Nuremberg「自国を背負って生きるということ」

「ニュルンベルグ裁判のシーン」Photo by 2025 Sony Pictures Classics
「ニュルンベルグ裁判のシーン」Photo by 2025 Sony Pictures Classics

 ジェームズ・バンダービルト監督による新作映画「Nuremberg」は、戦争の勝ち負けに関係なく国のために尽くして悩む人間の姿を描いている。

 舞台は戦後のドイツで、1945年から1年間、連合軍によって行われた「ニュルンベルグ裁判」。被告人はナチ党の最高幹部アドルフ・ヒトラーの後継者だった空軍総司令官ヘルマン・ゲーリング(ラッセル・クロウ)など22人の軍人と関係者。

 アメリカ人精神科医のダグラス・ケリー(ラミ・マレック)は、ヒトラーと対立した経歴のある空軍出身のゲーリングが、警察によるユダヤ人虐殺をどれだけ知って司令していたのか気になった。カリスマ性があり英語も話せて聡明なゲーリングだったが、裁判ではナチ党を弁護し検察官と対決したりする。映画は死刑執行直前に独房内で服毒自殺をしたゲーリングの最期までを描く。

 戦後80年を迎えた今年、「世紀の裁判」映画の原作はジャック・エルハイによるノンフィクション「The Nazi and the Psychiatrist」。両親が自分を逃して犠牲になったユダヤ系軍人、弁護の余地なく判決を待つドイツ人被告、証拠検証にてこずりながら裁判に挑む検察官、同情心を抑えながら与えられた任務を果たす精神科医など、裁判に関わる人たち個々の苦悩がスリラー的に展開する。

 「君たちはただ戦争に勝っただけ。私自身が負けたわけではない」などナルシストと称されたゲーリングを、名優ラッセル・クロウが最高に演じてくれる。

(記事 Jenna Park)

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