グローブ・アンド・メール紙は11月18日、アルバータ州が公的医療制度と民間医療制度の両方で医師が自由に働けるようにする法改正を検討していると報じた。
アルバータ州ダニエル・スミス州首相はこれを認め、SNSで「デュアル・プラクティス手術モデル」の仕組みを説明、手術件数を増やすことで待ち時間の短縮につながると強調している。スミス州首相によると、新制度下でも外科医および手術スタッフは年間一定数の公的資金による手術を提供し続ける必要がある。その上で希望すれば、週末や空き時間に緊急性のない手術を民間医療制度のもとで行うことが可能になるという。より迅速に手術を受けられるほか、州内に医師を定着させる効果も期待できると述べている。
同州マット・ジョーンズ病院・手術医療サービス担当相は報道陣に、この法案には家庭医(ファミリードクター)が含まれる可能性もあると明らかにした。一方でスミス州首相は「アルバータ州民が家庭医にかかったり、必要な治療を受けるのに自己負担を強いられることは決してない」と強調している。このデュアルモデルは、スウェーデン、ドイツ、オーストラリアなどで導入されているという。
しかし、このような仕組みはカナダでは前例がなく、公的医療制度への影響を懸念する声が上がっている。
カナダ医師会(CMA)は「患者は今より長く待たされ、税金に加えてクレジットカードでもう一度医療費を払うことになる」との声明を発表、アルバータ州政府に再考を促した。
野党アルバータNDP(新民主党)ナヒード・ネンシ党首は、州政府は「アメリカ型医療」を推し進めており、この計画はアルバータ州の低所得者を苦しめるだけだと批判している。19日の州議会ではスミス州首相にこの件をめぐって選挙を実施するよう求めた。
連邦政府マージョリー・ミシェル保健大臣の報道官はアルバータ州に詳細を確認していると述べている。
(記事 高城玲)
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