日本の文化とも密接に関わる麹など、発酵食品の魅力2

発酵ドリンク。Photo courtesy of Yumi Sakamoto
発酵ドリンク。Photo courtesy of Yumi Sakamoto

 ホリスティック栄養士、発酵食研究家、上級麹士、麹アドバイザー、マクロビライフスタイルアドバイザー、ビーガンシェフ、ローフードシェフ…とさまざまな資格を持つ坂本由美さん(以下、由美さん)へのインタビュー後編。

 ホリスティック栄養学や女性に多い骨粗しょう症の食事、玄米食、麹を使った簡単レシピなどを聞いた。

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– 由美さんはCanadian School of Natural Nutritionでホリスティック栄養学を学んだということです。ホリスティック栄養学について教えてください。

 身体と心・マインドは一つととらえることで、健康が成り立つという考えです。さらに環境、生活スタイルも重視しています。

 わたしが学んでいたころとは違い、今では自然栄養学の学校も増え、UBCやランガラカレッジなどでも学科があるみたいです。

 ホリスティック栄養学では、たとえば、アトピーは食べ物だけでなく遺伝的なものもありますが、精神的なこと、環境問題も絡めて見ます。アレルギーの方に歯の健康、歯に詰め物をしていませんかと聞くこともあります。銀(マーキュリー)を取り除くことで、アレルギーが改善された方もいらっしゃいます。

 学校ではサプリメントをはじめ、年齢別、症状別の栄養学、加えて環境や脳科学、心についても学びました。サプリは補助、サポートするもので、吸収する身体(腸)が必要です。うまく吸収できないと、逆に毒になることもあり得ます。

 腸の環境が整っていると、栄養をしっかり吸収し、不必要な物は排出(便)することができます。逆に腸が汚れていると、ひどい場合には炎症を起こし、万病のもとになる可能性があります。精神的にも落ち着かず、イライラしてしまうのも「第二の脳」である腸の不調と関係している可能性もあります。

 健康維持を目的とする場合、基本は自然のものをまるごといただく食事(精製された食品はできるだけ減らす)をお勧めしています。

 また、よく噛んで、楽しく食べることは消化の助けにもなりますから、明るい食卓を心がけることが家族の健康にも繋がっていきます。そうしながら、ストレスが多い環境にあるのなら、それをいかに改善するかを考え、生活スタイルの向上を目指すことが大切だと考えます。

私は骨粗しょう症のリスクが高いと言われたことがあります。「日本人はカルシウムが不足しがち」と読んだこともあります。カナダにいると日本のように小魚が手に入らないのが気になります。サプリも勧められました。

 カルシウムをサプリで補給する場合、マグネシウムとビタミンDが入っているものが吸収率が高いです。個人差はありますが、パウダー状のものもお勧めです。いろいろなブランドを試してみたり、お店のアドバイスを聞いてみたりするのもいいと思います。

 こちらで手に入りやすい食べ物の中に、缶イワシ(小さな骨付きタイプ、水煮かオイル漬けがお勧め)があります。しょうゆや大根おろしなどを足して、おいしくアレンジされてもよいと思います。そのほかにアーモンド、ケールやほうれん草などの濃い緑の野菜、生のブロッコリーもカルシウムが豊富です。

– 骨粗しょう症の話をしたとき、医師からビタミンDのサプリについてもアドバイスがありました。

 ビタミンDを別に摂取される場合は、ビーガン、ベジタリアンでない人はビタミンD3が入っているものをお勧めします。オイル入りのジェルタイプ以外は、食事(脂質)と一緒にとると吸収率が上がります。わたしは液体(ドロップ)タイプのものを食事と一緒にとります。特に冬の日光の弱い時期は意識的にビタミンDを積極的にとるといいと思います。

ビーガンチーズ。Photo courtesy of Yumi Sakamoto
ビーガンチーズ。Photo courtesy of Yumi Sakamoto

たんぽぽと醤油麹ドレッシング。Photo courtesy of Yumi Sakamoto
たんぽぽとしょうゆ麹ドレッシング。Photo courtesy of Yumi Sakamoto

- 医師から玄米をもっと食べることを心がけるようアドバイスされています。健康のために玄米を食べなきゃと思うのですが、なかなか実行できていません。子どもがあまり好きでないのも理由です。

 年齢にもよるのですが、成長期にある子どもは、それほど玄米を必要としておらず、すぐにエネルギー源になる白米を身体が欲する傾向にあります。一方、玄米は、糖質の量は白米と変わりませんが、血糖値がゆっくり上がるので、身体への負担も軽減されます。

 ある程度の年齢になると、白米から玄米に変えることで、繊維も含めた豊富な栄養をバランスよくとることができます。

 ダイエット、食事改善などは無理をしても長続きしませんし、逆にストレスになるケースも少なくありません。まずは楽しいと思える範囲で続けるのがポイントになります。時にジャンクフードをいただいても、「これはよくない」などと思わないで、気持ちよく楽しんで食べていただくことも大切です。 

 ほとんどの食べ物は、多くの人々の作業を経て店に並びます。それを誰かが料理してくれて自分の口に入ります。感謝の気持ちで食事をすることは、体にも心にも良いことだと思います。

由美さんにおススメの麹を使った簡単レシピを聞いた。

大根の漬物。Photo courtesy of Yumi Sakamoto
大根の漬物。Photo courtesy of Yumi Sakamoto

1.大根やかぶをスライス(塩揉みして水分をある程度出す方がおいしくなる)
2.塩麴と甘酒を1対1の割合で混ぜて、酢を少し加えて調味料をつくる。
*甘酒の代わりに、蜂蜜やメープルシロップなど好みの甘味料でもよい。
3.スライスした大根やかぶを漬けて、冷蔵庫で1日置く。

*べったら漬けのようなおいしい漬物が1日でできる。
*甘めが好きな人は甘酒を多めにするなど、好みによりアレンジするとよい。
*塩麴も甘酒も発酵食品なので野菜の旨味を引き出すことができる。
*流行りの塩麴の使い方がよく分からないという人にもおススメ。

オンライン、対面などで発酵食品などについて教えている坂本由美さん。Photo courtesy of Yumi Sakamoto
オンライン、対面などで発酵食品などについて教えている坂本由美さん。夏にはピクルス、冬にみそと、四季にあった発酵食品を紹介するようにしているという。Photo courtesy of Yumi Sakamoto

坂本由美さん
 ストレスなどから自律神経失調症になったことを機に、漢方や鍼(はり)などの東洋医学、代替医療を試し、独学に励む。両親が病気になったことで、さらにホリスティック栄養学に興味・関心を高め、Canadian School of Natural Nutritionを卒業。発酵食研究家、上級麹士、麹アドバイザー、マクロビライフスタイルアドバイザー。 

 オンラインおよび対面クラス、プライベートレッスンを開催。栄養相談や隣組シニアライフセミナー「酵素と腸の健康」、英語でのセミナーの講師など、コミュニティでも活動している。

 「腸の健康と発酵食シリーズ」のクラスでは、第二の脳ともいわれる腸の健康をテーマに、昔ながらの知恵である発酵食品、発酵調味料の作り方を座学や簡単な栄養学を交えて学ぶ。

*オンラインクラスhttps://ameblo.jp/sustainablefeast
3月は本みりん、しょうゆの予定。

ブログ(発酵クラブで今日も快腸)
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インスタグラム(sustainable_feast)
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日本の文化とも密接に関わる麹など、発酵食品の魅力 1

(取材 西川桂子)

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