では中国庭園、先住民庭園での特別展示も行われています。)
・日本館展示「HIROSHIMA, Passing theTorch: a powerful exhibition」10月31日まで。

GARDENS OF LIGHT:11月2日まで。 園内をさまざまな照明で飾る夜の催し。日曜₋木曜18:00-21:00、金曜₋土曜18:00-22:00。オンラインでチケットが買えます。大人$23.75、65歳以上のシニア$21.50、学生(証明書提示)$17.50、子ども(5~17歳)$12.25 https://comm-espacepourlavie.ca/experiences/jardins-de-lumiere/?Codelang=En

IKEBANA INTERNATIONAL MONTREAL CHAPTER: 秋のダリアを使った三流派(古流松藤会(Cam Le Ly)、小原流(Lynne Williams)、草月流(Leslie Dolin)によるデモンストレーション。9月26日(金)13:00、Monkland Community Centre, 4410 Ave. West Hill、 Montreal、会費:$20。連絡先:田中和子 kazuko.dorangeville@gmail.com

RIVES-YUKI ISAMI:五老海幸(フルート)コンサート
1)9月22日(月)20:00、Centre des loisirs de Saint-Laurent 1375, rue Grenet, Montreal https://montreal.ca/evenements/rives-yuki-isami-98407
2)10月12日(日)15 :00、Maison de la culture de Cote-des-Neiges 5290, chemin de la Cote-des-Neiges, Montreal https://montreal.ca/evenements/rives-yuki-isami-91945
3)11月29日(土)19 :30、Maison de la culture du Plateau-Mont-Royal 465, avenue du Mont-Royal Est, Montreal https://montreal.ca/evenements/rives-yuki-isami-89596
4)2026年2月5日(木)19 :30、Maison de la culture Maisonneuve 4200, rue Ontario Est, Montreal https://montreal.ca/evenements/rives-yuki-isami-90554

NEXT MUSIC FROM TOKYO vol.17:日本のインディーズバンドのライブ。9月22日(月)20:00、Petit Campus, 57b Rue Prince-arthur E., Montreal www.nextmusicfromtokyo.com/

その他の催し

モントリオール日系文化会館、8155, rue Rousselot, Montreal, H2E 1Z7
地下鉄:Jarry下車、バス197 E.
電話:514-728-1996、514-728-5580
www.jcccm-cccjm.ca/?language=en
www.facebook.com/jcccmcccjm/ 
(jcccm_yh@bellnet.ca)

(日系文化会館のニュースの引用についてはスーザン・レベックの了解を得ています。)

図書館
開館時間:日曜日・水曜日13:00 – 16:00 、木曜日10:30 -14:30、一度に借りられる冊数が10冊に。会館入口に売本コーナー(1冊$1、現金のみ)。

KAIWA⁻ランゲージエクスチェンジ>
毎月の第2、第4日曜日(祝日のある週末以外)、13:30‐15:30。要会員登録 www.jcccm-cccjm.ca/?language=en

シニア・ドロップイン
月に2回開催。要予約、ランチ代$10、参加予約必須。予約は開催3日前までに。
9月25日(木)10:30-14:00
申込先:<reiko_leojp@yahoo.co.jp>、または514-728-1996まで。
登かなえ指導「歌おう会」会費:会員$5、一般$8、保護者同伴12歳以下は無料)

チームオレンジ
9月17日(水)11:00‐14:00、参加予約必須。連絡先:mnishi_jamsnetcanada@gmeil.com

和菓子作りボランティア募集
上記のドロップインカフェでのボランティアに参加できる方、月に1~2度の予定。 連絡先:jcccm_yh@bellnet.ca

遠藤さんの手作り納豆・味噌・大豆の販売
(会員限定):納豆(200g $4)、手作り味噌($6)、小粒大豆($8/2kg)、現金支払い、詳細:514-728-1996

子どもクラブ
仮日程、9月26日(金)、各自弁当持参、参加費$1、問合せ:kodomoclub.montreal@gmail.com

日系文化会館会員への会員優待プログラム:当館会員限定の割引サービスを提供してくださっている日系企業をサポートするために、この特典をぜひご利用ください。有効会員証を提示するだけで利用できます。サービスをご提供くださるのは、Beauté Business,  Brasserie San-O(Promo code「JCCCM10」₋パントリー製品10%割引)、 Kokoro Care Packages, Kyoto Fleurs, Misa Oku, Myofu-an Dojo, Thés Guru, Tokusen Store, Yen cuisine japonaise, Charyu, MTL Shamisen Project, Yamato Karate Academyの各企業です。

トロント

JCCCトロント:UNREACHABLE
https://jccc.on.ca/event/2025/10/october-film-unreachable
https://jccc.on.ca/event/2025/10/nuit-blanche-2025
https://jccc.on.ca/event/2025/10/issei-day-2025  Issei Day 10月5日14:00‐16:30

JSS(ジャパニーズソーシャルサービス):会員登録をすると、オンラインでの講座などにも参加できます。https://jss.ca/en/

国際交流基金トロント日本文化センター:E-libraryで日本の本、マンガや雑誌などを読めます。
https://jf.overdrive.com
https://tr.jpf.go.jp

ケベック市

日本ケベック友好協会:www.facebook.com/associationdamitiequebecJapon/

ランゲージ・エクスチェンジ(仏語-日本語):ラヴァル大学院生が主催するオンライン・ランゲージ・エクスチェンジが、毎週土曜日朝8時(カナダ東部時間)から開催されています。www.meetup.com/en-AU/canasian-station/
問い合せ先:Pascal Paradis pascal.paradis.2@ulaval.ca

一般のフェスティバル

モントリオール

POP MONTRÉAl: 9月24‐28日、https://popmontreal.com/

FESTIVAL DU NOUVEAU CINÉMA:10月8日∸19日、https://nouveaucinema.ca/fr

MTL à TABLE:参加レストランでの食事のフェスティバル、10月30日‐11月16日 https://mtlatable.mtl.org/en

FESTIVAL INTERNATIONAL BACH MONTRÉAL : 恒例のバッハ国際音楽祭。11月15日‐12月10日 https://festivalbachmontreal.com/?gad_source=1&gad_campaignid=22687374449&gclid=Cj0KCQjw_rPGBhCbARIsABjq9cco6M733lELh1Xjy9o8TyF4AzidwrOR5ORRret0ZABH79a0fsZDgp8aAorwEALw_wcB

RAMEN RAMEN:10月13日‐26日。参加のレストランは10月10日に以下のサイトで発表。https://www.asiasie.com/ infolettre@asiasie.com

トロント

JCCC :カナダ日系文化会館
6 Sakura Way (formerly Garamond Court)
Toronto, ON M3C 1Z5
(416) 441-2345

・NUIT BLANCHE:10月4、5日19 :00、Shape of Loss, Luoise Noguchi https://jccc.on.ca/event/2025/10/nuit-blanche-2025
・OCTOBER FILM:“Unreachable”、10月9日 19:00

オタワ

小原流いけばな展:10月4日 10 :00-16 :00、10月5日10 :00-15 :00
在カナダ日本大使館、255 Sussex Drive, Ottawa、(公共駐車場ナシ)
www.ca.emb-japan.go.jp/2025_shared_images/Ikebana_Ohara_2025_EN.pdf

展覧会・展示

MONTREAL MUSEUM OF FINE ARTS:www.mbam.qc.ca/en/ MMFA
-FROM THE FUNCTIONAL TO THE FABULOUS, 600 Years of Decolative Arts and Design:9月31日から。
-KENT MONKMAN:History is Painted by the Victors:9月27日‐2026年3月8日
-Two by Two, Together : Recent additions to MMFA’s Collection:10月5日まで。
-MARIE-CLAIRS BLAIS: Streaming Light:2026年1月4日まで。
美術館アクティビティサイトwww.mbam.qc.ca/en/calendar/?filters=7

MAC:Musée d’art Conemplain de Montréal  http://macm.org/ (改装中)展示はPVM, Place Ville Marieで。
-In Praise of the Missing Image:2026年3月8日まで。
-Outdoor mural:2026年1月31日まで。
-Online Workshops:https://macm.org/quoi-faire-au-mac/#activites

MCCORD STEWART MUSEUMwww.musee-mccord-stewart.ca/fr/expositions/
-Petite-Bourgogne-Montréal en mutation:9月28日まで。
-Battle le pavé:10月26日まで。
-Africa Fashion、9 月25 日-2026年2月1日。
-Pounding the Pavement: Montreal Street Photography:10月26日まで。
-Aunties Work-The Power of Care:10月23日‐2026年5月24日

MUSÉE POINTE-À-CALLIÈRE, cité d’archéologie et d’histoire de Montréal : https://pacmusee.qc.ca/en/
-Knights :10月19日まで。
-Alley-oop, An Interactive Adventure:2026年1月9日まで。
-Montréal Night Life, 2026年2月15日まで。

PHI FOUNDATION FOR CONTEMPORARY ART:https://phi.ca/en/
-Josèfs Ntjam :Swell of Spæc(i)es:2026年1月1日まで。
-Jessica Moss:10月18日まで。

市外

NATIONAL GALLERY OF CANADA:wwgallery.ca/  NGC、オタワ
-THINGS WHICH ARE PER SE CONTINUOUS: THE MICHAEL NESBIT COLLECTION, WINNIPEG:12月14日まで。
-PUCKER UP! The Lipstick Prints of Joyce Wieland:10月26日まで。
-FOCUS SERIES:2026年6月まで。
-JIN-ME YOON: HONOURING A LONG:2026年3月まで。
-ERICA RUTHERFORD: HER LIVES AND WORKS:10月13日まで。
-THE ALCAN SOCIETY AWARDS FOR EXCELLENCE IN BOOK DESIGN IN CANADA:10月12日まで。

OTTAWA ART GALLERY : オタワ OAG https://oaggao.ca/whats-on/
-GROTTO:2026年2月8日まで。
-CHAOS BLOOM-TIDAL WAVE:2026年6月6日まで。

ROM:www.rom.on.ca/en/ トロント
‐SAINTS, SINNERS, LOVERS And FOOLS-300 Years of Flemish Masterworks。2026年1月まで。
オンライン展示
‐AFTERSHOCKS-Japanese Earthquake Prints:
‐The Burgess Shale, Bluewhale Discoveredなど。www.rom.on.ca/en/exhibitions-galleries/exhibitions/aftershocks-japanese-earthquake-prints

ART GALLERY OF ONTARIO :トロント。https://ago.ca/exhibitions
-Yayoi Kusama’s Infinity Mirrored Room-LET’S SURVIVE FOREVER:2026年5月まで。
-Joyce Wieland:Heart On、2026年1月4日まで。
-Naoko Matsubara:展示中
-Kazuo Nakamura:展示中

JFT(Japan Foundation Toronto):https://tr.jpf.go.jp/
-HIROSHIMA APPEALS: A Poster Exhibition of Global Message:12月20日まで。

コンサート・パフォーマンス

ORCHESTRE SYMPHONIQUE DE MONTRÉAL:音楽監督 Rafael Payare,
www.osm.ca/fr/
www.osm.ca/en/season-25-26/

ORCHESTRE METROPOLITAIN:2025‐2026 Season
https://orchestremetropolitain.com/fr/concerts/sortileges-symphoniques/?show_date_id=9090

ORHHESTRE CLASSIQUE DE MONTRÉAL:https://en.orchestre.ca/

BOURGIE CONCERT HALL:BCH www.mbam.qc.ca/en/bourgie-hall/

GRANDS BALLETS CANADIENS:https://grandsballets.com/en(日本人ダンサーがいます。)
-Snow White & the Mirror, 10月22₋24日 14:00、20:00、SWP、Place-des-Arts $79‐168

OPÉRA DE MONTRÉAL: www.operademontreal.com/en
‐Mozart, Don Giovanni, 9月27、30日、10月2日19:30、10月5日14:00、Kensho Watanabe-指揮、SWP、$40‐227 www.operademontreal.com/programmation/don-giovanni-0

DANSE DANSE:https://www.dansedanse.ca/en

TANGENTE DANSE: https://tangentedanse.ca/

CENTAUR THEATRE: https://centaurtheatre.com/prices-subscriptions/

CENTRE SEGAL : www.segalcentre.org/en/hom

市外

オタワ

NAC‐National Art Centre : https://nac-cna.ca/en/season、オタワ
‐Dvořák’s New World Symphony:YOSUKE KAWASAKI PKAYS Brahms Violin Concerto、10月15、16日20:00、Southam Hall
コンサートマスターの川崎洋介がドボルザークのバイオリン協奏曲を弾きます。https://nac-cna.ca/en/event/38405

トロント

TORONTO SYMPHONY ORCHESTRA: 今シーズンのカレンダー。
https://www.tso.ca/concerts-and-events/calendar

永田社中:(和太鼓)
-Nagata Shachu, https://nagatashachu.com/ ‐10月4日20:00
‐Harbourfront Centre Theatre、篠笛の村山二郎共演。https://nagatashachu.com/events/nagata-shachu-and-master-bamboo-flutist-jiro-murayama/

講座、講習、ワークショップ

和太鼓:Stephen Chan
onikenbai.mtl@gmail.com
www.instagram.com/onikenbai.mtl

AU PAPIER JAPONAIS:店舗のみ営業、火曜‐土曜11:00-17:00、APJ
www.aupapierjaponais.com/index.php

宮本食品店:日曜ワークショップ:すし、味噌造り、練切菓子、抹茶、
https://miyamotomontreal.com/ MF

日本の踊り:こまちモンレアル、練習の問合せは、mtlkomachi@gmail.com/ 514-886-8129

三味線ワークショップ:JacintheのMTL三味線プロジェクト、問合せ先:Jacinthe info@mtlshamisenproject.com/

茶道裏千家淡交会モントリオール協会:chadomontreal@hotmail.com/
-小西真美子(宗真)指導、許状取次可(初級から上級)、市内、ウエストアイランド教室、514-630-0260 mamikoni54@hotmail.com/
-クーパー達子(宗立):全級、昼間、夜間、514-934-0410

古流松藤会:kazuko.dorangeville@gmail.com

草月流いけばな清美会:連絡先:Alain Carriere, Alain.carriere@hotmail.com

桃扇書道教室(JCCCM):師範シマード桃扇(美紀子)
水曜:10:00‐12:00ラブレックホール
土曜:10:00‐12:00地下集会室
tosen.shodo@gmail.com/  514-298-4966

書道教室(NDG)有元合歓
稽古日:月曜日13:30-16:30 (月3回) 連絡先:arimotoakiko@gmail.com

和田翠苑書道教室:LaSalle、ダウンタウン教室。和田扶美、514-750-3543、438−939−5643
info@japaneseshodo.com/
www.japaneseshodo.com/

間由加里陶器アトリエ:陶器ワークショップ、ギフトの注文承りなど。Studio Pottery Hazama, 7255 Rue Alexandre #103, Montreal, QC H2R 2Y9、514-483-4547 www.potteryhazama.com

Makiko Hicher:陶器制作、www.facebook.com/makikohicher/

ORIGAMI  MONTREAL:問合せ:origami@sympatico.ca/

LANGUAGE TEA TIME:NUMA INSTITUTE、月曜—仏語、木曜‐英語、水曜‐日本語、15:30-17:30。

武道

志道館柔道クラブ:中村浩之指導、毎日、全クラスを指導 http://shidokanjc.ca/?lang=en

CLUB JUDO METROPOLITAN INC:http://club.judo.com/

CLUB DE JUDO HAKUDOKAN INC: http://judohakudokan.com/

マギル剣道クラブ:Christian D’Orangevilleほか指導 https://mcgillkendoclub.wordpress.com/

モントリオール剣道クラブ:戸井田健寿七段ほか、指導 www.montrealkendoclub.com/index.php?l=en

志道館剣道・合気道クラブ:www.shidokanmontreal.ca/

市外

HEATHER MIDORI YAMADA: www.ARTyamada.com/

JSS ONLINE PROGRAM:https://jss.ca/en/services/programs/online-programs/

映画

モントリオールの映画館、上映作品の情報:
www.cinemaclock.com/qc/montreal/
https://hotdocs.ca/festivals/hot-docs-festival

Cinéma Public:info@cinemapublic.ca

トロント

JFT Theater:国際交流基金による日本映画の配信が無料で行われています。フランス語字幕の映画もあります。https://en.jff.jpf.go.jp/

イベント会場

AGO Art Gallery of Ontario, 317 Dundas St. W.

APJ Au Papier Japonais, 24 Av. Fairmount O., 514-276-6853

AQHP Agora de l’Assemblée nationale du Québec Hôtel du Parlement、1045, rue des Parlementaires, Québec

BCH Bourgie Concert Hall, 1339 Sherbrooke W.

BDM Biodome of Montreal, 4777 Pierre-de Coubertin

BNM Basilique Notre-Dame de Montréal, 110 Notre-Dame W.

CCL Centre Communautaire de Loisirs Sainte-Catherine d’Alexandrie, 1700 Atateken

DZB Dazibao, 5455 de Gaspé Ave., suite 109 (GF) 

IM Insectarium, 4581 rue Sherbrooke E.

JCCC Japanese Canadian Cultural Centre, 6 Sakura Way, Toronto

JCCCM Japanese Canadian Cultural Centre of Montreal, 8155 Rousselot Street, 514-728-1996

JFT The Japan Foundation, Toronto, 2 Bloor St. E., 3rd Floor of Hudson Bay Centre, suite 300, 418-782-2277

LC La Cenne, 7755 boul. Saint-Laurent, suite 300

LN Le National, 1220 Ste-Catherine E, 514-845-2014, http://lenational.ca  

MAC Museum of Contemporary Arts, address →PVM

MCC Monkland Community Centre, 4410 West Hill, NDG

MBG Montreal Botanical Garden, 4101 Sherbrooke E., Japanese Pavilion, 514-872-0607 pavillon_japonais@ville.montreal.qc.ca.

MCSM McCord Stewart Museum, 690 Sherbrooke St.W., 514-861-6701

MF Miyamoto Foods, 382 Victoria, 514-481-1952

MMFA Montreal Museum of Fine Arts, 1410 Sherbrooke W.

MSM Maison symphonique de Montréal, 1600 St-Urbain

NAC National Arts Centre, 53 Elgin, Ottawa, 613-947-7000 ext. 565, 1-888-991-2787

NGC National Gallery of Canada, 380 Sussex Dr., Ottawa, 613-234-6306

OAG Ontario Art Gallery, 50 Mackenzie King Bridge, Ottawa

OSM Orchestre symphonique de Montréal, 260 Maisonneuve W., 514-842-9951, www.osm.ca

PAC Pointe-à-Callière, 350 Place Royale

PDA Place des Arts, 175 Ste-Catherine W., 514-842-9951, www.pda.qc.ca

PDC palais des congrès de Montréal1001 Pl. Jean-Paul-Riopelle

PHIC PHI Centre, 451 & 465 rue Saint-Jean

PRT Planetarium Rio Tinto Alcan, 4801 Pierre-de Coubertin

PVM Place Ville Marie

ROM Royal Ontario Museum, 100 Queen’s Park, Toronto, 416-586-8000, www.rom.on

RTH Roy Thompson Hall, 60 Simco St., Toronto

SPF Studio Pottery Hazama, 7255 Rue Alexandre #103, Montreal, QC H2R 2Y9

SWP Salle Wilfrid Pelletier, PDA

TM Thèatre Maisonneuve, PDAYW YWCA Westmount, 4585 Sherbrooke W.

福島県立医科大学医学部疫学講座主任教授大平哲也先生オンライン講演会(全2回)

日本語認知症サポート協会では、下記日程でオンライン講演会 (Zoom)を開催いたします。

最近、生活習慣病をお持ちの方は認知症を発症しやすいという研究成果が報告されています。また「笑い」や「体操」が生活習慣病や認知症の予防・改善に役立つことも、少しずつ知られるようになってきました。

大平先生はこの分野で日本有数の研究実績を持ち、エビデンスに基づく最新知見をわかりやすく解説してくださいます。健康で長く豊かな人生を送るために、無理なく取り入れられる日々の工夫を学んでみませんか。

皆さまのご参加を心よりお待ちしています。

日本語認知症サポート協会

各講演会の開催概要

  • 形式:Zoomオンライン
  • 参加費:各回 $25

💙 第1回 💙

  • 日時:10月8日(水)午後7時~9時(バンクーバー時間)
  • テーマ:生活習慣病と「笑い」の関係
  • お支払い:Eventbrite (クレジット):https://LY-Health.eventbrite.ca
  • 内容:
    不健全な生活習慣は糖尿病・高血圧・がん・脳卒中・心臓病などを招き、脳血管を傷つけて認知症リスクを高める要因とも言われます。今回は、笑いによるストレス軽減・免疫力向上・血行促進など、生活習慣病予防における科学的効果について、大平先生の研究成果をもとにご紹介します。

💙 第2回 💙

  • 日時:10月22日(水)午後7時~9時(バンクーバー時間)
  • テーマ:認知症の代替療法としての笑い
  • お支払い:Eventbrite (クレジットカード):https://LY-Dementia.eventbrite.ca
  • 内容:
    近年注目されている「笑い」を活用した認知症ケアについて、笑いの体操とヨガの呼吸法を組み合わせた「笑いヨガ」の実演を交えながら解説いただきます。
  • 講師プロフィール:下記添付ポスターのプロフィールをご覧ください。

* e-Transferや小切手でのお支払いをご希望の方は、下記の申込みリンクよりお申込みください。追って詳細をご連絡いたします。

申込みリンク:https://forms.gle/LLd8bBq64XTSCRR66

お問い合わせ:orangecafevancouver@gmail.com

主催:日本語認知症サポート協会

メディアスポンサー:月刊ふれいざー、日加トゥデイ、Life Vancouver

秋の夜長にHPVワクチンを考える

 コロナウイルスのパンデミック前は、いわゆるアンチワクチン派において、いかなる予防接種をためらう声も少なくありませんでした。しかしコロナを経験した今、社会全体で疾患の発症と重症化を防ぐ予防接種の価値が再認識されています。

 薬局でも、最近はインフルエンザやコロナウイルスワクチンはもとより、肺炎球菌、RSV(RSウイルス感染症)、帯状疱疹、破傷風といった様々なワクチンについての相談が目に見えて増えています。そして、予防接種への前向きな流れは若年層でも加速しており、その代表格がヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンです。

 HPVとは、200種類以上の型があるウイルスで、主に性的接触(性器同士・口と性器・性器周囲の肌と肌の密接な接触を含む)で感染します。特に高リスク型(例:16型・18型)は子宮頸がん、肛門がん、陰茎がん、陰唇・膣がん、そして男女共通の咽頭がんの原因となります。一方で低リスク型(例:6型・11型)は命に関わることは少ないものの、性器いぼ(尖圭コンジローマ)の主な原因です。多くの感染例は数か月〜1年ほどで免疫の働きにより自然に排除されますが、一部は粘膜に潜んで持続感染し、時間をかけて細胞に変化を起こすことがあります。

 厚生労働省の資料によると、日本では子宮頸がんが年間約1万人発症し約2,900人が亡くなっており、若い女性の患者さんが増えているのも心配な点です。G7の中で日本の罹患率は最も高く、カナダのおよそ3倍と言われます。背景には、思春期から若年期のうちに、ウイルスに暴露される前にワクチンで体を守る仕組みや、早期発見の仕組みが十分に行き届いていないことが挙げられます。

 ブリティッシュコロンビア(BC)州では、学校での定期接種(原則グレード6)を中心に、薬局やパブリックヘルスユニットなどでの接種機会と多言語の情報を提供、そして子宮頸がん検診(PAPテスト)が一貫して進められてきました。BC州では2008年にグレード6の女子から公費接種が開始され、2017年には男子にも適応を拡大することで思春期に入る前の年齢での幅広い予防を継続的に行ってきました。

 そして、2025年7月からはHPVワクチン公費プログラムは大きく拡充されました。従来は9〜14歳が2回、15歳以上は3回(免疫不全は年齢に関係なく3回)、公費負担は19歳未満で開始し26歳未満で完了という公費負担条件がありましたが、新制度では9〜20歳が1回、21〜45歳が2回(免疫不全やHIV陽性は3回)へと簡略化。公費負担は19〜26歳の全員に広がり、さらに27〜45歳でもHIV陽性や、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、ノンバイナリー、クエスチョニング、Two-Spiritを自認する方は公費接種の対象となりました。これに加えて、コルポスコピー(拡大鏡で膣や子宮頸部を詳しく観察する検査)後の治療を受けた方は年齢に関係なく3回の公費接種対象に加わりました。このように接種対象が拡大されたことは、単なる条件の緩和ではなく、性別や年齢、背景の違いにかかわらず公平にワクチンを届けようとする社会的な取り組みであり、多様性と包括性を尊重する医療政策の象徴的な一歩と言えるでしょう。

 日本では、2013年に定期接種が始まった直後、接種後の痛みや運動障害といった有害作用に関する報道で社会不安が拡大し、厚生労働省が異例の積極的勧奨の差し控えを決定したことで、接種率は急落しました。その結果、思春期に接種機会を逃した1990年代後半から2000年代生まれの世代が、HPVの大きな影響を受けています。HPVワクチンは感染前の接種が最も有効なため、この空白世代では将来の子宮頸がんリスク増加が懸念されています。2022年には積極的勧奨が再開されましたが、9年に渡り根付いた不信を払拭するには、正確な情報提供と、安心して接種を選べる環境づくりが不可欠と言えます。

 HPVワクチンは、この18年間で大きく進化してきました。初期のワクチンは、子宮頸がんの主要な原因である16型・18型に加え、尖圭コンジローマの原因となる6型・11型を予防し、発がんリスクの約70%をカバーしていました。その後、ワクチンの改良により、現在主流の9価ワクチンでは、追加のハイリスク型(31・33・45・52・58型)を含む計9種類を対象にできるようになり、子宮頸がん原因の約90%を防げるまでに進化しています。加えて、接種世代を長期的に追跡した研究では、前がん病変や子宮頸がんの発症が実際に減少していることも証明されており、HPVワクチンは理論的な予防から、実際に効果が確認された予防へと新たな地位を築いています。

 最近の薬局では、これまでよりも幅広い年齢の方にHPVワクチン接種を行なっています。公費接種の対象となる方に限らず、子宮頸がんのリスクがある方は、医師と相談しながら接種を検討することが望ましいでしょう。自己負担の場合は1本あたり約200ドル(薬局によって異なる)と安価ではありませんが、正確な情報に基づき、信頼できる医療者と相談することで、皆さんのライフステージに応じた適切な判断をしていただければ幸いです。

参考リンク:

Government of British Columbia
https://news.gov.bc.ca/releases/2025HLTH0076-000739

HealthLinkBC
https://www.healthlinkbc.ca/healthlinkbc-files/human-papillomavirus-hpv-vaccine

国立がん研究センター がん情報サービス
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/17_cervix_uteri.html

*薬や薬局に関する一般的な質問・疑問等があれば、いつでも編集部にご連絡ください。編集部連絡先: contact@japancanadatoday.ca

佐藤厚(さとう・あつし)
新潟県出身。薬剤師(日本・カナダ)。 2008年よりLondon Drugsで薬局薬剤師。国際渡航医学会の医療職認定を取得し、トラベルクリニック担当。 糖尿病指導士。禁煙指導士。現在、UBCのFlex PharmDプログラムの学生として、学位取得に励む日々を送っている。 趣味はテニスとスキー(腰痛と要相談)

お薬についての質問や相談はこちらからお願い致します。https://forms.gle/Y4GtmkXQJ8vKB4MHA

全ての「また お薬の時間ですよ」はこちらからご覧いただけます。前身の「お薬の時間ですよ」はこちらから。

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