
今年開幕した待望のカナダ女子プロサッカーリーグNSL(ノーザンスーパーリーグ)。開幕当初からAFCトロントで活躍しているのが木﨑あおい選手だ。
日本ではサンフレッチェ広島レジーナや日テレ・東京ヴェルディベレーザに所属。NSLバンクーバー・ライズのGKジェシカ・ウルフ結吏選手とはベレーザでチームメートだったという。
7月24日、バンクーバー・ライズとの試合後に話を聞いた。
カナダ初の女子リーグで「ワクワクするものを感じた」

AFCトロントに入団する直前はマレーシアのリーグでプレーしていた。それから日本に戻らずにカナダのNSLでプレーしようと思った理由は、「すごいワクワクするようなものが多かったので決めました」と話す。「新しいチームでプレーするというのが一つと、リーグ初年度ですけど力の入れ方だったり、来年の(男子)ワールドカップ開催もあるということで」と新リーグとサッカー環境に魅力を感じたという。
リーグに6チームある中でトロントを選んだのは、サッカーに対する思いや監督の木﨑選手に対する思いが「一番熱かったというのが決めてです」とその情熱に動かされた。

開幕からNSLに参加してきたリーグの印象は「1年目からの盛り上がり方がすごい」という。日本ではWEリーグ(日本女子プロサッカーリーグ)の2021年開幕当初から参加してきた経験がある。「その時も盛り上がりましたけど、このくらいまではさすがに盛り上がってなかったので。(トロントでの)開幕戦は特に1万人を超えてファンが応援に来てくれました」。
トロント市BMOフィールドで迎えた今年の開幕戦では約15,000人が詰めかけた。ホームグラウンドはヨークライオンズ・スタジアム。ヨーク大学内にあるスタジアムで収容人数は約4,000人。「トロントのホームの時は必ず3000人ぐらいは来てくれるのですごい文化だなって思います」。毎試合多くのファンの応援を受けてプレーできる環境に驚いている。
カナダのサッカー文化はカナダ女子代表が支えてきたと言っても過言ではない。そうした女子サッカーへの理解がようやく開幕した女子プロリーグを支えている。
フィジカルの強さと速さが特徴のNSL、日本の頭脳プレーを見せられたら
4月に開幕して約4カ月。日本のリーグとは全然違うと話す。「日本はもっとテクニックだったり、チームとして組織として組み立てる部分が多いですけど、カナダはフィジカルの強さとか、速さがすごい特徴だと思います。最初は順応するのがすごい大変でした」。

木﨑選手は体格的に大きい方ではない。というか、カナダ人の選手の中でプレーしていると一回り小さい小柄な選手だ。それでもフィジカルなプレーにも随分慣れてきたと笑う。
7月24日バンクーバーでのライズとの対戦は、たまたまこの日がNSLデビュー戦となった岡本祐花選手との日本人対決となった。この日ライズのホームグラウンド、スワンガードスタジアムには平日にもかかわらず約4,000人のファンが来て声援を送った。
岡本選手が後半からの途中出場だったのに対して、先発出場した木﨑選手は途中交代となったため直接対決は約3分で終わった。それでも、同じリーグに日本人選手が加入したことで日本人選手としての良さをリーグで一緒に伝えられたらと語る。
「日本人(選手)ならではのテクニックだったり、頭脳プレーだったりというのはカナダの選手とは違う良さかなと思っています。カナダでプレーしている日本人選手の一人として、トロントもバンクーバーも日本の方が多いと思うので、いろんなコミュニティが増えたり、応援してもらえる機会が増えたらいいなと思っています」。
今季の目標は、チームの優勝と個人としては結果を残すこと。現在19週を終え、出場時間391分、1ゴール、1アシストを決めている。「まずは目の前の試合で結果を残すことを目標にして、個人としてはもう少し試合に絡めたり、得点という部分でもっともっと結果を残していきたいなっと思っています」。
カナダのファンには、「(NSLは)まだまだ周知されていない部分が多いので、女子サッカーの良いところを皆さんに伝えられるように結果を出して、盛り上がりとかを見せられるといいなっと思っています。1度会場に遊びに来ていただけたらうれしいです」とメッセージを送った。
AFCトロント:https://www.afctoronto.ca/

(取材 三島直美/写真 斉藤光一)
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