バンクーバー市とホワイトキャップスが新サッカースタジアム建設で覚書

バンクーバーダウンタウンにあるBCプレース。バンクーバー・ホワイトキャップスがホームグランドとしている。撮影 日加トゥデイ
バンクーバーダウンタウンにあるBCプレース。バンクーバー・ホワイトキャップスがホームグランドとしている。撮影 日加トゥデイ

 カナダ・バンクーバー市は新しいサッカースタジアム建設についてバンクーバー・ホワイトキャップスFCと覚書に署名したと12月11日に発表した。

 バンクーバー市北東部にあるヘイスティングス競馬場公園に新たなスタジアムとエンターテイメント地区を建設する独占交渉期間に入ることを定めているという。交渉期間は2026年12月31日まで。「スタジアムの設計、財務条件、地域社会への利益などを含む土地賃貸契約の条件について協力して交渉を進める」という。

 提案されている賃貸区域は、現在のヘイスティングス競馬場公園の敷地内にあり、最近まで競馬場やカジノの運営に使用されていたスペースを含む。土地の所有権はバンクーバー市が保持する。

 覚書には、バンクーバー市ケン・シム市長とバンクーバー・ホワイトキャップスFCアクセル・シュースターCEOが署名した。

 メジャーリーグサッカー(MLS)に所属しているバンクーバー・ホワイトキャップスは今季西カンファレンスで初優勝し、MLSカップ決勝に進出。東カンファレンスのインテル・マイアミに敗れたものの、チームとして安定した強さを見せた。

 現在はホームグランドとしてバンクーバー市ダウンタウンにあるBCプレースを使用している。BCプレースは2011年にMLSに昇格したホワイトキャップスが使用するために、それまでのドーム型から開閉式の屋根に改修した。ただ現在でもMLSで数少ない人工芝のグランドとなっている。

 新スタジアムはホワイトキャップスの念願で、以前にはバンクーバー港付近に建設計画も浮上したが実現しなかった。

 ホワイトキャップスは2024年12月に正式にチームの売却を発表した。バンクーバーにチームが存続するカギとなるのが新スタジアムの建設。BCプレースとの賃貸契約は2025年末で終了する。収益面で不利な条件が続いているのが理由とされている。

 シュースターCEOは会見でBCプレースを運営する州営公社B.C. Pavilion Corporation(PavCo)との公平な契約を模索中と語った。観客動員数ではリーグ30チーム中で7番目、レギュラーシーズンでの平均観客動員数10番目、プレーオフでは3番目の多さだったと説明。それでも収入はリーグで最低から2番目というのは「継続不可能」と主張する。

 シム市長は「この覚書がなければホワイトキャップスがバンクーバーに残る可能性は全くないということだ」と強調した。

 ただ新スタジアムができても新オーナーがチームをバンクーバーから他の都市に写す可能性も十分に残されている。

(記事 北野大地)

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