バンクーバーでも盛り上がるブルージェイズのWS進出、シュナイダー監督もイエサベージ投手もバンクーバーに所属

トロント・ブルージェイズの本拠地ロジャーズセンター。開幕間もない3月31日のホームゲーム前に多くのファンが列を作る。2025年3月31日、トロント市。撮影 日加トゥデイ
トロント・ブルージェイズの本拠地ロジャーズセンター。開幕間もない3月31日のホームゲーム前に多くのファンが列を作る。2025年3月31日、トロント市。撮影 日加トゥデイ

 トロント・ブルージェイズがアメリカンリーグ優勝決定シリーズ(ALCS)を制し、ワールドシリーズ(WS)に進出した。10月20日にトロントで行われた第7戦の劇的な逆転勝利に、カナダはまだどことなくザワザワしているが、24日からいよいよWSが始まる。

 相手はスーパースター軍団のロサンゼルス・ドジャーズ。大谷選手を筆頭に3人の日本人選手がいることから日本でも大注目のシリーズにトロントが脚光を浴びている。

 ブルージェイズは、モントリオール・エクスポズがアメリカ・ワシントンDCに移ってからカナダで唯一の大リーグチームということもあり、カナダのチームとして全国にファンがいる。

 特にバンクーバーはブルージェイズファンが多い。ALCSは隣州アメリカ・ワシントン州シアトルのマリナーズとの対戦となった。レギュラーシーズンでもマリナーズ戦にはバンクーバーから多くのブルージェイズファンが詰めかける。車で約3時間。ALCSでもかなり行っていたとスポーツ局が伝えていた。

 バンクーバーにブルージェイズファンが多い理由は、カナダ国内でも野球が盛んな街なこと、そして、ブルージェイズ傘下のマイナーリーグHigh-Aバンクーバー・カナディアンズの存在がある。

 WS第1戦で先発するトレイ・イエサベージ投手は今年5月20日にはバンクーバーで投げていた。4回先発しただけでAAに昇格し、8月中旬にはAAAに昇格。そして9月に大リーグでデビューしてWSに先発するという驚異的な22歳。バンクーバーはもちろん通り過ぎるだけだが、それでもバンクーバーでは若い成長していく選手たちを応援し、ブルージェイズを応援する。

 チームをここまで率いたジョン・シュナイダー監督もバンクーバーで2014年、15年シーズンに指揮を執っていた。シュナイダー監督自身、優勝を決めた20日の記者会見ではバンクーバーからも祝福の声が届いたことを喜んでいた。

 それ以外にも調整を兼ねてバンクーバーでプレーする選手も少なくなく、バンクーバーのファンは成長していったブルージェイたちを見守り続けているというわけだ。

ブルージェイズで最も人気だった日本人選手は?

 32年ぶりのWS進出で沸くトロント、そしてカナダ。相手は昨季のWS覇者ドジャーズ。超強力打線には大谷選手、投手では山本、佐々木両投手と日本人選手の活躍が目立つ。トロントには現在日本人選手はおらず、スタッフで昨季まで日本ハム・ファイターズにいた加藤豪将さんがいるのみ。

 だが、ブルージェイズにもこれまで日本人選手はもちろんいた。投手としては、大家投手や五十嵐投手が活躍した。しかし、最も人気だったのはなんといっても、川﨑宗則選手だ。元日本代表という野球センスと底抜けに明るいキャラクターでカナダの野球ファンを虜にした。当時のチームメートはスポーツネット(ブルージェイズ専門スポーツ局)に「彼の言っている言葉は一言も分からないが、彼の言っていることは理解できるんだ」と語っていた。

 カメラを向けられるとマイクを奪って、チームメートすら分からない英語をテレビに向かって話す。そんなちょっとおどけたキャラクターでも、試合では堅実なプレーで内野を守る。そのギャップも良かったのかもしれない。バンクーバー・カナディアンズを観戦に来る白人男性でさえ、「Kawasaki」のユニフォームを着ていた。応援している子どもにカメラを向けて「誰のファン?」と聞くと、「Kawasaki」と返ってきた。もちろんメディアも川﨑選手にマイクを向けた。

 ブルージェイズに来る前はマリナーズに所属していたが、それほど大人気ということは聞いたことがない。物おじしない明るいキャラがカナダの野球ファンに受け入れられたことは間違いない。野球という枠を超えてブルージェイズファンに愛された日本人選手だった。

 24日から始まるWS第1戦。日本ではぜひ川﨑さんにブルージェイズの魅力を語ってもらいたい。

バンクーバー・カナディアンズの本拠地ナットベリー・スタジアムで、「Kawasaki」のTシャツを着たファン。2014年8月30日、バンクーバー市。写真 読者提供
バンクーバー・カナディアンズの本拠地ナットベリー・スタジアムで、「Kawasaki」のTシャツを着たファン。2014年8月30日、バンクーバー市。写真 読者提供

(記事 編集部)

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