難病の9歳少女への高価な治療薬、BC州政府が助成打ち切りへ

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州政府は、バンクーバー島に住むシャーリー・ポロックさん(9歳)の高価な治療薬への助成を終了することが6月18日に分かった。

 シャーリーさんはバッテン病(神経セロイドリポフスチン症2型)という遺伝性の難病を患っている。この病気は1日に何度もてんかん発作を引き起こし、最終的には脳に深刻な損傷を与えるという。現時点で根本的な治療法がない極めて稀な病気で、BC州でバッテン病と診断されているのはシャーリーさん1人だという。

 助成が打ち切られたのは病気の進行を遅らせる年間100万ドルの費用がかかるという商品名「ブリニューラ」という治療薬。18日に届いた通知に家族は大きなショックを受けているという。19日には最後の投与が行われたと家族が明らかにした。

 BC州ジョジー・オズボーン保健大臣は19日、助成終了の決定は「非常に難しい判断」だったとし、(終了決定は)薬の価格が理由ではなく、シャーリーさんがブリニューラの「中止基準」に該当するほど病状が進行したと判断されたためと説明した。運動機能と言語機能が一定以上低下した場合、ブリニューラの進行抑制効果は見られなくなるという臨床的証拠があるという。

 しかし母親のジョリ・フェイルズさんは、娘の状態が悪化したという見解を否定している。また、アメリカとオーストラリアに拠点を置く「バッテン病支援・研究協会」および「バッテン病グローバル研究イニシアチブ」の責任者イネカ・ホワイトマン博士も、CBC電子版の取材に、助成中止の判断は古い臨床試験に基づいていると述べ、州政府の対応を「衝撃的」だと批判している。

(記事 高城玲)

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