ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバー市で4月26日に開催されていたフィリピンコミュニティの催しで、群衆に車が突っ込む事件が発生した。死者11人、けが人多数が出る大惨事となった。
バンクーバー市警察によると、事件が起きたのはバンクーバー市南部のイースト43番アベニューとフレーザー・ストリート付近。午後8時ごろ「ラプラプ・デイ・フェスティバル」で集まっていた人々の中にSUVが突っ込んだ。通行人や目撃者が容疑者の男を取り押さえ、駆けつけた警察官が逮捕した。
死亡した11人は5歳から65歳。BC州保健省が確認したところでは死亡者を含む32人が病院に運ばれたという。バンクーバー市警は29日の会見でけが人は多数として詳細は明らかにしなった。現時点で日本人が事件に巻き込まれたという情報は入っていない。
容疑者はバンクーバー市在住のカイジ・アダム・ロー(30歳)。警察は27日にロー容疑者を8件の第2級殺人罪で起訴したと発表した。テロの可能性は低いとしている。
フェスティバルを主催したFilipino B.C.のRJアキノ代表は事件後、世界中から支援の声が届いていると話した。現場近くのセント・メアリー・ザ・バージン・サウスヒル教会で行われた祈祷集会には多くの人が集まったという。
バンクーバー市警察スティーブ・ライ暫定本部長は、今回の事件を「バンクーバー市の歴史上、一番暗い日」だとし、「あまりにも無意味で理解し難い事件。この悲劇を防ぐことができなかったのかという問いがあることは承知している」と述べた。フェスティバルの警備計画については、リスクアセスメントに基づき専任の警官や警察車両の配備は不要と判断したという。
会見に同席したバンクーバー市ケン・シム市長は、ロー容疑者が過去に精神状態に関連する救急隊や警察との接触が数多くあったことに触れ、精神疾患に関する根本的な対応の重要性を訴えた。
(記事 高城玲)
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