「七五三のお祝いに想う2」 

カナダde着物

第7話 季節*晩秋

前回から続く

「七五三をカナダで」

~10年前から始めた、お寺でのお祝い~

和の学校@東漸寺  Photo by Manto Artworks
和の学校@東漸寺  Photo by Manto Artworks

 私のカナダでの茶道の師匠は、92歳の日本人先生とアメリカ人の先生です。ご縁というものは不思議でして、お寺の僧侶でもあるアメリカ人の先生に、お寺で子供向けに日本文化継承の活動をさせて頂けないかと相談したところ、普段は表情をあまり変えられない先生に、ふっとあたたかい笑みが垣間見れました。

 無理かなと半信半疑で尋ねましたので、受け入れてくださり感謝しております。七五三のお祝いの法要では、お子さん達が飽きないように、短いお経で、分かり易い禅語などを引用しお説教をして下さいます。

 3歳のお子さんがその話をどこまで理解しているのか、知る由もないのですが、じ~と聞いてますので、何かしら感じるものがあるのでしょう。

東漸寺*鐘突堂 Photo © Manto Artworks
東漸寺*鐘突堂 Photo © Manto Artworks

 年齢とは単なる記号であり、本当の精神の成熟度とは違うのかも知れないと感じる場面が多々あります。

 年を重ねても、人の心を感じ取ることができない方もいれば、3歳でも相手の気持ちを察するお子さんもいます。

 昨今のニュースからは、人間はどこまでも欲深く嫉妬深く、この世の中は傲慢に満ちているのではないか、自分の中にもそのような邪気が潜んでいる、、と嘆くことがありますが、神仏を前に人は謙虚で優しくもなれるのだろうと思います。

「七五三のお祝い、これから」

 昨今の着物で写真撮影をする人気は、七五三でも同じでして、華やかな着物姿を記録に残すことは、ディズニーランドでの思い出作りと同じくらい、ご家族のアクティビティとなっております。

 着物を後世に残すためにも、このイベントは大事な役割を果たすことでしょう。私も着物での撮影は大好きです。

3歳のお祝い 東漸寺本堂にて Photo ©平鍋ゆきお
3歳のお祝い 東漸寺本堂にて Photo ©平鍋ゆきお

「置き去りにしないで。謙虚な心」

 ディズニーランドでの思い出作りと七五三のお祝いとでは、少し違いがあります。

 それは、私たちは与えられた物で幸せを感じるだけではなく、与えることで幸せを感じるものだと言われます。七五三はそれを再認識できる儀式だと思います。

 子育てはボランティアのようで、自ら与えることで多くを学びます。そして親自身、ここまで生きて来られたのは、多くの支えがあったからだと親になって気づきます。

 物質的満足はいつか賞味期限が切れますが、精神的満足は長く継続する特徴があると聞きます。

 目の前のイベントをこなすことに夢中になり過ぎて、そのような心を見失わないように、心を落ち着かせ、子供たちと向き合う時間を設けることが、現代に合った七五三のお祝いの形なのかなと思います。

錦秋の時期に*着物紋付ぼかし色無地*帯錦菊づくし Photo © コナともこ
錦秋の時期に*着物紋付ぼかし色無地*帯錦菊づくし Photo © コナともこ

1115日は着物の日」

 七五三で着物を身近に感じたところで、もっと着物を愉しんでいただきたいという思いからできた日でしょうか。日本では各地で着物のイベントが開催されるようです。

雑学ネタ帳よりhttps:/zatsuneta.com/archives/111152.html
きものの日(11月15日 記念日)

 全日本きもの振興会が、1966年(昭和41年)の設立の時に制定。また、全国2000店の呉服店で組織する日本きもの連盟も制定。

 日付は「七五三」の日に、家族そろってきもので出かけてほしいとの願いから。また、子どもたちの成長を願う日として、きもの姿が似合う日であることから。きものを着る運動のシンボル的な日として、きものの美しさ、文化的な要素をアピールしていくことが目的。

きものについて

 「着物(きもの)」とは、元々は「着るもの」という意味であり、からだに着るものの総称、「衣服」を意味する言葉である。また、現在では「洋服」に対して「和服」を総称する言葉でもある。

 「呉服(ごふく)」という呼び名は、和服用の織物の呼称の一つで、特に絹織物を指す言葉である。元々は絹織物を指す語として、綿織物・麻織物を指す「太物(ふともの)」と区別されていたが、現在は和服用の織物の総称としても使用される。

 女性の正装用の着物は、原則的に結婚式・叙勲などの儀式・茶会など格の高い席やおめでたい儀式で着用される。また、着物などに似せた東洋風の服は欧米では「kimono」と呼ばれる。

 「きもの」に関連した記念日として、2月10日は「ふ(2)と(10)もの」(太物)と読む語呂合わせで「太物の日」、5月29日は「ご(5)ふ(2)く(9)」(呉服)と読む語呂合せで「呉服の日」となっている。

カナダで楽しむ着物の世界、「着物語り」の連載を始めるコナともこさん  Photo © コナともこさん
カナダで楽しむ着物の世界、「着物語り」の連載を始めるコナともこさん  Photo © コナともこさん

コナともこ
アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。

10年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。

カナダ人の夫+高校生と大学生3人娘+老犬1匹と暮らしております。バンクーバー近郊在住。

和の学校ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/
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