2025年 バンクーバーイルミネーション特集

約300万個のライトが作るトンネルを歩く来場者。幻想的な空間が広がる。2025年11月26日、サレー市。撮影:田上麻里亜
約300万個のライトが作るトンネルを歩く来場者。幻想的な空間が広がる。2025年11月26日、サレー市。撮影:田上麻里亜

 冬の訪れとともに、今年も街が鮮やかな光に包まれる季節がやってきた。メトロバンクーバーでは、湖畔を照らす大規模なイルミネーションから、サンタやトナカイと触れ合えるクリスマスイベントまで、各地で個性豊かな光の景色が広がる。

 今回はメトロバンクーバーで、この冬訪れたいイルミネーションを紹介する。

ブライトナイト復活!ロック市長「サレーの誇り」に

 28年の歴史を持つ「ブライトナイト(Bright Nights)」が今年、これまでのスタンレーパーク(バンクーバー市)から発祥の地であるサレー市へ帰ってきた。11月26日には開幕イベントが行われ、熱傷患者支援のためのブリティシュ・コロンビア(BC)州最大の募金活動の復活を祝った。

火傷基金の寄付金贈呈式に登壇したサレー市ブレンダ・ロック市長。2025年11月26日、サレー市。撮影:田上麻里亜
火傷基金の寄付金贈呈式に登壇したサレー市ブレンダ・ロック市長。2025年11月26日、サレー市。撮影:田上麻里亜

 火傷基金の寄付金贈呈式にはサレー市ブレンダ・ロック市長があいさつ、「ブライトナイトはメトロバンクーバーで最も愛されてきた伝統の一つ」と述べ、多くの都市がブライトナイトの開催を希望する中でサレー市が選ばれたことを「大変誇りに思い、感謝している」と笑顔を見せた。

  ブライトナイトは、BC州消防士協会火傷基金の最大チャリティイベント。ロック市長は自身も家族と訪れた思い出を語りながら「このイベントは地域コミュニティの象徴であり、支え続けてきた消防士やボランティアの努力があって成り立っている」と感謝を表明。 500人を超える消防士の設営協力や地域企業の支援が紹介されると、会場には大きな拍手が沸き起こった。

火傷基金(BC Professional Fire Fighters’ Burn Fund)のトッド・シアリング会長。開幕式のステージ前で。2025年11月26日、サレー市。撮影:田上麻里亜
火傷基金(BC Professional Fire Fighters’ Burn Fund)のトッド・シアリング会長。開幕式のステージ前で。2025年11月26日、サレー市。撮影:田上麻里亜

 個別のインタビューに応じたBC州消防士協会火傷基金トッド・シアリング会長は、サレーでの開催について「1990年代にボブとマージがニュートンの住宅街で始めた場所に戻ってこられて本当にうれしい」と語った。「バンクーバー市での長い開催を経てサレー市に戻ることは、地域にもBurn Fundにも大きな意味がある」と話す。

 準備では新しい環境に合わせた再設計が必要で、「会場や構造を一から作り直す作業が大変だった」と振り返った。一方で、約2,800平方メートルの屋内会場や広いスペースが今回の魅力を引き立てていると説明。「暖かい屋内で過ごせること、食事や展示を楽しめること、駐車場の広さも大きな特徴」と話した。

Vancouver Fire & Rescue Services Bandによる演奏。2025年11月26日、サレー市。撮影:田上麻里亜
Vancouver Fire & Rescue Services Bandによる演奏。2025年11月26日、サレー市。撮影:田上麻里亜

 来場者には「寄付する気持ちや喜び、そしてコミュニティの一体感を感じてほしい。ブライトナイトがここに帰ってきた特別な雰囲気を味わってもらえれば」と期待した。

 屋外では、池の周囲に約300万個のライトが装飾され、来場者は光に包まれた遊歩道を自由に散策できる。ライトのテーマエリアが点在し、写真撮影スポットも多く、ゆったりと歩きながら見どころを巡ることができるのが特徴だ。会場内には15メートルの観覧車も設置され、光に囲まれた会場を高い位置からも楽しめる。

 屋内の「Noel Village」には、サンタとの撮影会、音楽、クリスマスマーケットを楽しむことができ、約2,800平方メートルの会場を活かした多彩なアクティビティが用意されている。

ライトで装飾された消防車。ブライトナイトを支える消防士たちの存在を象徴する展示となっている。2025年11月26日、サレー市。撮影:田上麻里亜
ライトで装飾された消防車。ブライトナイトを支える消防士たちの存在を象徴する展示となっている。2025年11月26日、サレー市。撮影:田上麻里亜

期間:2025年11月28日〜2025年12月28日
時間:16:00〜22:00(チケット制・日付指定)
場所:ブリティッシュ・コロンビア州サレー市クローバーデール・フェアグラウンド
公式サイト:https://www.noelfestival.com/

ライト・アット・ラファージュ(Lights at Lafarge)

ライト・アット・ラファージュ。Photo by City of Coquitlam
ライト・アット・ラファージュ。Photo by City of Coquitlam

 メトロバンクーバー最大の無料屋外イルミネーションが今年も湖畔を鮮やかに照らす。湖の周囲に延びる遊歩道を歩きながら、多彩な光のアートを楽しめるほか、毎年新しい演出が加わるため、今年もこれまでとは違った景色が広がる。

期間:2025年11月28日〜2026年2月16日
時間:16:00〜23:00
場所:ブリティッシュ・コロンビア州コキットラム市、Lafarge Lake
公式サイト:https://www.coquitlam.ca/784/Lights-at-Lafarge

フェスティバル・オブ・ライト(Festival of Lights)

フェスティバルオブライト。Photo by VanDusen Botanical Garden
フェスティバルオブライト。Photo by VanDusen Botanical Garden

 バンクーバー市中心部・ショーネシー地区にあるバンデューセン植物園で開催されている冬の名物イルミネーション。約6万平方メートルの敷地に100万球以上のライトが灯り、池や森が幻想的な光の庭園に変わる。特徴はなんといっても、植物園ならではのボタニカル・ライトアート。自然を活かした光の演出を楽しめる。

期間:2025年11月28日〜2026年1月4日 ※12月25日は休園
時間:16:00〜22:00
場所:ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市ショーネシー地区
公式サイト:https://vandusengarden.ca

キャニオンライト(Canyon Lights)

キャニオンライト。Photo by Capilano Suspension Bridge Park
キャニオンライト。Photo by Capilano Suspension Bridge Park

 深い渓谷にかかる「キャピラノ・サスペンションブリッジ」で行われるバンクーバー屈指の人気イルミネーション。長さ140m、高さ70mのつり橋がライトアップされ、谷を横断する光のラインが浮かび上がる迫力のイベント。森を歩く「Treetops Adventure」や、ライトをまとった木々が鏡のように反射するリフレクションも美しく、森全体が幻想的な空間へと変わる。

 2025年は新たに「3Dワイルドライフプロジェクション」が登場し、森の動物たちが立体的に動いているかのような新演出も。自然、光、テクノロジーを融合させた唯一無二のイルミネーションが楽しめる。

期間:2025年11月21日〜2026年1月18日 ※12月25日は休園
時間:11:00〜21:00(閉園後1時間滞在可)
場所:ブリティッシュ・コロンビア州ノースバンクーバー市
公式サイト:https://www.capbridge.com

ピーク・オブ・クリスマス(Peak of Christmas)

ピーク・オブ・クリスマス。Photo by Grouse Mountain
ピーク・オブ・クリスマス。Photo by Grouse Mountain

 ノースバンクーバーの象徴であるグラウスマウンテンでは、「バンクーバーの北極」として親しまれるクリスマスイベントが開催される。

 山頂ではライトウォークやサンタのワークショップ、トナカイとの触れ合い、そり、映画の上映会など、多彩なアクティビティが楽しめる。雪景色とイルミネーションの中、家族で冬を過ごす毎年人気のイベントだ。

期間:2025年11月21日〜12月24日
時間:アクティビティにより異なる。ウェブサイトを要確認
場所:ブリティッシュ・コロンビア州ノースバンクーバー市グラウスマウンテン山頂
公式サイト:https://www.grousemountain.com/peak-of-christmas

(取材 田上麻里亜)

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