The Wedding Banquet(アンドリュー・アン監督)

「Wedding Banquet」より。Photo courtesy of TIFF
「Wedding Banquet」より。Photo courtesy of TIFF

 やっと天気の良い日が多くなってきたバンクーバー。これから夏に向けてイベントも盛りだくさん、楽しい季節がやってきました。今日ご紹介するのは、そんな今の気分にぴったりのロマンティック・コメディ「The Wedding Banquet」(アンドリュー・アン監督)。パートナーとの関係、家族、友情などいろいろな愛が詰まっている、観た後には笑顔になれる作品です。

「The Wedding Banquet」(アンドリュー・アン監督)

あらすじ:シアトルに住むレズビアンのカップル、アンジェラ(ケリー・マリー・トラン)とリー(リリー・グラッドストーン)は、2回目の体外受精(IVF)が失敗に終わり、二人の今後をめぐり大きな壁に突き当たります。彼女らの親友でハウスメイトのクリス(ボーウェン・ヤン)と韓国からの留学生、ミン(ハン・ギチャン)もまた、人生の岐路に立たされています。ミンのビザの期限切れが近づき国の祖父母から帰国を命じられているのです。ミンはクリスと結婚したいと望んでいるのですが、クリスは大きすぎる決断にとまどうばかり。それに、もし韓国の祖父にミンの性的指向が知られたら、ミンは財産の相続権を失うという問題も。そこで考えだした解決策がアンジェラとミンの偽装結婚。そこにアンジェラの母(ジョアン・チェン)とミンの祖母(ユン・ヨジョン)も絡んできて…。

「Wedding Banquet」より。Photo courtesy of TIFF
「Wedding Banquet」より。Photo courtesy of TIFF

 大ヒットした1993年のアン・リー監督による同名作品を現代版にリメイクした今回の作品。ゲイカップルの結婚と伝統的な価値観を持つ家族が引き起こすコメディ、というオリジナル作品の本質は維持しつつ、焦点を女性に移して妊娠という人生における大きな転機をストーリーに絡めます。

 まず感じたのが主演俳優たち4人の相性の良さ。自然なやり取りから伝わる関係性がすごく心地良くて、仲間内のバタバタを観ているような感じがとても楽しい映画でした。物語の設定はシアトルなのですが、撮影がバンクバーだったので街並みには見覚えがあるし、バンクーバーでも見かけそうな登場人物たちだし、という点も私としては身近に感じられたポイントでした。

 4人の物語だけでなく、年配の登場人物がそれぞれの偏見を克服する過程を描いているところも心に沁みました。古い価値観を捨てて孫や娘の幸せを望む祖母と母を、北米でも実績のあるユン・ヨジョンとジョアン・チェンが魅力的に演じます。おばあちゃんが一人で考えこむシーンの表情とか、北米で子育てをしたアジア系母のとまどいとか、ベテラン俳優二人の演技には、さすが引き込まれるものがありました。

 30年前の前作の頃と比べると同性愛や同性婚をとりまく状況も変わっているためシリアスさは減っているけど、その分ロマンティック・コメディとしての要素は増えているので、重くなりすぎない映画を観たい気分のときにおすすめです。

 バンクーバーではCineplex系映画館、トロントではTIFF Lightboxで上映です。

「Wedding Banquet」より。Photo courtesy of TIFF
「Wedding Banquet」より。Photo courtesy of TIFF

Lalaのシネマワールド
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バンクーバー在住の映画・ドラマ好きライターLalaさんによる映画に関するコラム。
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Lala(らら)
バンクーバー在住の映画・ドラマ好きライター
大好きな映画を観るためには広いカナダの西から東まで出かけます
良いストーリーには世界を豊にるす力があると信じてます
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