新年が明けて間もない1月8日(木)、日本・カナダ商工会議所(JCCOC)が重点事業の一つとして取り組む姉妹都市支援事業の、2026年最初のイベントが開催された。
ブリティッシュコロンビア(BC)州には、日本と姉妹都市提携を結ぶ都市が複数存在するが、今回のイベントは和歌山市とリッチモンド市の歴史的なつながりを背景としている。
19世紀後期、現在の和歌山県美浜町(三尾村)出身の工野儀兵衛氏が先駆者となり、多くの和歌山県出身者がカナダへ移住。バンクーバー郊外のスティーブストン(現リッチモンド市内)周辺で鮭漁業の発展に大きく貢献した。さらに、帰国した人々はカナダで得た近代的な生活様式や価値観を日本へ持ち帰り、地域社会に新たな影響をもたらした。
こうした日加の国際的な歴史を次世代へ語り継ぐ活動を行っているのが、NPO法人 日ノ岬・アメリカ村「和歌山語り部ジュニア」プロジェクトである。
イベント冒頭では、日本・カナダ商工会議所のサミー会長が挨拶に立ち、両都市の歴史的背景を紹介。JCCOCが過去に、工野儀兵衛氏のご子孫である高井利夫氏(兵庫県姫路市)のご支援のもと、両都市の友情の証としてBC州先住民文化の象徴であるトーテムポールおよび工野儀兵衛氏の胸像を寄贈した経緯にも触れ、当時のエピソードを交えながら、日加両国のさらなる絆の深化への期待を語った。

また会場には、工野儀兵衛氏のカナダ在住のご子孫であるゲリー・クノ氏がご家族とともに来場し、今回の交流会に寄せて、未来への希望を込めたコメントを寄せてくださった。

さらに、祖父母が美浜町出身で、日本とカナダをつなぐ文化交流の拠点として、町に残されていたご実家を寄贈されたハイディ・ムラオ氏、キース・ムラオ氏も応援に駆けつけ、会場は温かな歓迎ムードに包まれた。

続いて、NPO法人 日ノ岬・アメリカ村の柳本文弥氏が登壇し、これまでの支援への感謝を述べるとともに、「語り部ジュニア」プロジェクトが、海外へ歴史を発信するだけでなく、地元の子どもたち自身が地域の歴史や魅力を学ぶことで郷土愛を育み、将来的な地域活性化や人口流出の抑制につなげることを目的としている点を強調した。

そしていよいよ、語り部ジュニアによるプレゼンテーションがスタート。
今回は10歳から16歳までの7名が登壇し、美浜町とカナダ移民の歴史、そして工野儀兵衛氏の功績について、約30分間にわたり英語で堂々と発表した。彼らは毎週、部活動の合間を縫って日曜日に集まり練習を重ねており、英語のスクリプトも自ら考え上げたという。

なお、同日イベント前には、語り部ジュニア一行が在バンクーバー日本国総領事館を表敬訪問し、岡垣首席領事および齋藤領事に挨拶を行った。両領事はその後、本イベントおよびJCCOCが企画した歓迎会にもご出席くださり、次世代による日加交流の取り組みに温かい激励の言葉を贈られた。

歓迎会では日本食が振る舞われ、語り部ジュニアたちはJCCOCの役員・会員と和やかに談笑しながら、食事と交流のひとときを楽しんだ。

本イベントは、次世代を担う子どもたちが自らの言葉で日加の歴史を語り、過去から未来へとつながる交流の意義を改めて感じさせる機会となった。語り部ジュニアの真摯な姿勢と努力は、地域の歴史を継承しながら国境を越えた絆を育む、希望ある一歩として参加者の心に深く刻まれた。
投稿:日本・カナダ商工会議所
文責:鈴木 香絵
撮影:吉川 英治
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