北米における介護者のためのセミナーを開催するRokuro.Org

 日本、北米ともに高齢化社会が進んでいる。日本の家族を遠距離介護している人や、北米にいる家族を介護している人が増えている一方、北米で暮らす介護者のための日本語セミナーは限られている。

 このような現状の下、Rokuro.Orgでは「情報収集が難しいため、少しでも役に立つ情報提供や交換ができればと無料セミナー、無料座談会(日本語)を提供しています」という。医学部の教授、助教授、医学研究者、医療従事者、弁護士ほか、さまざまな分野の専門家や介護経験者が講師を務めている。

 3月19日(北米時間)には「介護と相続争い-その対策と予防」のタイトルで無料のZoomセミナーを開催。弁護士の飯野悠介さんが説明を行い、北米各地や日本から約60人が参加した。

 セミナーでは、相続の基本ルール、相続人排除や相続欠格のような特殊な事例の説明、紛争が起きないようにするには、どのような準備をしておけばよいかなどの話もあった。さらに、遺言を作成していたものの、その後、紛争となったケースについても例をあげて紹介した。

 被相続人が遺言作成後、認知症を発症。その後、介護をしていた家族に有利な、新たな遺言書を作成されていたことで紛争となったというものだ。手続きの流れや、裁判所の判断枠組み、双方がどのような主張をしたか、裁判所に対して準備した書類、裁判所が何を判断材料にしたかなども分かりやすく解説した。

北米で暮らす介護者、その予備軍のために無料日本語セミナーを開催

 Rokuro.Orgでは2016年から在米介護者、その予備軍のための無料日本語セミナーを開催している。アメリカのリハビリ専門医による嚥下(えんげ)障害の原因、症状、診断方法、治療と予防について、精神科専門医による認知症について、日本の脳外科医による脳卒中の防ぎ方、日本矯正科学会認定医による「口腔から考えるアンチエイジング」などがある。

 2020年2月までは会場でのセミナーを行っていたが、新型コロナウイルス感染拡大により同年のその後のセミナーはキャンセルとなった。2021年11月からオンラインに移行して開催している。オンラインになったことで、アメリカ国内全体やカナダからも参加できるようになった。

 ウェブサイトでは「ある介護者の思い」として、認知症とパーキンソン病の親の介護をしている人の投稿も紹介している。コミュニケーションやトイレの介護のコツについても書かれたもので、参考になる。

Rokuro.Org
www.rokuro.org

5月のセミナー
認知症とのつきあい方とささえ方〜早期診断から看取りまで〜

5月28日(土)
5:00 pm – 6:30 pm(太平洋標準時間)

講演者:千葉悠平 精神科医 医学博士
精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、指導医、日本認知症学会専門医、指導医、
積愛会横浜舞岡病院 認知症疾患医療センター副センター長、YUAD代表

 6月は高齢者の骨粗しょう症とその対策、予防。合併症としての転倒、骨折、筋力低下なども含めてのセミナーを予定 (日時未定)

(取材 西川桂子)

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