無差別暴行犯釈放にバンクーバー市長が「具体的な行動」要請

 カナダ・バンクーバー市のケン・シム市長は5月22日、再犯リスクの高い人物が拘束を解かれるのを防ぐため、州と連邦政府に「具体的な行動」を求める声明を発表した。

 これは4月15日に同市スタンレーパークのシーウォールで起きた無差別暴行事件の容疑者が釈放されたことを受けたもの。バンクーバー市警察によると、同事件のピーターハンズ・ヌング容疑者(34歳)は「身体的危害を加える暴行」の罪で起訴されたが4月23日に保釈された。その後、容疑者は医療施設に移送されたが5月20日に退所、今後はバンクーバー市内で自宅軟禁下に置かれるという。

 この決定は5月19日に起きた暴行事件のハートリー・ロナルド・ダックホーン容疑者(35歳)の保釈審理が近づくなかで下された。同容疑者はスタンレーパークのセカンドビーチプール近くの女性用更衣室で見知らぬ女性への性的暴行や強盗などで起訴された。さらに2020年にサレー市のスカイトレイン駅付近で女性を襲った事件でも有罪判決を受けている。

 シム市長は「捜査機関は容疑者の特定や逮捕という役割を果たしているが、司法制度が繰り返し被害者を裏切り、再犯リスクの高い人物を社会に戻している」とし、加害者がすぐに釈放されるような状況では人々は司法制度への信頼を失うと懸念を表明。「なぜこのようなことが続くのか、ニキ・シャルマ司法長官は市民に納得のいく説明をするべきだ」と主張している。

(記事 高城玲)

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