バンクーバーのロシアコミュニティセンターなどに嫌がらせ

 ロシアのウクライナ侵攻を受けて、カナダでも抗議運動や戦禍にあるウクライナを支援しようと募金運動などが繰り広げられている。その一方で、ロシアに関係する団体やビジネスが嫌がらせなどを受けているという。

 バンクーバー警察は3月5日、キツラノにあるロシアコミュニティセンターの建物に青と黄色のペンキで落書きをされたとの通報があったと明らかにした。その前の晩に何者かが嫌がらせを行なったようで、警察が捜査している。

 ロシアコミュニティセンターはFacebook上に5日、ウクライナにおける戦争に抗議するとともに、戦禍に巻き込まれた人らへの思いを投稿している。センターはカナダの非営利組織で、ロシア政府とは政治的にも経済的にも関係はないとも述べている。

 また、CBC(カナダ放送協会)は、バンクーバーのハーバーセンターにあるベーカリー、ロシアン・スプーン(Russian Spoon)が嫌がらせ電話に悩まされていると報じた。同店経営者はロシア系カナダ人で、ロシア人のみではなく、ウクライナ、モルドバ、カザフスタン系もスタッフとして働いているという。

 ロシアン・スプーンはこれまでに売上げの一部をユニセフのウクライナ緊急募金に送金している。また、3月12日午後3時から抗議集会「Rally for Ukraine-Buy Perogies Day」を計画し、ペロギーを販売してその売り上げをウクライナ支援のために寄付するという。

 ロシアン・スプーンがFecebookでCBCの報道を紹介した投稿では、第二次世界大戦時に敵視された日系カナダ人が収容所に送られた歴史と比較するコメントもみられた。2022年は、太平洋戦争で敵性外国人とみなされるようになった日系カナダ人たちが強制収容所に送られてから80周年になる。

 その多くはカナダ国籍を持ち、半分以上はカナダ生まれだった。

全カナダ日系人協会(NAJC)会長ロリーン・オイカワさんのコメント

 全カナダ日系人協会は、コミュニティ、その他カナダ人や国際社会とともに、ロシアによるウクライナへの一方的な侵攻について憤りと悲しみを感じています。先週末のバンクーバーのロシアコミュニティセンターでの破壊行為についても、「私たちはカナダ人」と宣言していることからセンターは心を痛めています。

 紛争が起こっている際には特に人権保護に警戒する必要があることを、日系カナダ人は知っています。80年前、約2万2000人の日系カナダ人が、カナダ政府により財産を没収され、収容所に送られたり、日本に追放されたりしました。この人種差別的な行為は、国家安全保障の名目で正当化されました。

ロシアン・スプーンが11日に予定しているウクライナ支援のイベント https://www.facebook.com/events/312785570744121?ref=newsfeed

カナダ赤十字によるウクライナ支援サイト
https://donate.redcross.ca/page/100227/donate/

ユニセフカナダによるウクライナ支援サイト
https://secure.unicef.ca/page/98630/donate/

ロシアコミュニティセンターの建物に落書きをされたことを明らかにする、バンクーバー警察のツイッター。

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